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AI研修に助成金を使うと負担はどう変わる?|助成率から逆算する手順

AI研修に助成金を使うと負担はどう変わる?|助成率から逆算する手順

AI研修の見積を受け取り、助成金を使った場合の会社の負担を社内で説明するときは、研修費に当たる経費助成と、受講中の賃金に当たる賃金助成の2つを分けて見ます。どちらの額も、受講人数と訓練時間が決まるまでは出せません。

そのため、見積の総額に助成率を掛けるのではなく、人数と時間を先に置いてから、事業展開等リスキリング支援コースなどの助成率と上限を当て、会社に残る負担を逆算します。

この記事の要点は3つ

  1. AI研修に助成金を使い、要件を満たして支給されると、会社の負担は研修費と受講中の賃金の2か所で下がります。事業展開等リスキリング支援コースでは、中小企業の経費助成が75%、賃金助成が1人1時間1,000円です
  2. 助成率から逆算するときは、受講人数と訓練時間を先に決めます。訓練時間で1人1訓練の上限の区分が決まり、受け方で賃金助成が付くかどうかが変わります
  3. 逆算した負担は、審査で要件を満たした場合の見込みです。訓練経費は支給申請までに会社が全額を払うため、助成が出なかった場合の負担も予算に置きます

自社の受講人数と企業規模で、助成金を当てた場合の負担の目安を先に見ておきたい方は、料金試算(助成金対応)からお試しいただけます。

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研修の受講料を、助成金を当てた場合の負担と合わせて試算してお示ししている研修会社の側から、AI研修の負担を予算に置くまでの計算の順番に絞って書きます。申請書類の書き方と、個別の研修が対象になるかの判定は扱いません。

受け取れる額の計算の細目は、人材開発支援助成金はいくらもらえる?|経費助成と賃金助成の計算方法で扱っています。この記事は、受け取る額ではなく、会社に残る負担を予算の枠から逆算します。

この記事でわかること

  • AI研修に助成金を使ったとき、会社の負担がどこで下がるか
  • 助成率から負担を逆算する4つのステップ
  • 見積の中で、助成の対象になる経費と外れる経費
  • 架空の予算で、負担の枠から受講人数を出す計算
  • 試算で見落としやすい点と、この記事で解けないこと

AI研修に助成金を使うと負担はどう変わる?|要件を満たすと研修費と受講中の賃金の2か所で下がる

AI研修に助成金を使い、要件を満たして支給されると、会社の負担は、研修にかかった経費と、受講している時間の賃金の2か所で下がります。厚生労働省の人材開発支援助成金は、訓練経費の一部を助成する経費助成と、訓練期間中の賃金の一部を助成する賃金助成の2つを置いています。

受講中の賃金は研修がなくても払う給与なので、本記事の負担の計算には入れず、賃金助成だけを研修費から差し引きます。

ファクトボックス|AI研修に使う助成金の基本情報

項目

内容

制度名

人材開発支援助成金。AI研修の候補は主に事業展開等リスキリング支援コースと人材育成支援コース

所管・窓口

厚生労働省。窓口は事業所を管轄する都道府県労働局

事業展開等リスキリング支援コースの率

経費助成は中小企業75%・大企業60%。賃金助成は1時間につき中小企業1,000円・大企業500円

経費助成の上限

受講者ごと・訓練ごとに、実訓練時間数の区分で3段階。eラーニングと通信制は別の上限

経費の支払い

対象になる経費は、支給申請までに申請する事業主が全て負担する

根拠資料

厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)」令和8年8月3日版ほか

出典URL

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731978.pdf ほか(末尾の出典・注記に資料ごとに掲載)

最終確認日

2026年10月19日

免責

支給には審査があります。要件は制度改正で変わるため、最新の内容は管轄の労働局でご確認ください

会社に残る負担の考え方

本記事では、会社に残る負担を次のように整理します。この分け方は本記事の整理で、厚生労働省の資料にある区分ではありません。

項目

中身

助成で戻るもの

研修費のうち対象になる経費

受講料・教材費など、要件を満たす経費

経費助成。助成率を掛け、1人1訓練の上限で止まる

研修費のうち対象にならない経費

ツールの導入費・受講者の旅費など

戻らない。全額が会社の負担

受講中の賃金

所定労働時間内に受講した時間の賃金

賃金助成。1人1時間あたりの定額を、研修費の負担から差し引く

会社に残る負担は、研修費から、要件を満たして戻る経費助成と賃金助成を引いた残りです。

AI研修で候補になる2つのコースの助成率と上限

AI研修に使う候補は、主に人材開発支援助成金の事業展開等リスキリング支援コースと人材育成支援コースです。事業展開等リスキリング支援コースと、人材育成支援コースの人材育成訓練は、どちらも10時間以上のOFF-JTを対象にしていて、率と上限は次のとおりです。

区分

事業展開等リスキリング支援コース

人材育成支援コース(人材育成訓練)

経費助成率

中小企業75%/大企業60%

正規雇用労働者等は中小企業45%/大企業30%。有期契約労働者等は70%。賃金要件等を満たすと15%加算

賃金助成(1人1時間)

中小企業1,000円/大企業500円

中小企業800円/大企業400円。賃金要件等を満たすと中小企業200円・大企業100円加算

経費助成の上限(中小企業・受講者ごと・訓練ごと)

10時間以上100時間未満30万円/100時間以上200時間未満40万円/200時間以上50万円

10時間以上100時間未満15万円/100時間以上200時間未満30万円/200時間以上50万円

経費助成の上限(大企業・受講者ごと・訓練ごと)

同じ区分で20万円/25万円/30万円

同じ区分で10万円/20万円/30万円

賃金助成の対象時間

受講者ごと・訓練ごとに1,200時間まで

受講者ごと・訓練ごとに1,200時間まで

1事業所1年度の上限

1億円

1,000万円

数字の出どころは、事業展開等リスキリング支援コースの詳細版p.38と、人材育成支援コースのご案内p.14です。率は企業規模と受講者の雇用形態で分かれ、どちらも審査で要件を満たした場合に使える率です。

事業展開等リスキリング支援コースが対象にする訓練

事業展開等リスキリング支援コースが対象にするのは、新たな分野への事業展開・DX化やGX化・人材育成の計画で今後就く職務に必要な専門的な知識と技能を習得させるOFF-JTで、2026年8月3日の改正では、DX化・GX化の訓練のうち職務に間接的に必要なものと職業人として共通に必要なものが対象外と明記されました(詳細版p.13、改正リーフレット LL080803開企01)。生成AIの訓練がどう線引きされたかは事業展開等リスキリング支援コースの解説で扱い、この記事は使うコースが決まった前提で負担の計算に進みます。

逆算は4ステップで進める

AI研修の負担は、次の4ステップで逆算します。ステップの分け方は本記事の整理で、厚生労働省の手続きの順番ではありません。

型D・フロー型。助成率から負担を逆算する流れを、左から右へ4つの箱で示す。要素=ステップ1「受講人数と訓練時間を決める」→ステップ2「見積を対象になる経費と外れる経費に分ける」→ステップ3「助成率を当て、1人1訓練の上限で止める」→ステップ4「先払いと審査の結果を織り込み、予算の枠に置く」。各箱の下に小さく、そのステップで決まるもの=上限の区分と賃金助成の時間/戻らない経費の額/1人あたりの戻りの見込み/予算に置く3つの額。ステップ4の箱を青で強く、ほかは白地に青枠。結論=AI研修の負担は、人数と時間を決め、経費を分け、率と上限を当て、先払いと審査を織り込む順番で逆算します。

AI研修の負担は、人数と時間を決め、経費を分け、率と上限を当て、先払いと審査を織り込む順番で逆算します。


ステップ1 受講人数と訓練時間を先に決める|上限の区分と賃金助成がここで決まる

ステップ1では、助成率を当てる前に、誰が何人、何時間、どの受け方で受講するかを決めます。経費助成の上限の区分は実訓練時間数で決まり、賃金助成は所定労働時間内に受講した時間にだけ付くため、この2つが決まらないと計算に入れません。

訓練時間は、除いたあとの実訓練時間数で数える

上限の区分に使うのは、時間割の合計ではなく、対象にならない時間を除いたあとの実訓練時間数です。事業展開等リスキリング支援コースの詳細版は、時間の数え方を次のように定めています。

時間

実訓練時間数の扱い

出典

食事を伴う休憩・移動時間

含めない

詳細版p.11・p.29

1回30分以下の小休止

1日について累計60分まで含められる

詳細版p.29

開講式・閉講式・オリエンテーション

1回の計画届について累計60分まで含められる

詳細版p.29

予習・復習(宿題・事前学習・確認テスト)

総訓練時間数にも実訓練時間数にも数えない

詳細版p.27

対象にならない内容のコマも、実訓練時間数から除きます。除いたあとが10時間を下回ると、そもそも助成の対象にならず、負担は研修費の全額になります。

所定労働時間内の時間だけが、賃金助成の時間になる

賃金助成が付くのは、実訓練時間数のうち所定労働時間内に受講した時間です。所定労働時間外や休日に実施した訓練は、休日を前もって別の日に振り替えた場合を除き、賃金助成の対象外です(詳細版p.30)。ただし実訓練時間数には数えるため、上限の区分には入ります。

受け方で、賃金助成が付くかと上限が変わる

通学制と同時双方向型の通信訓練は、経費助成と賃金助成の両方が付きます。eラーニングによる訓練・通信制による訓練・定額制サービスによる訓練は経費助成のみで、賃金助成は付きません(詳細版p.30・p.38)。

事業展開等リスキリング支援コースでは、eラーニングと通信制による訓練の経費助成の上限が、時間の区分によらず中小企業15万円・大企業10万円になります。通学制や同時双方向型と組み合わせた場合も同じ扱いです(詳細版p.38)。

型B・対比型。事業展開等リスキリング支援コースで、受け方によって助成の付き方が変わることを左右に並べる。要素=左「通学制・同時双方向型の通信訓練」=経費助成と賃金助成の両方が付く/経費助成の上限は実訓練時間数の区分で決まる/自社で開く事業内訓練でも助成される。右「eラーニング・通信制」=経費助成のみで賃金助成は付かない/上限は時間によらず中小企業15万円・大企業10万円/2026年8月3日以降の計画届に基づくeラーニングは1人1年度1回まで。左を青で強く、右は淡い青。中央に区切りや分かれ目のラベルは置かない。大きな番号は置かない。結論=通学制や同時双方向型の受け方は経費助成と賃金助成の両方が付き、eラーニングは経費助成のみで上限も別に決まっています。

通学制や同時双方向型の受け方は経費助成と賃金助成の両方が付き、eラーニングは経費助成のみで上限も別に決まっています。

同じ受講料でも受け方で戻る額が変わるため、見積は受け方を決めてから依頼します。

人数は、要件を満たす受講者だけを数える

人数に数えられるのは、雇用保険の被保険者で、計画届のときに出す対象労働者一覧に載っている人です。通学制と同時双方向型では、受講時間数が実訓練時間数の8割以上であることも要件で、届かない受講者はその人の分が支給の対象から外れます(詳細版p.17)。日程の都合で欠席が見込まれる人を受講人数に入れるかは、計算の前に決めます。

受講回数にも上限があります。1人の労働者につき1年度で3回まで、そのうち2026年8月3日以降に出した計画届に基づくeラーニングによる訓練は、ほかの実施方法と組み合わせて実施する場合も含めて1回までです(詳細版p.39)。同じ社員に年度内に別の研修も受けさせる予定なら、回数の枠を先に数えます。


ステップ2 見積を、助成の対象になる経費と外れる経費に分ける

ステップ2では、AI研修の見積の行を、助成の対象になる経費と外れる経費に分けます。助成率を掛けられるのは対象になる経費だけで、外れる経費は全額が会社の負担として残るためです。

研修会社に委託するか、自社で開くかで対象の経費が変わる

対象になる経費は、研修会社などの教育訓練機関に委託する事業外訓練と、自社が主催して講師を招く事業内訓練で分かれます。事業展開等リスキリング支援コースの詳細版p.30〜32の主な項目を並べます。

開き方

対象になる主な経費

対象にならない主な経費

事業外訓練(研修会社に委託)

受講に必要な入学料・受講料・教科書代等。あらかじめ受講案内等で定めているものに限る

受講者の旅費・宿泊費など、訓練に直接要する経費以外のもの。申請事業主と密接な関係にある教育訓練機関への受講料等

事業内訓練(自社で開く)

部外講師の謝金・手当(実訓練時間1時間あたり3万円が上限)・部外講師の旅費・会場や備品の借上費・教科書や教材の購入費

上限を超える講師の旅費・宿泊費、タクシー代・食費、コンサルタント料に当たるもの、パソコンソフトウェアなど繰り返し活用できる教材

事業内訓練は、通学制と同時双方向型の通信訓練に限って助成されます(詳細版p.19)。自社でeラーニングを用意して受けさせる形は、事業内訓練としては助成の対象になりません。

AIツールの導入費は、研修とセットでも対象にならない

AI研修の見積で特に分けておきたいのが、ツールの導入費です。詳細版は、AI研修とAIツールの導入をセットで行えば導入費も研修費として申請できる、という勧誘を注意の例に挙げ、AI研修費用は対象経費だがAIツールの導入費用は対象経費ではないと書いています(詳細版p.21)。

見積にツールのライセンスや導入支援の行が入っている場合は、その行を研修費から外して計算します。

会社が全額を負担していない経費は外れる

対象になる経費は、支給申請までに申請事業主が全て負担していることが必要です(詳細版p.30)。研修会社から返金や協力金を受けて実質的な負担が減る場合は、名目を問わず経費助成の対象になりません(詳細版p.21・p.33)。

受講した労働者に訓練経費を一部でも負担させている場合は、経費助成だけでなく賃金助成も受けられません(事業展開等リスキリング支援コース支給要領 0501)。助成金を申請するかどうかで受講料が変わる価格設定の場合は、その差額が支給の対象外です(詳細版p.33)。

見積から外れる経費を先に抜いておくと、助成率を掛ける元の額が決まり、あとで負担が増える行がなくなります。

研修会社への質問の形で見積の中身を確かめる方法は、人材開発支援助成金の対象講座の見分け方|研修会社に聞く5つの質問で扱っています。


ステップ3 助成率を当て、1人1訓練の上限で頭打ちにする

ステップ3では、AI研修の見積から対象外の行を抜いた経費に助成率を掛け、1人1訓練の上限と比べます。上限を超えた分は戻らないため、率を掛けた額と上限の小さいほうが、その受講者の経費助成の見込みです。

1人あたりの戻りは、経費助成と賃金助成を足して出す

1人あたりの戻りの見込みは、上限で止まる経費助成に賃金助成を足した額で、これを受講人数分足して1事業所1年度の上限に当てます。経費助成と賃金助成の計算の細目は、人材開発支援助成金はいくらもらえる?|経費助成と賃金助成の計算方法で扱っています。

率どおりに戻る対象経費の境目を、上限から逆に出す

逆算で使いやすいのが、上限を率で割った額です。1人あたりの対象になる経費がこの額以下なら率どおりに戻り、超えた分は会社の負担に残ります。境目は本記事が上限と率から計算した目安です。

区分

1人1訓練の上限

助成率

率どおり戻る対象経費の目安

事業展開等リスキリング支援コース・中小企業・10時間以上100時間未満

30万円

75%

40万円まで

事業展開等リスキリング支援コース・大企業・10時間以上100時間未満

20万円

60%

約33.3万円まで

事業展開等リスキリング支援コース・中小企業・eラーニング

15万円

75%

20万円まで

人材育成支援コース・中小企業・正規雇用労働者等・10時間以上100時間未満

15万円

45%

約33.3万円まで

境目を超える研修では、率を上げても戻りは増えず、上限の区分が上がる実訓練時間数に届くかどうかで戻りが変わります。

「実質負担4分の1」は、中小企業が事業展開等リスキリング支援コースを使い、対象になる経費が上限の内側に収まる場合の目安で、どの研修にも当てはまる割合ではありません。

賃金助成は、時間と受け方で決まる定額

賃金助成は受講者の実際の時給と関係なく1人1時間あたりの定額で、事業展開等リスキリング支援コースの中小企業なら、所定労働時間内に16時間受講した人で1.6万円です。払う賃金そのものは負担に入れず、この額を研修費の負担から差し引きます。本記事の例も同じ計算です。

賃金要件などを満たした場合の加算と、事業展開等リスキリング支援コースの設備投資加算は、例の計算に入れていません。加算は研修のあとの賃金の引き上げや機器の導入が条件で、研修を決める時点の予算には置きにくいためです。

境目と上限を、自社の企業規模と受講人数に当てて確かめたい場合は、料金試算(助成金対応)が使えます。

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ステップ4 先払いと審査の結果を織り込み、予算の枠に置く

ステップ4では、助成率と上限から出したAI研修の負担の見込みを、支払いの時期と審査の結果まで含めて予算の枠に置きます。助成金は研修のあとに申請して審査を受けるもので、研修の代金を払う時点では、まだ戻っていないからです。

研修費は、支給申請までに全額を払う

事業展開等リスキリング支援コースの手続きは、訓練開始日の6か月前から1か月前までに計画届を出し、訓練を実施し、訓練終了日の翌日から2か月以内に支給申請する順番です。訓練に係る費用は、支給申請までに支払い終えている必要があります(詳細版p.40)。

令和7年度以降、支給・不支給の審査は支給申請のあとに一括して行われます。詳細版は審査に時間を要するとだけ書いていて、入金までの期間は示していません(詳細版p.40)。

計画届を出しても、支給は決まらない

詳細版は、計画届を提出したことをもって助成金が確実に支給されるものではないと明記しています(詳細版p.40)。要件を満たしているかは、研修を終えたあとの審査で判断されます。

そのため、予算の枠には、負担の見込みのほかに、先に払う研修費の総額と、助成が出なかった場合の負担も置きます。その負担は研修費の全額で、以下では不支給のときの負担と呼びます。

助成率から逆算した負担は、払える額の上限を決める数字ではなく、審査で要件を満たした場合に落ち着く数字として扱います。

申請の前後で確かめる書類と期限は、AI研修の助成金申請で対象外になる5つの原因|書類と期限の確認表で扱っています。


架空の予算で逆算する|負担の枠から受講人数を出す

助成率から負担を逆算する4ステップを、架空のAI研修に当てます。金額はすべて計算の順番を見せるための架空の値で、実在の研修の受講料ではなく、研修が対象になると判定したものでも、受け取れる額を約束するものでもありません。

前提|16時間の研修を、オンラインの同時双方向型で受ける

事業展開等リスキリング支援コースを使い、研修会社に委託するオンラインの同時双方向型の研修で、実訓練時間は16時間、すべて所定労働時間内に受講すると置きます。見積は1人あたり受講料20万円と、別の行にツールの利用料2万円があり、受講者は全員が8割以上受講したものとします。

ステップ2のとおり、ツールの利用料は対象になる経費から外します。会社の区分と受け方を変えた3つの場合で、1人あたりを計算すると次のとおりです。

計算の段

中小企業・同時双方向型

大企業・同時双方向型

中小企業・eラーニングで受けた場合

経費助成

20万円×75%=15万円。上限30万円の内側

20万円×60%=12万円。上限20万円の内側

20万円×75%=15万円。上限15万円ちょうど

賃金助成

16時間×1,000円=1.6万円

16時間×500円=0.8万円

付かない

1人あたりの戻り

16.6万円

12.8万円

15万円

1人あたりの負担の見込み

22万円−16.6万円=5.4万円

22万円−12.8万円=9.2万円

22万円−15万円=7万円

中小企業でも、ツールの利用料2万円が残るため、負担の見込みは受講料の4分の1の5万円ではなく5.4万円です。eラーニングの列は、受講料が境目の20万円を少しでも超えると、超えた分がそのまま負担に加わります。

予算の条件から、受講人数を逆に出す

中小企業の同時双方向型の列で、経理から「負担の見込みは50万円以内」「先に払う額は150万円以内」という2つの条件を出されたと置きます。先に払う額は、不支給のときの負担と同じ額です。人数は、それぞれの条件を1人あたりの額で割って出します。

予算の条件

1人あたりの額

計算

受講できる人数

負担の見込みが50万円以内

5.4万円

50万円÷5.4万円=約9.3

9人

先に払う額=不支給のときの負担が150万円以内

22万円

150万円÷22万円=約6.8

6人

2つの条件のうち、受講人数を決めるのは小さいほうの6人です。負担の見込みだけで考えると9人まで受けられそうに見えますが、9人では先に払う研修費が198万円になり、条件の150万円を超えます。

6人なら、先に払う研修費は132万円、戻りの見込みは99.6万円で、負担の見込みは32.4万円です。不支給のときの負担も132万円で、条件の150万円の内側に収まります。

型A・全体像カード型。架空の例で6人が受講した場合に、予算に置く額を、3枚の淡いカード+下に幅いっぱいの強調カード(不支給のときの負担・K3)で示す。要素=上段カード「先に払う研修費」=132万円。支給申請までに全額を払う/上段カード「戻りの見込み」=99.6万円。1人16.6万円の6人分。審査で要件を満たした場合/上段カード「負担の見込み」=32.4万円/下段の幅いっぱいのカード「不支給のときの負担」=132万円。下段のカードを青で強く、上段の3枚は淡い青。カードの下に小さく「金額はすべて架空の値」。大きな番号は置かない。結論=受講人数は、負担の見込みではなく、先に払う額と不支給のときの負担で決まることがあります。

受講人数は、負担の見込みではなく、先に払う額と不支給のときの負担で決まることがあります。

時間割が変わったら、計算をやり直す

例の16時間のうち、対象にならない内容のコマが7時間あると判断されると、実訓練時間数は9時間になり、10時間を下回ります。その場合は経費助成も賃金助成も付かず、6人の負担は132万円のままです。

研修会社のカリキュラムが変わったときや、受け方を一部eラーニングに切り替えたときは、ステップ1から計算し直します。時間の区分と受け方が変わると、上限と賃金助成の両方が動くためです。


試算で見落としやすい点|時間・受け方・費用の出どころ

AI研修の負担を試算するときに見落としやすい点は、主に次の3つです。どれも、試算の時点では見込みどおりでも、研修のあとに戻る額が変わる点です。

企業規模は、支給申請の時点で判定される

中小企業に当たるかどうかは、主たる事業ごとに、資本金の額か、企業全体で常時雇用する労働者の数で判断し、どちらかの基準に当てはまれば中小企業です。判断の時点は支給申請の時点です(詳細版p.12)。

計画届から支給申請までのあいだに採用が進み、両方の基準を超えると、大企業の率と上限で計算されます。境目に近い会社は、大企業の列でも負担を出しておきます。

年度は、研修の日ではなく支給申請日で数える

受講回数の上限と1事業所1年度の上限は、支給申請日を基準にした4月1日から翌年3月31日までの年度で数えます(詳細版p.39)。3月に終わる研修は、支給申請が4月以降になると翌年度の枠で数えられます。

予算を年度ごとに締める会社は、研修費を払う年度と戻る見込みの年度を別の行で持ちます。

同じ研修に別の助成を重ねると、併せて受けられない場合がある

詳細版は、同じ訓練の受講・経費・賃金に係る助成制度を複数利用する場合、併給できない場合があるとしています(詳細版p.38)。自治体の研修費の助成と国の助成金を同じAI研修に重ねて戻りを見込むと、試算が実際より大きくなります。

国と自治体の制度の分け方は、人材育成助成金とは|研修費・正社員化・自治体の3つで選ぶ制度で扱っています。

それぞれの点で、どの受講者が対象になり、研修や会社がどの要件を満たす必要があるかは、助成金の対象は何で決まる?|会社・社員・研修の3つで判定するで順番に確かめられます。


この記事で解けないこと|個別の可否・研修費の相場・入金の時期

この記事の逆算は、要件を満たした場合の見込みを出す手順で、次の3つには答えられません。

自社の研修が対象になるかどうか

個別の研修が対象になるかは、計画届とカリキュラム、受講者の職務をもとに、支給申請のあとの審査で判断されます。この記事の例も、対象になると判定したものではありません。

申請前・訓練中・支給申請時のそれぞれで満たす要件は、人材開発支援助成金の要件チェック|申請前・訓練中・支給申請時の3段階で確かめられます。個別の可否は、事業所を管轄する都道府県労働局に相談します。

AI研修の受講料そのものの相場

逆算に使う受講料は、研修会社の見積で決まります。見積の行の比べ方と、形式による費用の違いは、AI研修費用の内訳|見積もりで比べる5項目と下げ方で扱っています。

助成金が入金される時期

支給申請から入金までの期間は詳細版に示されていないため、入金の時期を前提にした資金繰りの計画は、この記事では出せません。


DAIJOBUの場合|負担の試算でお示ししていること

当社のClaude Code法人研修は、3時間×4回の計12時間で組んでおり、主に事業展開等リスキリング支援コースをご案内しています。受講料は記事では公開しておらず、受講人数と企業規模をうかがったうえで、助成金を当てた場合の負担を試算してお示ししています。

研修の時間は、実訓練時間数10時間以上という要件に対して12時間で組んでいますが、対象になるかどうかを研修会社が保証することはできません。支給の可否は労働局の審査で決まるため、当社がお示しする負担は、要件を満たした場合の見込みです。

申請するのは受講する会社です。当社ができるのは、計画届に添付するカリキュラムをお出しすることと、試算の前提を会社と一緒にそろえることまでです。


AI研修の助成金と負担に関するよくある質問

Q. 見積の総額に助成率を掛けて、予算を出してもよいですか

A. 見積の総額に助成率を掛けると、負担を小さく見積もるおそれがあります。 総額には対象にならない経費が入っていることがあり、対象になる経費にも1人1訓練の上限がかかるためです。対象外の行を抜いてから率を掛け、上限と比べる順番で出します。

Q. 社員の時給が高い会社でも、賃金助成の額は同じですか

A. 賃金助成は、実際の時給に関係なく、1人1時間あたりの定額です。 事業展開等リスキリング支援コースでは中小企業1,000円・大企業500円で、所定労働時間内に受講した時間に付きます。時給が高い会社ほど、受講中の賃金のうち戻らない部分が大きくなります。

Q. 研修費を分割で払う契約でも、助成金の計算は変わりませんか

A. 助成の対象になる経費は、支給申請までに会社が全て負担していることが必要です。 支給申請の時点で払い終えていない分があると、要件を満たしません。分割で払う場合は、最後の支払いが支給申請の期限より前に終わるかを契約の前に確かめます。


AI研修に助成金を使うときの負担の逆算|総括表

ステップ

決めること・確かめること

負担に効くところ

1. 受講人数と訓練時間

除いたあとの実訓練時間数・所定労働時間内の時間・受け方・要件を満たす受講者

上限の区分と賃金助成の有無

2. 経費を分ける

対象になる経費と、ツールの導入費・受講者の旅費など外れる経費

外れる経費は全額が負担に残る

3. 率と上限を当てる

対象になる経費×助成率と、1人1訓練の上限の小さいほう+賃金助成

境目を超えた経費は戻らない

4. 予算の枠に置く

負担の見込み・先に払う研修費の総額・不支給のときの負担

受講人数を決める条件になることがある

率と上限は、厚生労働省の令和8年8月3日版の資料で確かめた値です。



まとめ|AI研修の助成金で、会社の負担は何で決まるのか

AI研修に助成金を使ったときの会社の負担は、受講人数と訓練時間、対象になる経費の額、助成率と1人1訓練の上限で決まります。助成率だけでは決まらず、先に払う研修費と不支給のときの負担まで置くと、予算の枠に収まる人数が決まります。

AI研修に助成金を当てて予算を組むなら、次の3つから始められます。

  1. 今日:受講人数・実訓練時間・受け方を決め、会社が中小企業と大企業のどちらに当たるかを支給申請の時点の見込みで確かめる
  2. 今週中:研修会社の見積を、対象になる経費の行と、ツールの導入費などの外れる行に分ける
  3. 今週中:負担の見込み・先に払う研修費の総額・不支給のときの負担の3つを出し、経理と予算の条件を合わせる

最後に、社内で自分に問える1問を置きます。御社のAI研修の予算は、助成が出なかった場合の負担まで含めて、何人分を払える枠になっていますか。

  • AI研修に助成金を使い、要件を満たして支給されると、会社の負担は研修費と受講中の賃金の2か所で下がります。事業展開等リスキリング支援コースでは、中小企業の経費助成が75%、賃金助成が1人1時間1,000円です
  • 助成率から逆算するときは、受講人数と訓練時間を先に決めます。訓練時間で1人1訓練の上限の区分が決まり、受け方で賃金助成が付くかどうかが変わります
  • 逆算した負担は、審査で要件を満たした場合の見込みです。訓練経費は支給申請までに会社が全額を払うため、助成が出なかった場合の負担も予算に置きます

自社の受講人数と企業規模で、助成金を当てた場合の負担の目安を確かめたい方は、料金試算(助成金対応)からお試しいただけます。

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研修の中身と進め方を先に見ておきたい場合は、研修を検討する前に、助成金の確認ポイントを読むもご利用いただけます。

研修を検討する前に、助成金の確認ポイントを読む


出典・注記

  • 厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)」令和8年8月3日版 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731978.pdf (2026年10月19日参照)。用語の定義 p.11、中小企業の範囲 p.12、対象となる訓練の3類型 p.13、対象労働者と8割受講 p.17、事業内訓練の実施方法 p.19、AIツール導入費と返金・協力金の扱い p.21、予習・復習の扱い p.27、対象とならない訓練の表 p.28、時間の数え方 p.29、対象となる賃金と経費 p.30〜32、訓練経費の負担 p.33、助成率と限度額 p.38、受講回数と1事業所の上限 p.39、手続きの流れと審査 p.40 による
  • 厚生労働省「令和8年8月3日からの変更点について 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)改正」LL080803開企01 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731966.pdf (2026年10月19日参照)。DX化・GX化に関する訓練の対象外の範囲と、受講回数の上限による
  • 厚生労働省「人材開発支援助成金 支給要領(6)事業展開等リスキリング支援コース」令和8年8月3日 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731981.pdf (2026年10月19日参照)。0501 支給対象経費による
  • 厚生労働省「人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内」 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731967.pdf (2026年10月19日参照)。人材育成支援コースの助成率・助成額 p.14、経費助成の限度額 p.14、賃金助成の上限時間と1事業所の上限 p.15 による
  • 4つのステップ、会社に残る負担の考え方、率どおり戻る対象経費の境目は、本記事の整理です。架空の例の金額は計算の順番を示すための値です
  • 受講料を記事で公開せず試算でお示ししていること、研修を12時間で組んでいることは、当社の自社情報です
  • 助成率・上限額・要件は制度改正で変わります。本記事は2026年10月19日時点で確認した内容で、受給を保証するものではありません。個別の可否は管轄の都道府県労働局でご確認ください

この記事について

本記事は、法人向けにClaude Codeの研修を提供するDAIJOBUが、AI研修に助成金を使ったときの会社の負担を逆算する手順を、厚生労働省の一次資料に沿って整理したものです。

著者

DAIJOBU株式会社 Claude Code法人研修部 コンテンツ担当 佐藤 雅俊

編集責任者

DAIJOBU株式会社 Claude Code法人研修 事業責任者 石井 雄大

監修

DAIJOBU株式会社 代表取締役 山中 裕貴

公開日

2026年10月23日

最終更新日

2026年10月23日

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