社員の研修費に充てるつもりでスキルアップ補助金を調べているなら、会社が申請できるのは企業向けの助成金の側だけです。

教育訓練給付金のような個人の給付金は、社員本人が講座を選び、本人の名義で費用を払った学び直しに使う制度です。同じ講座でも、講座を選ぶ人と費用を払う名義で、入る制度が入れ替わります。

この記事の要点は3つ

  1. 教育訓練給付金は、社員本人が申請し、本人が受け取る給付金です。 会社は申請できず、会社が払った研修費も本人の給付の計算に入りません
  2. 社員の研修費に会社が使えるのは、人材開発支援助成金などの企業向けの助成金です。 AI研修でまず候補になるのは事業展開等リスキリング支援コースで、要件を満たし審査を経た場合に、会社が払った訓練経費の一部が助成されます
  3. 人材開発支援助成金の人への投資促進コースには、社員が自分で選んだ講座の費用を会社が負担したときの枠があります。 ただし同じ費用を、本人の給付金と会社の助成金の両方に数えることはできません

会社が研修費を払う前提で、助成金を使う場合の実質負担の目安を先に見たい方は料金試算(助成金対応)をご利用ください。

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この記事は、研修費の相談を会社の助成金の側で受けている法人研修の提供側から、会社の人事・経営の方に向けて書いたもので、社員が個人で受ける講座の給付額の計算やハローワークでの手続きの細部は扱いません。

この記事でわかること

  • スキルアップ補助金として検索で並ぶ7つの制度と、それぞれを受け取る人
  • 教育訓練給付金と人材開発支援助成金の違い
  • 会社が個人の給付金を申請できない理由
  • AI研修で会社が使う制度と、社員が個人で受ける講座の使い分け
  • 社員が選んだ講座に会社が費用を出すときの助成金と、本人の給付金との関係
  • この記事で解けないこと

目次

  1. スキルアップ補助金とは|名前でなく、誰が申請する制度かで分かれる
  2. 教育訓練給付金と人材開発支援助成金|申請する人が入れ替わる
  3. 教育訓練給付金は会社が申請できない|会社が払った研修費も対象外
  4. 会社の研修費の中心は人材開発支援助成金|会社が計画して申請する
  5. 社員の学び直しに会社が関わる3つの形|誰が選び、誰が払うか
  6. この記事で解けないこと|判定・会社負担の扱い・自治体の網羅
  7. DAIJOBUの場合|法人研修は会社の助成金の側で検討する
  8. スキルアップ補助金に関するよくある質問
  9. スキルアップ補助金|総括表
  10. あわせて読みたい
  11. まとめ|スキルアップ補助金は会社でも使える?

スキルアップ補助金とは|名前でなく、誰が申請する制度かで分かれる

スキルアップ補助金は、検索すると複数の公的な制度がまとめて出てくる呼び名です。2026年9月25日に検索結果を確かめると、個人向けの制度のページと会社向けの制度のページが混ざって並んでいました。

名前に「スキルアップ」を含む制度だけでも、受け取る人が逆になります。東京都のスキルアップ助成金は会社が申請し、大阪府スキルアップ支援金は受講した本人が申請します。解説記事の中にも、会社向けの制度と個人向けの制度を同じ欄に並べているものがあります。

検索で並ぶ制度

所管

受け取る人

社員研修の費用に会社が使えるか

教育訓練給付金

厚生労働省

受講した本人

使えない。本人が申請する給付金

リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業

経済産業省

補助金は補助事業者に交付され、受講者は受講を終えると受講費用の一部の負担が軽くなる

使えない。転職を目指す在職者向けの事業

大阪府スキルアップ支援金

大阪府

受講した本人

使えない。本人が申請する支援金

人材開発支援助成金

厚生労働省

事業主(会社)

社員研修で中心になる制度。要件を満たし、審査を経た場合に助成

東京都のスキルアップ助成金

東京都・東京しごと財団

都内の中小企業等

都の要件の範囲で候補になる

産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)

厚生労働省

出向元・出向先の事業主

研修費ではなく、在籍型出向中の賃金が対象

キャリアアップ助成金

厚生労働省

事業主

正社員化と処遇改善の制度で、研修費のコースは無い

表の7つのうち、会社が申請して会社が受け取るのは下の4つです。そのうち社員の研修費そのものを対象にするのは、人材開発支援助成金と東京都のスキルアップ助成金の2つに絞られます。

スキルアップ補助金は、名前ではなく、誰が申請して誰が受け取る制度かで、会社が使えるかどうかが決まります。

ファクトボックス|スキルアップ補助金の基本情報

項目

内容

呼び名の範囲

検索で並ぶ国と自治体の制度7つ(2026年9月25日に確認)

会社が申請する制度

人材開発支援助成金、東京都のスキルアップ助成金、産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)、キャリアアップ助成金

本人が申請する制度

教育訓練給付金、大阪府スキルアップ支援金

事業者を通じて受講者の負担が軽くなる制度

リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業

社員研修の費用で中心になる制度

人材開発支援助成金。AI研修では事業展開等リスキリング支援コースが候補

会社負担との関係

教育訓練給付の対象は、受講者が支払った教育訓練経費(ハローワーク)。事業主あての領収書では申請できない(一般教育訓練の手引 令和8年4月版)

主な根拠資料

厚生労働省・ハローワーク・経済産業省・大阪府・東京しごと財団の各制度ページ、人材開発支援助成金の支給要領(R8.8.3)

出典URL

https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_education.html ほか(末尾の出典・注記に制度ごとに掲載)

最終確認日

2026年9月25日

免責

どの制度も支給には要件の確認と審査があります。要件は改正で変わるため、最新の内容は所管の窓口でご確認ください

表の中で、社員研修を考える会社がいちばん取り違えやすいのは、本人の教育訓練給付金と会社の人材開発支援助成金です。次の章で、この2つを並べます。


教育訓練給付金と人材開発支援助成金|申請する人が入れ替わる

教育訓練給付金と人材開発支援助成金は、どちらも雇用保険法に基づく学び直しの制度です。ただし、誰を支える制度かは最初から分かれています。

ハローワークは教育訓練給付金の目的を「働く方々の主体的な能力開発やキャリア形成を支援し、雇用の安定と就職の促進を図ること」と書いています。厚生労働省は人材開発支援助成金を「事業主等が雇用する労働者に対して、職務に関連した専門的な知識及び技能を習得させるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合等に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度」と説明しています。

支える相手が「働く方々」と「事業主等」で分かれている点が、2つの制度の違いの出発点です。申請する人も、お金を受け取る人も、ここから入れ替わります。

型B・対比型。教育訓練給付金と人材開発支援助成金を左右に並べる。要素=左(教育訓練給付金)=支えるもの=本人の主体的な学び直し/申請する人=受講した本人/申請先=ハローワーク/受け取る人=本人。右(人材開発支援助成金)=支えるもの=会社が計画に沿って行う職務に関連した訓練/申請する人=事業主/申請先=都道府県労働局/受け取る人=会社。左右の同じ段に同じ項目を置く。中央に「申請する人と受け取る人が入れ替わる」の縦帯。右側を青で強く。結論=教育訓練給付金は本人が申請して本人が受け取り、人材開発支援助成金は会社が申請して会社が受け取ります。

教育訓練給付金は本人が申請して本人が受け取り、人材開発支援助成金は会社が申請して会社が受け取ります。

講座を決める仕組みが違う|国の指定講座か、会社が出す計画か

教育訓練給付金の対象は、厚生労働大臣が指定した講座だけです。社員本人が教育訓練講座検索システムで講座を調べ、自分で選んで申し込みます。内容が近くても、指定を受けていない講座は対象になりません。

人材開発支援助成金では、会社が訓練のカリキュラムを添えて計画届を出し、支給申請のあとに、職務との関係や訓練時間などの要件で審査を受けます。講座の指定の有無と、会社の助成金の審査は、別々に動いています。 指定講座だから会社の助成金に通るわけでも、会社の助成金に通った研修が指定講座になるわけでもありません。

受講者の条件が違う|本人の加入期間か、その会社の被保険者か

教育訓練給付金は、本人の雇用保険の加入期間が原則3年以上あることが条件です。初めて受け取る場合は、一般教育訓練・特定一般教育訓練で1年以上、専門実践教育訓練で2年以上で足ります。

人材開発支援助成金は、受講者が申請する会社の事業所で雇用保険の被保険者であり、訓練の期間中も被保険者であることが条件です。加入の年数ではなく、いまその会社で被保険者かどうかを見ます。雇用保険の被保険者でない役員は、会社の助成金の受講者の要件から外れます。

手続きの期限と窓口が違う|受講の前後で数え方が変わる

手続きの期限は、本人の給付金が受講と修了の日から、会社の助成金が訓練開始日と訓練終了日から数えます。

手続き

教育訓練給付金

人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)

受講前

特定一般・専門実践は、受講開始日の2週間前までにハローワークで受給資格の確認

訓練開始日の6か月前から1か月前までに、会社が労働局へ計画届

費用の支払い

本人が自分の名義で払う

会社が支給申請日までに全額を払う

受講後

一般教育訓練は、修了日の翌日から1か月以内に本人がハローワークへ支給申請

訓練終了日の翌日から2か月以内に、会社が労働局へ支給申請

会社の研修として進めるなら、日程を決める時点で計画届の期限が効いてきます。本人の給付金の期限は、会社の日程表には載りません。


教育訓練給付金は会社が申請できない|会社が払った研修費も対象外

教育訓練給付金は、会社が社員研修の費用に使う制度ではありません。申請するのが本人であることに加えて、給付の計算に入る費用も、本人が払った分に限られるからです。

厚生労働省の一般教育訓練の手引(令和8年4月版)は、給付の対象になる費用を、受講者が「自らの名において」払った費用と定めています。事業主あての領収書では支給申請ができず、会社が受講に伴って手当を出した場合も、受講料に充てる分は差し引いて申請します。会社が講座の費用を立て替えるときの条件は、リスキリング補助金の一覧|企業向けと個人向けの違いで手引の条件を3つに分けてまとめています。

会社の研修で受けた講座がたまたま指定講座でも、会社が払った費用は本人の教育訓練給付の計算に入りません。

キャリアアップ支援事業は個人向けでも、補助金の交付先は事業者

経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」も、個人向けの支援として紹介される事業です。ただし、補助金を受け取るのは個人ではありません。受講者向けのページには「補助事業者に補助金が支給されることで、受講者の費用負担が軽減されます」と書かれています。

事業者向けのページも、補助の対象を「補助事業者が実施する『キャリア相談対応』、『リスキリング提供』、『転職支援』、『フォローアップ』に要する経費」としています。受講者は、国に採択された補助事業者のサービスに登録して講座を受け、受講を終えると受講費用の一部の負担が軽くなります。軽くなる額は、利用する補助事業者のサービスごとに確かめます。

型D・フロー型。リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業のお金の流れを左から右へ示す。要素=経済産業省(補助金を交付する)→補助事業者(採択された民間事業者。キャリア相談・講座・転職支援を提供する)→受講者(転職を目指す在職者。受講を終えると受講費用の一部の負担が軽くなる)の3つの箱を矢印でつなぐ。経済産業省から補助事業者への矢印に「補助金」、補助事業者から受講者への矢印に「受講を終えると受講費用の負担を軽くする(目安は1/2相当額)」。受講者の箱の下に「今いる会社の社員研修には使わない」の注記。補助事業者の箱を青で塗る。番号は付けない。結論=キャリアアップ支援事業の補助金は補助事業者に交付され、受講者は受講を終えると受講費用の一部の負担が軽くなります。

キャリアアップ支援事業の補助金は補助事業者に交付され、受講者は受講を終えると受講費用の一部の負担が軽くなります。

目安は受講費用(税別)の1/2相当額で、上限と転職後の追加分はリスキリング補助金の一覧|企業向けと個人向けの違いの表にまとめています。

対象は「在職者であり、雇用主の変更を伴う転職を目指している方」で、個人への支援の終期は令和8年度末です。今いる会社で働き続ける社員の研修に、会社が使う事業ではありません。

大阪府スキルアップ支援金も、本人が申請する制度

名前に「スキルアップ」が入る自治体の制度にも、個人向けのものがあります。大阪府スキルアップ支援金(令和8年度)は、教育訓練給付の指定を受けた講座のうち、令和8年4月1日以降に開講し令和9年2月28日までに修了するものを対象にしています。

府のページは、雇用保険に加入したことがない方などを「教育訓練給付制度に該当せず、支援金の対象になる方」として挙げています。補助の対象になる経費からは、事業主等から支給される手当等を差し引きます。申請の期限は令和9年3月10日です。

名前が似ていても、会社が社員研修の費用を申請する制度ではありません。個人向けの自治体の制度は他の地域にもありますが、この記事では網羅していません。


会社の研修費の中心は人材開発支援助成金|会社が計画して申請する

会社が社員の研修費に使えるスキルアップ補助金の中心は、厚生労働省の人材開発支援助成金です。会社が訓練の計画を立て、受講者を決め、費用を払い、支給を申請します。

事業展開等リスキリング支援コースの詳細版パンフレット(令和8年8月3日版)のフローチャートによると、会社が業務命令で社員に受けさせる訓練では、期限のある手続きのほかに、会社の側で次の2つを整えます。

  1. 職業能力開発推進者を選び、事業内職業能力開発計画を作って社員に知らせる
  2. 受講者の職務に直接関連する訓練を、勤務として受けさせ、その間も賃金を払う

計画届から支給申請までの期限は、「手続きの期限と窓口が違う」の表のとおりです。同じパンフレットには「計画届を提出したことをもって、助成金が確実に支給されるものではありません」とも書かれています。助成は審査を経て決まるもので、計画届の受理は支給の約束ではありません。 申請の流れと、助成率・上限額・対象にならない訓練は、事業展開等リスキリング支援コースとは|AI研修で使う条件と流れにまとめています。

AI研修|社員研修は人材開発支援助成金、個人は教育訓練給付金

会社が社員に受けさせるAI研修は、人材開発支援助成金の側で考えます。

どのコースで、どんな訓練が対象の候補になるかは、人材開発支援助成金の対象講座一覧の記事でコースごとに整理しています。都内で事業を営む中小企業等なら東京都のスキルアップ助成金も候補に入り、国の制度とどちらを使うかはスキルアップ助成金は国と都道府県のどちら?で扱っています。DX研修に使う都の制度は、DXリスキリング助成金の記事で条件と申請の流れを書いています。

社員が自分でAIの講座を選び、自分の費用で受けるなら、使うのは本人の教育訓練給付金です。講座の名前にAIと入っていても、指定を受けていなければ給付の対象になりません。

会社が研修費を払う前提で、企業規模と人数から実質負担の目安を出すなら料金試算(助成金対応)が使えます。

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社員の学び直しに会社が関わる3つの形|誰が選び、誰が払うか

社員の学び直しに会社が関わる形は、講座を誰が選び、費用を誰が払うかで3つに分かれます。形が決まると、見るスキルアップ補助金も決まります。

型A・全体像カード型。社員の学び直しを「講座を選ぶ人(会社・社員)」×「費用を払う人(会社・社員)」の2×2のマスで示す。要素=マス①「会社が選び、会社が払う」=人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コースなど)。マス②「社員が選び、社員が払う」=教育訓練給付金。マス③「社員が選び、会社が費用を出す」=人材開発支援助成金の人への投資促進コース(自発的職業能力開発訓練)。残る1マス「会社が選び、社員が払う」は空きマスにし「この記事では数えない」と添える。①を青で強く、③を淡青に。結論=社員の学び直しは、講座を選ぶ人と費用を払う人の組み合わせで、入る制度が3つに分かれます。

社員の学び直しは、講座を選ぶ人と費用を払う人の組み合わせで、入る制度が3つに分かれます。

会社が講座を選び、費用を社員に払わせる組み合わせは数えていません。一般教育訓練の手引が会社の立替払を好ましくないとする4つの理由のうち、講座の選択が労働者の自由意思に基づくことの担保がないことと、企業内の職業訓練との線引きがあいまいになることの2つに当たりやすい形だからです。

自社の研修は「該当しない例」から当てはめてください。

形

入る制度

該当しない例

① 会社が選び、会社が払う

人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コースなど)

職務に間接的に必要なだけの訓練。被保険者でない役員の受講

② 社員が選び、社員が払う

教育訓練給付金

指定外の講座。事業主あての領収書になった費用

③ 社員が選び、会社が費用を出す

人への投資促進コース(自発的職業能力開発訓練)

会社が受講を指示した研修。労働時間中の受講。就業規則等に経費負担の制度が無い場合

この3つは見る制度を決めるための整理で、支給の可否を決めるものではありません。

① 会社が選び、会社が払う|会社の研修は人材開発支援助成金

会社が受講者と内容を決め、業務として受けさせる研修です。事業展開等リスキリング支援コースのパンフレットのフローチャートでいう「申請事業主が業務命令で対象労働者に訓練を受講させる場合」で、「会社の研修費の中心は人材開発支援助成金」の章で挙げた準備と期限は、この形のものです。本人の教育訓練給付金は、この形では使いません。

人材開発支援助成金のコースが「会社が受けさせる訓練」と「社員の自発的な受講を支える制度」の2系統に分かれる全体像は、人材開発支援助成金とは|AI研修で使えるコースの選び方で扱っています。

② 社員が選び、社員が払う|本人の学び直しは教育訓練給付金

社員が自分で講座を選び、自分の名義で費用を払う学び直しです。講座が指定講座で、本人が加入期間などの要件を満たせば、本人がハローワークに教育訓練給付金を申請します。

会社はこの給付金の申請者にはなりません。会社が費用や時間の面で関わりたい場合は、次の③か、この章の最後に書く時間の制度で考えます。

③ 社員が選び、会社が費用を出す|自発的職業能力開発訓練

人材開発支援助成金の人への投資促進コースには、「自発的職業能力開発訓練」というメニューがあります。社員が自分で選んで受ける講座の費用を、会社が制度に基づいて負担したときに、会社が申請する助成金です。

支給要領(R8.8.3)は、自発的職業能力開発を「使用者の指揮命令下に置かれる労働時間中に実施される訓練等ではなく、労働時間以外において労働者の申出により実施される自発的な訓練等」と定めています。①の会社の研修とは、受講の時間も決め方も逆の形です。

項目

人への投資促進コース(自発的職業能力開発訓練)の支給要領(R8.8.3)

会社の制度

労働協約または就業規則に、社員の自発的な受講の経費を会社が負担する制度を定める

会社の負担

経費の2分の1以上を会社が負担する

お金の渡し方

本人が機関に払った場合は、会社の負担分を本人に通貨で直接払う。会社が機関へ直接払う形も取れ、その場合は本人の負担分を本人から受け取る

訓練

計画届に基づく、教育訓練機関が実施する事業外のOFF-JT。通学制と同時双方向型は1コース10時間以上

内容

職務を問わず、職業に必要となる知識及び技能

助成

経費助成率45%。訓練修了後に賃金を増額した場合は割増分15%。賃金助成は無い

限度額

1人1計画あたり、実訓練時間10時間以上100時間未満で7万円、100時間以上200時間未満で15万円、200時間以上で20万円。1事業所1年度で300万円

大学や定額制など、実施方法と機関で別の限度額があります(支給要領 07026ハ)。

経費助成率45%の分母は、会社が負担した入学料・受講料・教科書代等で、社員本人が負担した分は入りません。上限は1人1計画あたりの額なので、率だけでは会社の実質負担は決まらず、支給も審査を経た場合に限られます。それでも持ち帰れるのは、会社が出す額と本人が出す額を、講座の申し込み前に分けて決めておくことです。

講座が教育訓練給付の指定講座なら、本人の給付金との関係も確かめる必要があります。一般教育訓練の手引は、会社が受講に伴って出した手当のうち受講料に充てる分を、本人の給付の計算から差し引くとしています。支給要領(R8.8.3)も、指定講座の訓練では、申立書とハローワークの教育訓練給付台帳で「対象労働者の経費負担の重複がないことを確認すること」としています。

型C・帯構造型。社員が自分で選んだ講座の受講費用を1本の帯にし、誰が負担した分をどちらの制度で数えるかを示す。要素=上段に横長の帯「受講費用」。帯を左右に分け、左「会社が負担した分」、右「本人が自分の名義で払った分」。左の下に「会社の助成金の計算に入る」、右の下に「本人の給付金の計算に入る(指定講座で本人が要件を満たせば)」。最下段に「経費負担の重複は教育訓練給付台帳で確認される」の帯。左を青で強く。結論=受講費用のうち会社が負担した分は会社の助成金で数え、本人が自分の名義で払った分だけが、指定講座で本人が要件を満たせば本人の給付金の対象になり、同じ費用を両方には数えません。

受講費用のうち会社が負担した分は会社の助成金で数え、本人が自分の名義で払った分だけが、指定講座で本人が要件を満たせば本人の給付金の対象になり、同じ費用を両方には数えません。

時間を出す制度も、本人側と会社側で分かれる

学び直しの時間を支える制度にも、本人が受け取るものと会社が受け取るものがあります。本人側の教育訓練休暇給付金は、一定の条件を満たす雇用保険の一般被保険者が、就業規則等に基づいて連続30日以上の無給の教育訓練休暇を取った場合に、失業給付(基本手当)に相当する給付を受け取る制度です。

会社側の人材開発支援助成金(教育訓練休暇等付与コース)は、3年間に5日以上取れる有給の教育訓練休暇制度を就業規則等に新たに定め、社員が休暇を取って訓練を受けた場合に、会社に制度導入・実施助成30万円(賃金を増額した場合は36万円)を出します。支給要領(R8.8.3)の定めで、こちらも要件の確認と審査を経て決まります。

本人の給付金は無給の休暇を、会社の助成金は有給の休暇制度を前提にしています。どちらも就業規則等への定めが入口なので、会社が制度を置かないと、本人側の教育訓練休暇給付金も使えません。一方で、無給の教育訓練休暇制度をすでに導入している会社は、有給の制度の助成の対象外です。


この記事で解けないこと|判定・会社負担の扱い・自治体の網羅

この記事は、制度の違いを一次資料で確かめられる範囲に絞っています。次の3つは、この記事では答えを出していません。

① 自社の研修や社員の講座が、実際に対象になるかの判定

会社の助成金は労働局の審査で、本人の給付金はハローワークの確認で決まります。この記事の表は、どの制度を見るかを決めるためのもので、支給の見込みを示すものではありません。個別の判定は、管轄の労働局とハローワークでご確認ください。

② 特定一般・専門実践で、会社が費用の一部を負担したときの扱い

この記事で引いた手引は、一般教育訓練の施設向けです。特定一般教育訓練と専門実践教育訓練で会社が費用の一部を負担した場合の扱いは、この記事では断定していません。受講前の手続きのときに、ハローワークで確かめてください。

③ 自治体の制度の網羅

大阪府と東京都は、名前に「スキルアップ」が入る制度の例として挙げました。他の地域の制度は、それぞれの自治体のページで、受付終了の告知と対象の形を先に確かめてください。


DAIJOBUの場合|法人研修は会社の助成金の側で検討する

DAIJOBUのClaude Code法人研修は、会社が申し込み、会社が費用を払う研修です。この記事の3つの形では①に当たるため、検討するのは会社の助成金の側で、主力の制度としてご案内しているのは事業展開等リスキリング支援コースです。

制度を前提に検討される会社には、受講者の要件を商談でお伝えしています。受講者は雇用保険の被保険者で、訓練の期間中も雇用が続いていることが要件です。役員だけで受ける場合は対象外の可能性があるため、助成金を使わない場合の見積もりも並べてお出しします。

支給の可否は労働局の審査で決まり、DAIJOBUが受給を保証することはできません。

企業規模と人数から、助成金を使う場合の実質負担の目安を出したい方は料金試算(助成金対応)をご利用ください。

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スキルアップ補助金に関するよくある質問

Q. 会社が払った講座で、社員は教育訓練給付金を受け取れますか

A. 社員が受け取る教育訓練給付の対象は、本人が自分で払った分だけです。 一般教育訓練の手引は、給付の対象を本人が自分の名義で払った費用とし、事業主あての領収書では支給申請ができないとしています。会社の研修として受けさせるなら、会社の助成金の側で考えてください。

Q. 社員が選んだ講座の費用を、会社が全額出してもよいですか

A. 会社は、社員が選んだ講座の費用を制度として全額出すことができ、要件を満たせば人への投資促進コースの自発的職業能力開発訓練の類型に入ります。 要件には、就業規則等に経費負担の制度を定めることや、会社の負担分を本人に通貨で直接払うか、会社が教育訓練機関へ直接払うことがあります。一般教育訓練の手引の扱いでは、会社が全額を出すと本人が負担した分が残らないため、同じ講座で本人の教育訓練給付の計算に入る費用はありません。

Q. 社員が選んだ指定講座の費用を会社が半分出すと、どちらで数えますか

A. 会社が出した半分は会社の助成金で数え、社員が自分の名義で払った残りの半分は、本人が要件を満たせば本人の給付金で数えます。 半分の負担は、自発的職業能力開発訓練の「2分の1以上」の要件に届きます。一般教育訓練の手引の扱いでは、本人は会社から受け取った分を差し引いて申請します。どちらも支給は審査を経て決まります。

Q. 大阪府スキルアップ支援金は、会社が申請できますか

A. 大阪府スキルアップ支援金は、会社ではなく受講した本人が申請する制度です。 令和8年度は、教育訓練給付の指定講座のうち期間内に修了したものが対象で、申請の期限は令和9年3月10日です。事業主等から支給される手当等は、補助の対象になる経費から差し引きます。

Q. キャリアアップ助成金は、研修費に使えますか

A. キャリアアップ助成金に、研修費のためのコースはありません。 厚生労働省のキャリアアップ助成金は、非正規雇用の労働者の正社員化や処遇改善に取り組んだ事業主に助成する制度です。研修費は人材開発支援助成金の側で探してください。

Q. 雇用保険の加入1年未満の社員にも、会社の助成金は使えますか

A. 会社の助成金は、加入の年数ではなく、その会社の雇用保険の被保険者かどうかで見ます。 事業展開等リスキリング支援コースでは、その事業所の被保険者で、訓練の期間中も被保険者であることなどが受講者の要件です。本人の教育訓練給付金は初めてでも加入1年以上(専門実践は2年以上)が要るので、同じ社員でも使える制度が分かれます。


スキルアップ補助金|総括表

論点

押さえるところ

呼び名

スキルアップ補助金は、複数の制度がまとめて検索される呼び名。検索で並ぶ7つのうち、会社が申請するのは4つ

会社が研修費に使う制度

人材開発支援助成金と東京都のスキルアップ助成金。AI研修の中心は事業展開等リスキリング支援コース

本人が申請する制度

教育訓練給付金、大阪府スキルアップ支援金

キャリアアップ支援事業

補助金の交付先は補助事業者。転職を目指す在職者向けで、社員研修には使わない

2つの制度の違い

申請する人、受け取る人、講座を決める仕組み、受講者の条件、手続きの期限と窓口

会社が払った研修費

本人の教育訓練給付の計算に入らない(一般教育訓練の手引)

会社が関わる3つの形

会社が選び会社が払う/社員が選び社員が払う/社員が選び会社が費用を出す

社員が選び会社が費用を出す形

人への投資促進コース(自発的職業能力開発訓練)。支給要領(R8.8.3)で経費助成率45%

費用の重複

会社の負担分は会社の助成金。本人が自分の名義で払った分だけが、指定講座で本人が要件を満たせば本人の給付金の対象


あわせて読みたい

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まとめ|スキルアップ補助金は会社でも使える?

会社が申請して研修費に充てられるのは、人材開発支援助成金を中心にした企業の助成金です。社員本人の給付金は会社の研修費に回せず、分かれ目は制度の名前ではなく、講座を選ぶ人と費用を払う名義にあります。

今週やることは3つです。書き出しは1行ずつで足ります。

  1. 今日のうちに、検討中の研修について「講座を選ぶのは会社か社員か」と「費用の名義は会社か社員か」を1行ずつ書き出す
  2. 今週中に、会社の研修として進めるなら、職業能力開発推進者と事業内職業能力開発計画があるかを確かめ、計画届の期限から研修開始日を逆算する
  3. 今週中に、社員の自発的な学び直しも支えたいなら、就業規則に経費負担や教育訓練休暇の制度があるかを人事で確かめる

最後に、社内で1つだけ確かめてください。御社がいま検討している研修は、講座を選ぶのと費用を払うのが、それぞれ会社と社員のどちらですか。

保存用に、この記事の要点を3つに戻します。

  • 教育訓練給付金は、社員本人が申請し、本人が受け取る給付金です。 会社は申請できず、会社が払った研修費も本人の給付の計算に入りません
  • 社員の研修費に会社が使えるのは、人材開発支援助成金などの企業向けの助成金です。 AI研修でまず候補になるのは事業展開等リスキリング支援コースで、要件を満たし審査を経た場合に、会社が払った訓練経費の一部が助成されます
  • 人材開発支援助成金の人への投資促進コースには、社員が自分で選んだ講座の費用を会社が負担したときの枠があります。 ただし同じ費用を、本人の給付金と会社の助成金の両方に数えることはできません

会社の研修として進める場合の実質負担の目安は、料金試算(助成金対応)で確かめられます。

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出典・注記

  • ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付金」 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_education.html (2026年9月25日参照)。目的・加入期間・受講前の手続き・支給申請の期限・支給の対象になる経費
  • 厚生労働省「教育訓練給付金制度(一般教育訓練)関係手引(教育訓練施設用)令和8年4月版」 https://www.mhlw.go.jp/content/001310625.pdf (2026年9月25日参照)。教育訓練経費の範囲、事業主あての領収書、手当等の差し引きは本文p.13〜14。この手引は一般教育訓練の施設向けで、特定一般・専門実践で会社が一部を負担した場合と手当の差し引きの扱いは、本記事では断定していません
  • 厚生労働省「教育訓練休暇給付金」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koyouhoken/kyukakyufukin.html (2026年9月25日参照)
  • 経済産業省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」受講者向け https://careerup.reskilling.go.jp/worker/ 、事業者向け https://careerup.reskilling.go.jp/business/ (いずれも2026年9月25日参照)。補助金の交付先、軽減額の目安、個人への支援の終期
  • 大阪府「大阪府スキルアップ支援金について」 https://www.pref.osaka.lg.jp/o110100/koyotaisaku/skillup2/index.html (2026年9月25日参照。ページ更新日2026年6月22日)。令和8年度の対象講座と申請期限
  • 厚生労働省「人材開発支援助成金」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html (2026年9月25日参照)
  • 厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)」令和8年8月3日版 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731978.pdf (2026年9月25日参照)。業務命令で受講させる場合の流れ、計画届と支給申請の期限、計画届と支給の関係
  • 厚生労働省「人材開発支援助成金(人への投資促進コース)支給要領」R8.8.3 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731976.pdf (2026年9月25日参照)。自発的職業能力開発訓練の定義・事業主と制度の要件・助成率・限度額・経費負担の重複の確認
  • 厚生労働省「人材開発支援助成金(教育訓練休暇等付与コース)支給要領」R8.8.3 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731973.pdf (2026年9月25日参照)。教育訓練休暇制度の要件と制度導入・実施助成の額
  • 厚生労働省「産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082805_00012.html (2026年9月25日参照)
  • 厚生労働省「キャリアアップ助成金」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html (2026年9月25日参照)
  • 公益財団法人東京しごと財団「スキルアップ支援事業(助成金一覧)」 https://www.koyokankyo.shigotozaidan.or.jp/jigyo/skillup/skillup.html 、同「令和8年度DXリスキリング助成金」 https://www.koyokankyo.shigotozaidan.or.jp/jigyo/skillup/skill-R8dx-risk.html (いずれも2026年9月25日参照)
  • 検索結果の並びは、2026年9月25日に「スキルアップ補助金」ほか関連語で確認したものです。表の7つは検索で並んだ制度で、学び直しに使える公的な支援のすべてを網羅するものではありません
  • 主力の制度、受講者の要件と助成金を使わない見積もりの併記は、当社の自社情報です。個々の企業名・人名は記載していません
  • 本記事は、いずれの制度についても受給を保証するものではありません。支給の可否は各制度の審査と確認で決まり、要件は改正で変わります。実際に使う前に、所管の最新資料と窓口でご確認ください

この記事について

DAIJOBUは、ソフトウェアテスト・品質保証と脆弱性診断を本業としながら、法人向けにClaude Code研修を提供している会社です。「スキルアップ補助金」で検索すると、会社の助成金と社員個人の給付金が同じ語で並びます(2026年9月25日に確認)。本記事は、「誰が申請し、誰が受け取る制度か」を軸に、所管省庁・自治体の一次資料で確かめられる内容と、当社の運用を分けて書いたものです。

著者

DAIJOBU株式会社 Claude Code法人研修部 コンテンツ担当 佐藤 雅俊

編集責任者

DAIJOBU株式会社 Claude Code法人研修 事業責任者 石井 雄大

監修

DAIJOBU株式会社 代表取締役 山中 裕貴

公開日

2026年9月30日

最終更新日

2026年9月30日