この記事でわかること
- 人材開発支援助成金で、eラーニングとして扱われる研修の定義
- eラーニングで受ける研修が対象になるための主な条件
- 受け方がeラーニングに変わると、経費助成の上限・賃金助成・期限・回数がどう変わるか
- 集合研修に動画を足したとき、その動画がeラーニングとして扱われる場合
- 対象から外れやすい3つの例と、申請前に確かめる順番
- この記事で答えを出さないこと
人材開発支援助成金のeラーニングとは|LMSで進捗を管理できる遠隔講習
人材開発支援助成金でいうeラーニングは、動画で学ぶ研修すべてを指す言葉ではありません。事業展開等リスキリング支援コースの詳細版パンフレット(令和8年8月3日版)は、eラーニングを、コンピュータなど情報通信技術を活用した遠隔講習であって、LMSなどにより訓練の進捗管理が行えるもの(同時双方向型の通信訓練を除く)と定義しています(p.11・p.22)。
LMSで分かることとして、注記には、各訓練を修了した日・受講開始日時・受講終了日時・受講時間数・進捗率などが挙がっています(p.22)。支給要領(令和8年8月3日版)の定義(0200 ニ)も同じ文言で、人材育成支援コースのご案内にも同じ定義があります。
3つのコースとも、eラーニングは実施方法の1つ
人への投資促進コースの詳細版は、令和4年度から、人への投資促進コースのほか人材育成支援コースと事業展開等リスキリング支援コースを含むすべての訓練コースで、eラーニングと通信制による訓練も対象にしていると書いています(p.4)。eラーニングは、通学制・同時双方向型の通信訓練・通信制・定額制サービスによる訓練と並ぶ、OFF-JTの実施方法の1つという位置づけです(事業展開等 詳細版 p.22)。
実施方法ごとに、訓練時間の数え方と受講の要件が違います。事業展開等リスキリング支援コースの表から、主な違いを抜き出すと次のとおりです。本記事の集合研修は、通学制と同時双方向型の通信訓練を指します。
実施方法 | 10時間の数え方 | 受講の要件 |
|---|
通学制・同時双方向型の通信訓練 | 実訓練時間数が10時間以上 | 実訓練時間数の8割以上を受講 |
eラーニング・通信制 | 標準学習時間が10時間以上か、標準学習期間が1か月以上 | 訓練期間中に修了。LMSや添削課題で実施状況を確認できない場合は対象外 |
定額制サービスによる訓練 | 修了した講座の標準学習時間が、支給申請時に合計10時間以上 | 修了した講座の受講時間を、教育訓練機関が発行する一覧表で確かめられること |
出典:事業展開等リスキリング支援コース 詳細版 p.22 の表から抜粋。定額制サービスは、企業内の人事及び人材育成に関する計画に基づく訓練では使えません(同)
標準学習時間とは、訓練を習得するために通常必要な時間として、受講案内などであらかじめ定められている時間です(p.19)。eラーニングの10時間は、社員が実際に見た時間ではなく、受講案内に書かれた標準学習時間か標準学習期間で数えます。
ファクトボックス|人材開発支援助成金のeラーニング
項目 | 内容 |
|---|
定義 | LMSなどで進捗管理が行える遠隔講習(同時双方向型の通信訓練を除く) |
時間の要件 | 標準学習時間が10時間以上、または標準学習期間が1か月以上 |
受講の要件 | 訓練期間中に修了すること |
助成の種類 | 経費助成のみ。賃金助成は対象外 |
計画届の期限の起点 | 契約期間(訓練受講可能期間)の初日 |
確かめた原典 | 厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)」令和8年8月3日版、同「人材育成支援コースのご案内」、同「人への投資促進コースのご案内(詳細版)」、事業展開等リスキリング支援コースと人材育成支援コースの支給要領(いずれも令和8年8月3日版) |
出典URL | https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731978.pdf |
参照日 | 2026年10月8日 |
免責 | 支給の可否は労働局の審査で決まります。各資料のURLとページは末尾の出典・注記に載せています |
eラーニングの研修が対象になる条件|主な4つ
eラーニングで受ける研修が対象になるかは、実施方法の要件に加えて、誰がどう受けさせるかでも決まります。詳細版の要件から、eラーニングで特に問われるものを4つに分けると次のようになります。4つの分け方は厚生労働省の分類ではなく当社の整理で、受講者の職務との関連といった共通の要件は別にあります。
① LMSなどで進捗を管理でき、記録を出せる
1つ目は、定義そのものに当たる進捗管理の仕組みです。計画届には、LMSなどにより訓練の進捗管理を行える機能を持つことが分かる受講案内などを付けます(事業展開等 詳細版 p.42)。
支給申請では、受講者ごとのeラーニング訓練実施結果報告書(様式第8-3号)、修了証の写し、修了日・受講開始日時・受講終了日時・受講時間数・進捗率などが分かるLMS情報の写しを出します(p.45)。研修会社のLMSからこれらを書き出せるかは、契約の前に確かめる点です。
② 標準学習時間か標準学習期間が、受講案内に書かれている
2つ目は、時間の要件を受講案内で示せることです。eラーニングの計画届には、実施目的・実施内容・契約期間(訓練受講可能期間)・標準学習時間または標準学習期間・LMSの機能・受講料が分かる受講案内などを付けます(p.42)。
集合研修と組み合わせる場合は、集合研修の実訓練時間数とeラーニングの標準学習時間を合算して10時間以上かで判断します(p.19)。標準学習期間だけが定められたeラーニングは、1か月を10時間として数え、1か月に満たない場合は0時間として数えます(同・p.26 Q3)。
③ 業務として受けさせ、期間中に修了させ、賃金を払う
3つ目は、受けさせ方です。詳細版は、eラーニングと通信制で行う場合でも、支給対象の訓練は業務上義務付けられ、労働時間に当たるため、訓練中に賃金を支払う必要があるとしています(p.17)。
対象にならない実施方法の表には、業務上の義務として行うものではなく、労働者が自発的に行うもの(育児休業中訓練を除く)が挙がっています(p.29)。受講の要件は訓練期間中に修了することなので、見る時間を本人に任せたまま契約期間が終わると、修了していない受講者は対象から外れます(p.17・p.22)。
eラーニングには賃金助成が付きませんが、受講は労働時間として扱われ、賃金を払う必要があることは集合研修と同じです。
④ 教育訓練機関が、広く受講者を募っている講座である
4つ目は、提供する側の要件です。eラーニングは、会社が自ら企画し主催する事業内訓練としては行えず、教育訓練機関に委託する事業外訓練に限られます(p.19・p.22)。
民間の教育訓練機関がeラーニングで行う場合は、計画届の提出日の時点で、その訓練の概要・連絡先・申込みや資料請求ができることを自社のホームページに載せ、広く受講者を募っていることが求められます(p.20)。特定の事業主に提供することを目的としたものは対象にならず、ホームページの掲載の確かめ方は、冒頭で紹介した対象講座の見分け方の記事で扱っています。
受け方がeラーニングに変わると何が変わるか|上限・賃金助成・期限・回数
eラーニングで受けると決めた時点で、助成の金額と手続きの日付の決まりが、集合研修とは別のものに切り替わります。研修会社の見積もりを比べる前に、次の4つがどう変わるかを押さえておきます。
経費助成の上限|事業展開等は一律、人材育成は標準学習時間で区分
経費助成には、1人1訓練あたりの上限があります。eラーニングの上限の決まり方は、コースによって違います。
受け方 | 事業展開等リスキリング支援コース | 人材育成支援コース |
|---|
集合研修だけ | 実訓練時間数の区分で、中小企業30万円・40万円・50万円、大企業20万円・25万円・30万円 | 実訓練時間数の区分で、中小企業15万円・30万円・50万円、大企業10万円・20万円・30万円 |
eラーニングだけ | 時間数によらず、中小企業15万円・大企業10万円 | 標準学習時間の定めがあれば、その時間の区分。定めが無ければ中小企業15万円・大企業10万円 |
集合研修とeラーニングの組み合わせ | 中小企業15万円・大企業10万円 | 標準学習時間なら、実訓練時間数と合算した時間の区分。標準学習期間なら実訓練時間数の区分(10時間未満なら中小企業15万円・大企業10万円) |
出典:事業展開等 詳細版 p.38・支給要領 0510 ロ、人材育成支援コースのご案内 p.14・p.37 Q6・支給要領 06026 ロ。時間の区分は、10時間以上100時間未満・100時間以上200時間未満・200時間以上の3つ。専門実践教育訓練の指定講座は別の扱いです
事業展開等リスキリング支援コースの詳細版は、eラーニングと通信制の上限について、通学制と同時双方向型の通信訓練と組み合わせて行う場合も含むと書いています(p.38)。事業展開等リスキリング支援コースでは、集合研修にeラーニングを組み合わせると、研修全体の上限がeラーニングの一律の額に置き換わります。
たとえば中小企業が実訓練時間数12時間の研修を集合研修だけで受けるなら、上限は表の10時間以上100時間未満の区分の額です。同じ研修の一部をeラーニングにすると上限は15万円に下がり、研修の費用が高いほど上限で頭打ちになる分が大きくなります。率をかけた額の計算は、人材開発支援助成金はいくらもらえる?|経費助成と賃金助成の計算方法で扱っています。
賃金助成|eラーニングには付かない
eラーニング・通信制・定額制サービスによる訓練と育児休業中訓練は、経費助成のみで、賃金助成の対象外です(事業展開等 詳細版 p.30・p.38、人材育成支援コースのご案内 p.14)。集合研修なら受講時間に応じて付く賃金助成が、eラーニングの部分には付きません。
それでも、条件③で見たとおり、受講中の賃金を払う必要は残ります。eラーニングを選ぶと、会社の負担は「受講料のうち助成されない分」に「受講時間の賃金」がそのまま乗る形になります。
計画届の期限|契約期間の初日から数える
計画届は、訓練開始日の6か月前から1か月前までの間に労働局へ出します(事業展開等 詳細版 p.19)。eラーニングの「訓練の実施期間」は、教育訓練機関との契約期間(訓練受講可能期間)とされていて(p.11、人材育成支援コースのご案内 p.12)、期限はその初日から数えます。
社員が実際に見始める日が後でも、契約期間が先に始まれば、計画届の期限も先に来ます。支給申請は、契約期間中に受講者全員が修了し、賃金と受講料の支払いを済ませているなど要件を満たせば、全員が修了した日の翌日から出せますが、最終的な期限は訓練終了日の翌日から2か月以内のままです(事業展開等 詳細版 p.44)。日付の逆算の例は、人材開発支援助成金はいつまでに申請?|計画届と支給申請の2つの期限で扱っています。
受講回数|事業展開等ではeラーニングは1年度1回まで
事業展開等リスキリング支援コースで助成を受けられる訓練は、1人の労働者につき1年度で3回までです。そのうち、令和8年8月3日以降に提出された計画届に基づくeラーニングによる訓練(複数の実施方法を組み合わせて行う場合も含む)は、1人の労働者につき1年度で1回までです(事業展開等 詳細版 p.39、支給要領 0510 ヘ)。
1年度は、支給申請日を基準に4月1日から翌年3月31日までです(p.39)。計画届の提出が8月3日以降でも、教育訓練機関との契約の締結か申込みが令和8年8月2日以前なら、この回数には数えないという経過措置があります(同)。経過措置が使えるのは、契約期間が1年を超える場合、契約期間の初日から1年以内の実施期間にかかる計画届に限られます(同)。
人材育成支援コースの受講回数の定めは、1人の労働者につき1年度で3回まで(有期実習型訓練は同じ労働者に1回まで)で、eラーニングだけを1回に限る定めは置かれていません(人材育成支援コースのご案内 p.15、支給要領 06026 ニ)。改正の経緯と、新旧どちらの決まりが当たるかは、人材開発支援助成金の令和8年度|前年度からの変更点と確認先で整理しています。

事業展開等リスキリング支援コースでは、研修にeラーニングを組み合わせると、上限・賃金助成・期限の起点・受講回数の4つがeラーニングの決まりに切り替わります。
eラーニングを組み合わせるかどうかで変わる実質負担を、受講人数と企業規模から比べるなら、料金試算(助成金対応)が使えます。
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集合研修に動画を足すとき|事前学習の動画がeラーニングになる場合
AI研修では、集合研修の前に環境づくりや基礎の動画を見てもらう形がよくあります。この動画が助成の上でどう扱われるかは、動画の中身ではなく、進捗をLMSなどで管理するかどうかで分かれます。
予習・復習の教材は、訓練時間にも実施期間にも入れない
詳細版は、訓練の前後に教材を配って行う予習や復習(宿題・事前学習・確認テストなど)の時間は、総訓練時間数にも実訓練時間数にも数えず、訓練の実施期間にも含めないとしています(事業展開等 詳細版 p.27 Q4)。予習・復習を業務として義務付けるかは支給の要件として問わないものの、義務付ける場合は労働時間に当たるため賃金を払う必要がある、とも書いています(同)。
予習・復習の時間数や教材が、訓練の時間数や内容に比べて著しく多いなど、予習・復習が主な目的になっていると判断される場合は、支給の対象として認められません(同)。
LMSで進捗を管理する動画は、その部分がeラーニングになる
同じQ4の答えは続けて、動画教材がLMSなどで進捗を管理できるものなら、その部分はeラーニングによる訓練として扱うとしています(p.27)。この場合は、eラーニングの標準学習時間を訓練時間数に数え、eラーニングの契約期間(訓練受講可能期間)の初日の1か月前までに計画届を出す必要があります(同)。人材育成支援コースのご案内にも同じ答えがあります(p.37 Q5)。
集合研修とeラーニングを組み合わせた研修は、それぞれの実施方法の要件を満たす必要があり、計画届と支給申請の書類も実施方法ごとに出します(事業展開等 詳細版 p.26 A2、支給要領 0303 リ)。
事前学習の動画をLMSで管理すると、時間を足せる代わりに、研修全体にeラーニングの上限・期限・回数の決まりがかかります。 事業展開等リスキリング支援コースでは、前の章で見た上限の置き換わりと1年度1回の枠が、この動画を足しただけで生じます。

事前学習の動画は、進捗をLMSで管理するかどうかで、訓練の外の予習になるか、eラーニングとして訓練に入るかが分かれます。
DAIJOBUの場合|10時間の要件は本編の時間で考える
当社のClaude Code研修は、本編の4回各3時間の前に、環境を整える事前の動画(約30分)と、情報システムや管理者の担当者向けの動画(約1時間)を用意しています。録画を見るだけでの受講は受け付けていません。
助成金の10時間以上の要件は本編の12時間で考え、事前の動画の時間を足して説明することはしていません。事前の動画を訓練に含める形にすると、この章で見たeラーニングの扱いがかかるため、どの形で申請するかは受講する会社が社会保険労務士や労働局と決めることになります。12時間のうち何時間が実訓練時間数に数えられるかも、審査で決まります。
対象から外れやすいeラーニングの例|記録・主催者・回数の3つ
対象から外れやすいeラーニングの形を、ここまでの条件と扱いの違いから3つ取り上げます。3つは当社が選んだ例で、当てはまれば必ず不支給になるという意味ではなく、計画届の前に洗い出しておく箇所です。
例1 録画を配るだけで、受講の記録が残らない動画
研修の録画をファイルや限定公開の動画で配り、各自に見てもらうだけの形です。LMSなどで進捗を管理できなければ、定義上のeラーニングに当たりません。
対象にならない実施方法の表には、eラーニングと通信制を除いて、専らビデオのみを視聴して行う講座が挙がっています(事業展開等 詳細版 p.29)。eラーニングとして申請しても、LMSや添削課題で実施状況を確認できない場合は対象外とされています(p.22)。
例2 自社で作って社内に配るeラーニング
社内の研修担当が動画を作り、自社のシステムで配信する形です。eラーニングは事業内訓練としては対象にならず、通学制などと組み合わせて事業内訓練を行う場合も、助成の対象は通学制などの部分に限られます(事業展開等 詳細版 p.19・p.26 Q1)。
研修会社に自社専用の内容で作ってもらい、その会社だけに提供するeラーニングも、特定の事業主に提供することを目的としたものとして外れます(p.20・p.29)。外部に頼む場合も、その講座が研修会社のホームページで広く募集されているかが分かれ目です。
例3 事業展開等リスキリング支援コースで、同じ社員が同じ年度に受ける2本目
事業展開等リスキリング支援コースで、同じ社員に、同じ年度のうちに2本目のeラーニングを受けさせる形です。令和8年8月3日以降に提出した計画届に基づくeラーニングは、1人の労働者につき1年度で1回までのため、2本目は経過措置に当たらない限り対象外になります(事業展開等 詳細版 p.39)。
数えるのは、eラーニングだけの研修に限りません。集合研修にLMSで管理する事前動画を組み合わせた研修も、この1回に含まれます(同・p.27 Q4)。

eラーニングで外れやすい3つの例は、受講案内・主催者・受講歴を計画届の前に見れば気づけます。
申請前の確認点|eラーニングを含む研修で見る4つの順番
eラーニングを含む研修で申請するなら、計画届の期限から逆算して、次の4つを順に確かめます。この順番は当社が並べたもので、受講者の職務との関連など、受け方によらない要件の確かめ方は別に必要です。

eラーニングを含む研修は、受講案内、上限と回数、期限、受けさせ方の順に確かめてから計画届を出します。
① 受講案内で、LMSの機能・標準学習時間・契約期間を読む
最初に、研修会社の受講案内で、計画届に付ける書類の項目がそろっているかを見ます。実施目的と実施内容、契約期間(訓練受講可能期間)、標準学習時間か標準学習期間、LMSなどで進捗を管理できること、受講料です(事業展開等 詳細版 p.42)。
案内に書かれていない項目は、研修会社に書面で出してもらいます。支給申請で出すLMS情報の写しの項目を、研修会社のLMSから書き出せるかも、このときに聞いておきます。
② コースごとの上限と、受講者ごとの今年度の受講歴を当てる
次に、使うコースを決め、上限の決まり方を当てます。事業展開等リスキリング支援コースなら一律の額、人材育成支援コースなら標準学習時間の区分です。
事業展開等リスキリング支援コースを使う場合は、受講者ごとに、今年度すでにeラーニングで助成を受けた研修や、計画届を出した研修が無いかを確かめます。AI研修の見積もりを上限と並べて比べる方法は、AI研修費用の内訳|見積もりで比べる5項目と下げ方で扱っています。
③ 契約期間の初日から、計画届の期限を逆算する
3つ目に、研修会社との契約期間がいつ始まるかを決め、その初日の1か月前を計画届の末日として置きます。事前学習の動画をLMSで管理する形なら、その動画の契約期間の初日が起点です。
契約期間を先に始める研修会社もあるため、期限は社員が見始める日ではなく、契約書に書かれる契約期間の初日で数えます。 受講者の追加や契約期間の変更があるときは、変更届の期限も別にあります(事業展開等 詳細版 p.43)。
④ 業務として受講させる時間と、賃金の扱いを決める
最後に、社員がいつeラーニングを見るかを決めます。業務として受講させるため、所定労働時間内に見る時間を確保するか、時間外や休日に見るなら割増賃金を含めて払うかを、社内で先に決めておきます。
契約期間の終わりまでに修了しない受講者は対象から外れるため、進捗率を途中で確かめる担当と日付も決めておくと、修了の漏れを防げます。
この記事で解けないこと|個別の可否・定額制サービス・都道府県の制度
この記事は、人材開発支援助成金をeラーニングで使うときの要件と、受け方で変わる扱いを扱いました。次の3つは、この記事では答えを出していません。
個別のeラーニングが対象になるかどうか
この記事で示したのは、外れやすい点を拾う見方までです。受講者の職務との関連を含めた判断は申請ごとの審査で行われ、研修会社にも当社にも決める立場はありません。
定額制サービスによる訓練の細目
定額で複数の講座を受けられる見放題型のサービスは、eラーニングとは別の実施方法として、講座数の5割の要件や1人1月あたりの上限など別の決まりを持ちます。AI研修で使う場合の入口は、人材開発支援助成金の対象講座一覧の人への投資促進コースの節で扱っています。
都道府県の制度
都道府県の助成金には、eラーニングに独自の時間の要件を置く制度があり、国の制度とは要件が別です。東京都の例はDXリスキリング助成金とは|東京都でAI研修に使う条件と申請の流れで扱っています。
人材開発支援助成金のeラーニングに関するよくある質問
Q. 受講案内に標準学習時間が書かれていないeラーニングは、どう扱われますか
A. eラーニングの時間の要件は、受講案内などにあらかじめ定めた標準学習時間か標準学習期間で判断されるため、どちらかの記載が要ります。 標準学習期間だけが書かれた講座なら期間が1か月以上かで判断され、人材育成支援コースでは上限が10時間以上100時間未満の区分と同じ額になります(事業展開等 詳細版 p.19、人材育成支援コースのご案内 p.14)。どちらも見当たらなければ、研修会社に、案内のどこで示せるかを確かめます。
Q. 社員が自宅でeラーニングを見る場合も、賃金を払う必要がありますか
A. 業務として受講させる以上、自宅で見る時間も労働時間に当たり、賃金を払う必要があります。 詳細版は、eラーニングと通信制でも支給対象の訓練は業務上義務付けられ、労働時間に該当するとしています(p.17)。時間外や休日に見る場合は、割増賃金を含めて払います。
Q. 契約期間の途中で全員が修了したら、支給申請を早く出せますか
A. 全員が修了し、賃金や受講料の支払いなどほかの要件も満たしていれば、修了日の翌日から出せます。 ただし、最終的な期限は、訓練終了日の翌日から2か月以内という原則のままです(事業展開等 詳細版 p.44)。
人材開発支援助成金のeラーニング|総括表
論点 | 押さえるところ |
|---|
定義 | LMSなどで進捗管理が行える遠隔講習。記録の残らない動画だけの講座は対象外 |
主な条件 | 進捗の記録を出せる・標準学習時間10時間以上か標準学習期間1か月以上・業務として受講させ期間中に修了・教育訓練機関が広く募集する講座 |
経費助成の上限 | 事業展開等は一律で中小企業15万円・大企業10万円(組み合わせも含む)。人材育成は標準学習時間の区分で、定めが無ければ一律 |
賃金助成 | 付かない。受講中の賃金の支払いは必要 |
計画届の期限 | 契約期間(訓練受講可能期間)の初日の6か月前から1か月前まで |
受講回数 | 事業展開等は令和8年8月3日以降の計画届で1人1年度1回まで。人材育成は1年度3回の中で数える |
事前学習の動画 | LMSで進捗を管理するものは、その部分がeラーニングとして扱われる |
外れやすい例 | 記録の残らない動画、自社で作って配るeラーニング、事業展開等で同じ年度の2本目 |
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まとめ|人材開発支援助成金はeラーニングで使えるのか
eラーニングで助成を受けられるかの分かれ目は、動画の中身ではなく、LMSで進捗を管理できる講座を業務として受けさせるかどうかです。受け方をeラーニングにすると、上限・賃金助成・期限・回数の決まりも集合研修とは別のものになります。
eラーニングで助成金を使うなら、次の3つから始められます。
- 今日:候補のeラーニングの受講案内で、LMSの機能・標準学習時間・契約期間が書かれた箇所を探す
- 今週中:使うコースを決め、受講者ごとに今年度のeラーニングの受講歴を確かめる
- 契約の前:契約期間の初日を決め、その1か月前を計画届の末日として予定に入れる
最後に、社内で自分に問える1問を置きます。候補の研修に事前の動画があるなら、その動画の進捗を誰がどこで管理するかを、今言えますか。
- 人材開発支援助成金は、要件を満たせばeラーニングで受ける研修も対象になります。主な条件は、LMSなどで進捗を管理できること、標準学習時間が10時間以上か標準学習期間が1か月以上であること、訓練期間中に修了することです
- 受け方がeラーニングになると、経費助成の上限・賃金助成・計画届の期限の起点・受講回数の扱いが通学制と変わります。上限の決まり方は、事業展開等リスキリング支援コースと人材育成支援コースで違います
- 外れやすい例として、記録の残らない動画、自社で作って配るeラーニング、事業展開等リスキリング支援コースで同じ社員が同じ年度に受ける2本目のeラーニングの3つを取り上げます。分け方は本記事の整理で、可否は労働局の審査で決まります
eラーニングを含めるかどうかを決める前に、受講人数と企業規模から助成金を使う場合の実質負担の目安を出すなら、料金試算(助成金対応)をご利用ください。
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出典・注記
- 厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)」令和8年8月3日以降に提出された計画届に基づく訓練が対象 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731978.pdf (2026年10月8日参照)。訓練の実施期間とeラーニングの定義はp.11、eラーニングでも賃金を支払う必要と受講の要件はp.17、10時間の要件・標準学習時間・組み合わせの合算・事業内訓練の扱い・計画届の提出期間はp.19、民間の教育訓練機関のホームページでの募集と特定の事業主向けの扱いはp.20、実施方法ごとの要件とLMSの注記はp.22、事業内訓練と組み合わせの扱い・標準学習期間の数え方はp.26(Q1〜Q3)、事前学習の動画の扱いはp.27(Q4)、対象とならない実施方法の表はp.29、賃金助成の対象外はp.30、経費助成の限度額はp.38、受講回数の制限と経過措置はp.39、計画届に付ける書類はp.42、変更届はp.43、支給申請の前倒しはp.44、支給申請の書類はp.45による。ページは冊子に印刷されたページ番号
- 厚生労働省「人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内」令和8年8月3日版 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731967.pdf (2026年10月8日参照)。訓練の実施期間はp.12、経費助成の限度額と賃金助成の対象外はp.14、受講回数はp.15、事前学習の動画と組み合わせた場合の限度額はp.37(Q5・Q6)による
- 厚生労働省「人材開発支援助成金(人への投資促進コース)のご案内(詳細版)」令和8年8月3日版 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731974.pdf (2026年10月8日参照)。すべての訓練コースでeラーニングと通信制を対象としている旨はp.4による
- 厚生労働省「人材開発支援助成金 支給要領(6)事業展開等リスキリング支援コース」令和8年8月3日版 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731981.pdf (2026年10月8日参照)。eラーニングの定義は0200 ニ、複数の実施方法を組み合わせる場合の留意点は0303 リ、eラーニングの限度額は0510 ロ、受講回数の制限は0510 ヘによる
- 厚生労働省「人材開発支援助成金 支給要領(1)人材育成支援コース」令和8年8月3日版 https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001732734.pdf (2026年10月8日参照)。eラーニングの限度額は06026 ロ、受講回数の制限は06026 ニによる
- 4つの条件、4つの確認の順番、外れやすい3つの例の分け方は、本記事の整理です。厚生労働省の分類ではありません
- 本編の時間と事前の動画の構成、10時間の要件を本編の時間で考えていることは、当社の自社情報です
- 本記事は、eラーニングを含む研修が対象から外れやすい点を申請前に拾うための見方を示すもので、支給を確約するものではありません。要件は改正されることがあるため、最新の条件は厚生労働省の資料と管轄の労働局でご確認ください
この記事について
DAIJOBUは、ソフトウェアテスト・品質保証と脆弱性診断を本業としながら、法人向けにClaude Code研修を提供している会社です。本記事は、人材開発支援助成金をeラーニングで使うときの要件と、受け方で変わる扱いを、厚生労働省のパンフレットと支給要領の原文で確かめた事実と、当社の研修の構成を分けて書いたものです。
著者 | DAIJOBU株式会社 Claude Code法人研修部 コンテンツ担当 佐藤 雅俊 |
|---|
編集責任者 | DAIJOBU株式会社 Claude Code法人研修 事業責任者 石井 雄大 |
監修 | DAIJOBU株式会社 代表取締役 山中 裕貴 |
公開日 | 2026年10月14日 |
最終更新日 | 2026年10月14日 |
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