「人材開発支援助成金を調べ始めたら、コースもメニューも多すぎて、どれがうちの話なのか分からなくなった」。社員研修に助成金を使おうとすると、こうした状態になりがちです。

先に答えを書きます。人材開発支援助成金は1本の制度ではなく、要件の違う7つのコースの集まりです。 コースごとにパンフレットが分かれ、助成の形も、使える会社も違います。

迷う原因は、助成率の高いコースから探し始めることです。率は最後に見れば足ります。先に見るのは、その訓練を会社が業務として受けさせるのか、社員が自分で選んで受けるのかです。この記事では、2026年度(令和8年度)の厚生労働省の資料をもとに、7コースの全体地図と、研修の形から行き先のコースを引く判定表をまとめます。

この記事の要点は3つ

  1. 人材開発支援助成金は7コースの集まりです。社員研修に広く使えるのは4コースで、残りの3コースは建設業や障害者の能力開発施設など対象が限られます。人材育成支援コースと人への投資促進コースは、中がさらにメニューに分かれています
  2. 最初の分かれ目は2系統です。会社が業務命令で受けさせる訓練か、社員が自発的に受ける訓練を会社が支えるか。どちらに当たるかで、見るべき訓練メニューが入れ替わります
  3. 受け取る額は助成率だけでは決まりません。経費助成には1人1訓練あたりの上限があり、経費が「上限÷助成率」を超えたところから、率を掛けた額より少なくなります
型A・全体像カード型。人材開発支援助成金の7コースを2つのグループに分けて1枚に並べる。要素=左グループ「社員研修に広く使える4コース」=①人材育成支援コース(職務に関連した訓練)②教育訓練休暇等付与コース(有給の教育訓練休暇制度の導入)③人への投資促進コース(デジタル・高度人材の訓練、自発的な訓練、定額制訓練など)④事業展開等リスキリング支援コース(事業展開・DX・GX化に伴う訓練)。右グループ「対象が限られる3コース」=⑤建設労働者認定訓練コース(建設事業主向け)⑥建設労働者技能実習コース(建設事業主向け)⑦障害者職業能力開発コース(能力開発施設の設置・運営。令和6年4月から支給業務は独立行政法人へ移管)。左グループを青で強く、右グループは淡い塗り。③と④の右肩に小さく「令和8年度末までの時限措置」のタグ。結論=人材開発支援助成金は、要件の違う7つのコースの集まりです。

人材開発支援助成金は、要件の違う7つのコースの集まりです。

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当社がAI研修で案内しているのは、7コースのうち主に事業展開等リスキリング支援コースです。そのコース単体の条件・改正・手続きは事業展開等リスキリング支援コースとは|AI研修で使う条件と流れに詳しくまとめています。この記事は、その1つ手前の「制度全体のどこに何があるか」を扱います。

この記事でわかること

  • 人材開発支援助成金の定義と、7コースそれぞれの目的・対象・助成の形
  • 人材育成支援コースの4つの訓練メニューと、人への投資促進コースの5つの訓練と1つの制度
  • 厚生労働省のフローチャートが示す「業務命令」と「自発的な受講」の2系統
  • 経費助成・賃金助成・制度導入助成の3つの形と、受け取る額の計算の順番
  • 助成額の上限に当たり始める経費の目安と、中小企業と大企業で変わるところ
  • 研修の目的と形から行き先のコースを引く判定表と、AI研修の場合の結論
  • 申請から支給までの4段階の要点と、似た制度との境界

目次

  1. 人材開発支援助成金とは|訓練経費と賃金の一部を助成する、7コースの制度
  2. 人材開発支援助成金の7コース一覧|目的・対象・助成の形を1枚で見る
  3. 人材開発支援助成金は2系統に分かれる|会社が受けさせる訓練か、社員の自発的な受講か
  4. 人材開発支援助成金の経費助成と賃金助成の仕組み|何に対して、いくら出るか
  5. 中小企業と大企業で変わる3つのところ|率・時間単価・上限
  6. 人材開発支援助成金のコースの選び方|研修の形から行き先を引く判定表
  7. 人材開発支援助成金の申請から支給までの流れ|4段階の要点と、詳しい記事の行き先
  8. 人材開発支援助成金を使う前に決めておくこと|似た制度との境界と、使わない判断
  9. 人材開発支援助成金に関するよくある質問
  10. 人材開発支援助成金の全体地図|総括表
  11. あわせて読みたい
  12. まとめ|人材開発支援助成金は、率より先に「どの系統のどの形か」で引く

人材開発支援助成金とは|訓練経費と賃金の一部を助成する、7コースの制度

人材開発支援助成金は、厚生労働省が所管する雇用関係の助成金です。厚生労働省の資料では、事業主等が雇用する労働者に、職務に関連した専門的な知識及び技能を習得させるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度と説明されています。

ここで押さえておきたいのは「計画に沿って」の部分です。研修を受けたあとに領収書を出せば戻る仕組みではありません。訓練の前に計画を届け出て、その計画どおりに実施した分が審査の対象になります。

ファクトボックス|人材開発支援助成金の全体像(2026年度)

項目

内容

制度名

人材開発支援助成金

所管

厚生労働省。窓口は都道府県労働局・ハローワーク

コース数

7コース(人材育成支援/教育訓練休暇等付与/人への投資促進/事業展開等リスキリング支援/建設労働者認定訓練/建設労働者技能実習/障害者職業能力開発)

助成の形

訓練経費の一部(経費助成)、訓練期間中の賃金の一部(賃金助成)、休暇制度などの導入に対する定額の助成

対象になる労働者

申請事業主の雇用保険被保険者

時限措置

人への投資促進コースと事業展開等リスキリング支援コースは、令和8年度末までの時限措置

1事業所・1年度の限度額

人材育成支援コース1,000万円/人への投資促進コース2,500万円(成長分野等人材訓練を除く)/事業展開等リスキリング支援コース1億円

補足

障害者職業能力開発コースは、令和6年4月から独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が支給業務を行う助成金へ移管すると案内されています

根拠資料

厚生労働省「人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内」令和8年8月3日版 ほか各コースのパンフレット

出典URL

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html

最終確認日

2026年9月16日

免責

支給には審査があります。要件・金額は制度改正で変わるため、最新の内容は管轄の労働局でご確認ください

コースごとに、パンフレットも要件も別

人材開発支援助成金という名前で調べると、率や上限の数字が並んだ記事が出てきます。ところがその数字は、どれか1つのコースの、さらにどれか1つのメニューの値です。

厚生労働省の資料も、コースごとに別の冊子になっています。人材育成支援コース、教育訓練休暇等付与コース、人への投資促進コース、事業展開等リスキリング支援コースの4つは、それぞれ令和8年8月3日版のパンフレットが出ています。建設の2コースは建設事業主向けの別ページ、障害者職業能力開発コースは支給業務の移管先の案内に分かれます。

自社で読むべきパンフレットを1冊に絞るのが、この制度を調べるときの最初の作業です。 次の章で、7コースを1枚の表に並べます。


人材開発支援助成金の7コース一覧|目的・対象・助成の形を1枚で見る

人材開発支援助成金の7コースを、目的・主な対象・助成の形で並べます。コースの並びは厚生労働省の一覧ページの順です。

コース

目的

主な対象

助成の形

人材育成支援コース

職務に関連した知識・技能を習得させる訓練

事業主(事業主団体等も可)

経費助成・賃金助成・OJT実施助成

教育訓練休暇等付与コース

有給の教育訓練休暇制度(3年間で5日以上)を導入し、社員が休暇を取って訓練を受ける

事業主

制度導入に対する定額の助成

人への投資促進コース

デジタル・高度人材の訓練、社員の自発的な訓練、定額制訓練など

事業主

メニューにより、経費助成・賃金助成・OJT実施助成・制度導入助成

事業展開等リスキリング支援コース

事業展開やDX・GX化に伴って新たに必要になる知識・技能の訓練

事業主

経費助成・賃金助成。要件を満たすと設備投資加算

建設労働者認定訓練コース

建設関連の認定訓練の実施と、建設労働者の有給での受講

中小建設事業主・中小建設事業主団体

訓練経費の一部・訓練期間中の賃金の一部

建設労働者技能実習コース

建設労働者に技能向上のための実習を有給で受講させる

建設事業主・建設事業主団体

訓練経費の一部・訓練期間中の賃金の一部

障害者職業能力開発コース

障害者の職業能力を開発・向上させる教育訓練施設の設置・運営

施設を設置・運営する事業主等

費用の一部。支給業務は独立行政法人へ移管

建設業でも障害者の能力開発施設の運営でもない会社にとって、候補は上の4つです。社員研修の費用で「人材開発支援助成金」と言われているのは、ほぼこの4コースのどれかだと考えて差し支えありません。

教育訓練休暇等付与コースだけは、性格が違います。助成の対象は研修費ではなく、休暇制度を作って実際に使わせたことです。厚生労働省の資料では、制度導入に対して30万円(賃金要件等を満たす場合は36万円)が、1事業主に1度限り支給されると案内されています。

人材育成支援コースの4つの訓練メニュー

人材育成支援コースは、中が4つの訓練メニューに分かれています。数字は中小企業・通常分の経費助成率です。

メニュー

訓練の形

経費助成率

人材育成訓練

職務に関連した10時間以上のOFF-JT

正規雇用労働者等45%・非正規雇用労働者70%

認定実習併用職業訓練

厚生労働大臣の認定を受けた、OFF-JTとOJTの組み合わせ

45%。OJTには1人1コースの定額助成

有期実習型訓練

有期契約労働者等を正社員等へ転換するための、OFF-JTとOJTの組み合わせ

75%。正社員化した場合に助成

中高年齢者実習型訓練

45歳以上の労働者が実践的なスキルを習得するための、OFF-JTとOJTの組み合わせ

60%。OJTには1人1コースの定額助成

社外の研修会社の講座を受けさせる、社内で講師を立てて講義をする、といった一般的な社員研修が当てはまるのは、たいてい1つ目の人材育成訓練です。残りの3つはOJTを組み合わせることが前提で、研修の日程だけでなく職場での実習の計画まで要ります。

人への投資促進コースは、5つの訓練と1つの制度でできている

人への投資促進コースは、厚生労働省の資料で「令和4年~8年度の期間限定助成」と説明されているコースです。中身は5つの訓練メニューと、休暇・勤務の制度に対する1つのメニューです。数字は中小企業・通常分です。

メニュー

何に対する助成か

主な助成

高度デジタル人材訓練

ITスキル標準・DX推進スキル標準のレベル3・4などに当たる訓練

経費75%・賃金1人1時間1,000円

成長分野等人材訓練

海外を含む大学院での訓練

経費75%・賃金1,000円(国内大学院の場合)

情報技術分野認定実習併用職業訓練

IT分野未経験者を即戦力にするための、OFF-JTとOJTの組み合わせ

経費60%・賃金800円・OJTに定額助成

定額制訓練

サブスクリプション型の研修サービスによる訓練

経費60%。賃金助成なし

自発的職業能力開発訓練

社員が自発的に受けた訓練の費用を、会社が負担したもの

経費45%。賃金助成なし

長期教育訓練休暇等制度

30日以上の長期教育訓練休暇制度や、教育訓練のための短時間勤務等制度の導入

制度導入20万円ほか

同じコースの中に、率75%のメニューと45%のメニューが同居しています。通常分で75%なのは、高度デジタル人材訓練と成長分野等人材訓練です。定額制訓練なども、賃金要件等を満たすと加算で75%になります。

令和8年度末までの時限措置は、2つのコースに付いている

厚生労働省の助成額一覧には、「令和8年度末までの時限措置」という注が付いたコースが2つあります。人への投資促進コースと、事業展開等リスキリング支援コースです。どちらのパンフレットの冒頭にも、令和4年から8年度までの期間限定の助成である旨が書かれています。

令和8年度は2026年度にあたります。2027年度以降にこの2コースがどうなるかは、2026年9月16日時点で確認した資料には書かれていません。この記事でも、翌年度以降の扱いは推測で書きません。 日程を2027年4月以降に置く計画は、その時点の制度を確認してから組んでください。


人材開発支援助成金は2系統に分かれる|会社が受けさせる訓練か、社員の自発的な受講か

人材開発支援助成金のパンフレットには、「チェックリスト付きフローチャート」というページがあります。どのコース・メニューを使えるかを簡易的に示したもので、最初の分岐は率でも業種でもなく、その訓練を誰が受けると決めたかです。

  • 業務命令系=申請事業主が業務命令で対象労働者に訓練を受講させる場合
  • 自発支援系=申請事業主が、自発的に訓練を受講する労働者を支援する場合
型D・フロー型。人材開発支援助成金のコースを選ぶ最初の分岐を上から下へ示す。要素=最上段に「全コース共通の前提4つ(雇用保険適用事業所の事業主/受講者は雇用保険被保険者/職業能力開発推進者の選任/事業内職業能力開発計画の策定・周知)」の横長ボックス。その下で「その訓練は誰が受けると決めたか」の分岐。左の枝「業務命令系|会社が受けさせる」=要件ボックス(計画届は訓練開始の6か月前から1か月前まで/職務に直接関連/10時間以上/OFF-JTを含む/訓練中も賃金を支払う/経費は支給申請日までに全額負担)→行き先「人材育成支援コース・人への投資促進コースの4メニュー・事業展開等リスキリング支援コース」。右の枝「自発支援系|社員が自分で受ける」=要件ボックス(就業規則等の制度に基づく自発的な受講/社外が主催する訓練/費用の負担か休暇制度等の導入)→行き先「教育訓練休暇等付与コース・人への投資促進コースの自発的職業能力開発訓練と長期教育訓練休暇等制度」。左の枝を青で強く、右の枝は淡い塗り。結論=最初の分かれ目は、会社が受けさせる訓練か、社員の自発的な受講を支える制度かです。

最初の分かれ目は、会社が受けさせる訓練か、社員の自発的な受講を支える制度かです。

全コース共通の前提は4つ

どちらの系統でも、フローチャートの冒頭に次の4つが置かれています。

  1. 申請する会社が、雇用保険適用事業所の事業主であること
  2. 訓練を受ける人が、その事業所の雇用保険被保険者であること
  3. 研修や人事の担当課長等を、職業能力開発推進者として選任していること
  4. 事業内職業能力開発計画を策定し、雇用する労働者に周知していること

3と4は、まだ済んでいなくても計画届を出す日までに整えればよいと注記されています。ただし研修の日程が決まってから慌てて作る書類ではありません。人材育成の方針を書く計画なので、研修の目的とずれていると後の書類との整合が取りにくくなります。

業務命令系|OFF-JTだけか、OJTと組み合わせるか

社員研修の多くは、こちらの系統です。会社が受講者と内容を決め、勤務として受けさせます。フローチャートでは、計画届の期限(訓練開始日の6か月前から1か月前まで)、職務に直接関連すること、訓練時間数が10時間以上であることなど、6つの要件がこの系統に置かれています。6つを並べると、計画届を期限内に出す、訓練期間中も賃金を適正に支払う、支給申請日までに経費を全額負担する、職務に直接関連する、訓練時間数が10時間以上、OFF-JTを含む、です。

その下の分岐は、OFF-JTだけで行うか、OFF-JTとOJTを組み合わせるかです。

  • OFF-JTだけ=人材育成訓練、事業展開等リスキリング支援コース、高度デジタル人材訓練、成長分野等人材訓練、定額制訓練の5つ
  • OFF-JTとOJTの組み合わせ=認定実習併用職業訓練、情報技術分野認定実習併用職業訓練、有期実習型訓練、中高年齢者実習型訓練の4つ。受講者の年齢や雇用形態、IT分野かどうかで行き先が分かれる

OFF-JTは、通常の業務を離れて行う訓練です。研修会社の講座や、業務時間中に会議室で行う社内講義はこちらに入ります。

自発支援系|費用を負担するか、休暇制度を作るか

もう1つの系統は、会社が内容を決める研修ではありません。フローチャートに置かれた要件は3つです。

  1. 労働協約または就業規則に規定した制度に基づき、労働者が自発的に訓練を受講すること
  2. 申請する事業主以外の事業主が主催した訓練であること
  3. 労働者が自発的に受講した訓練の経費を負担すること、または教育訓練休暇制度等を新たに導入・適用すること

3の前半が人への投資促進コースの自発的職業能力開発訓練、後半が教育訓練休暇等付与コースと、人への投資促進コースの長期教育訓練休暇等制度に当たります。

会社が「この研修を全員に受けてほしい」と考えているなら、自発支援系には乗りません。 社員が自分で講座を選ぶことが前提で、社内で企画した講義は2の要件で外れます。手続きが軽そうに見えても、目的が違う系統です。


人材開発支援助成金の経費助成と賃金助成の仕組み|何に対して、いくら出るか

人材開発支援助成金で受け取る額は、助成の形ごとに別々に計算します。形は3つです。

助成の形

何に対して

計算の仕方

経費助成

受講料など、訓練にかかった経費

対象経費×経費助成率。1人1訓練あたりの上限あり

賃金助成

訓練を受けている時間の賃金

所定労働時間内の受講時間×1人1時間あたりの額

制度導入助成など

休暇制度・短時間勤務制度の導入、OJTの実施

定額

率の話が目立つのは経費助成ですが、業務命令系で集合研修を受けさせる場合は、多くのメニューで賃金助成も付きます。2つを足した額が、1人あたりの受取額になります。

型C・帯構造型。人材開発支援助成金で受け取る額の決まり方を3段で積む。要素=上段「経費助成|対象経費×助成率→1人1訓練の上限で頭打ち(上限は実訓練時間の区分で変わる)」。中段「賃金助成|所定労働時間内の受講時間×1人1時間あたりの額(所定外・休日の受講、eラーニング・通信制・定額制は対象外。1人1訓練1,200時間まで)」。下段「定額の助成|休暇制度・短時間勤務制度の導入、OJTの実施」。各段の左に白抜きラベル、右に計算式の枠を置き、上段の右端にだけ黄マーカーで「上限」の札を付ける。結論=受け取る額は経費助成と賃金助成を別々に計算し、経費助成には1人1訓練あたりの上限がかかります。

受け取る額は経費助成と賃金助成を別々に計算し、経費助成には1人1訓練あたりの上限がかかります。

経費助成は「経費×率」。上限は助成額のほうにかかる

経費助成は、対象になる経費に率を掛けて出します。そのうえで、1労働者1訓練あたりの経費助成限度額が設けられていて、計算した額がそれを超えた分は支給されません。上限は「対象になる経費」ではなく「受け取る助成額」にかかります。

上限は、実訓練時間数の区分で変わります。区分を決めるのは支給申請の時点の実訓練時間数です。人材育成支援コースの場合は次のとおりです。

実訓練時間数

中小企業

大企業

10時間以上100時間未満

15万円

10万円

100時間以上200時間未満

30万円

20万円

200時間以上

50万円

30万円

この上限は、通常分と賃金要件等による加算分を合算したうえでの額です。加算で率が上がっても、上限は同じです。事業展開等リスキリング支援コースは同じ区分で上限額が違い、10時間以上100時間未満なら中小企業30万円・大企業20万円です。コースが違えば、同じ研修でも上限が倍違うことがあります。

賃金助成は「所定労働時間内の受講時間×時間単価」

賃金助成の対象になるのは、実訓練時間数のうち所定労働時間内に受講した時間です。所定労働時間外や休日に行った訓練は、割増賃金を払っていても対象になりません。上限は1労働者1訓練あたり1,200時間です。

また、eラーニングによる訓練と通信制による訓練は経費助成のみで、賃金助成は付きません。定額制訓練と自発的職業能力開発訓練も、助成額の一覧で賃金助成の欄が空いています。研修の形を決めた時点で、賃金助成が付くかどうかも決まります。

上限に当たり始める経費は「上限÷率」で分かる

率と上限の両方があると、経費がある額を超えたところから、率を掛けた額より少ない助成しか受け取れなくなります。その境目は「上限÷率」で出せます。以下は実訓練時間10時間以上100時間未満の区分で、当社が計算した目安です。

コース・メニュー(通常分)

中小企業

大企業

事業展開等リスキリング支援コース

経費40万円まで(30万円÷75%)

経費約33万円まで(20万円÷60%)

人材育成訓練(正規雇用労働者等)

経費約33万円まで(15万円÷45%)

経費約33万円まで(10万円÷30%)

仮に、経費が1人60万円、所定労働時間内の実訓練時間が20時間の集合研修で計算すると、次のようになります。金額は計算の順番を見せるための仮の数字です。

項目

リスキリング・中小

リスキリング・大企業

人材育成訓練・中小

経費×率

45万円

36万円

27万円

上限を当てた経費助成

30万円

20万円

15万円

賃金助成(20時間)

2万円

1万円

1.6万円

1人あたりの合計

32万円

21万円

16.6万円

経費が境目を超える研修では、率の差より上限の差のほうが受取額を大きく動かします。 率だけを比べてコースを選ぶと、この差を見落とします。


中小企業と大企業で変わる3つのところ|率・時間単価・上限

人材開発支援助成金は、中小企業だけの制度ではありません。大企業も申請できます。OFF-JTの訓練で企業規模によって変わるのは、次の3つです。

  1. 経費助成率
  2. 賃金助成の時間単価
  3. 経費助成の上限

社員研修でよく使う2つのメニューで並べます。

変わるところ

中小企業

大企業

① 経費助成率

リスキリング75%/人材育成訓練45%

リスキリング60%/人材育成訓練30%

② 賃金助成の時間単価(1人1時間)

リスキリング1,000円/人材育成訓練800円

リスキリング500円/人材育成訓練400円

③ 経費助成の上限(10時間以上100時間未満)

リスキリング30万円/人材育成支援15万円

リスキリング20万円/人材育成支援10万円

表の「リスキリング」は事業展開等リスキリング支援コース、「人材育成訓練」は正規雇用労働者等を対象にした通常分の値です。OJTを組み合わせる訓練では、OJT実施助成の定額も企業規模で変わります(例:認定実習併用職業訓練 中小企業20万円/大企業11万円)。長期教育訓練休暇制度の新規採用助成と職務代行助成は、中小企業だけが対象です。

率の差は15ポイントでも、賃金助成の時間単価は大企業で半分になります。上限も下がるため、大企業のほうが上限に当たり始める経費の額が低くなるメニューがあります。前の章の表で、事業展開等リスキリング支援コースの境目が中小企業40万円・大企業約33万円に分かれていたのはこのためです。

型B・対比型。人材開発支援助成金で企業規模によって変わるものと変わらないものを左右に並べる。要素=左(変わらない・淡い塗り)=①計画届と支給申請の期限②10時間以上・職務に直接関連などの要件③1事業所1年度の限度額と、1人が1年度に申請できる回数。右(企業規模で変わる・青を強く)=①経費助成率(例:事業展開等リスキリング支援コース 中小75%/大60%)②賃金助成の時間単価(例:同コース 中小1,000円/大500円)③経費助成の上限(例:同コース10時間以上100時間未満 中小30万円/大20万円)。中央下に「企業規模を判定するのは支給申請の時点」のラベル。結論=OFF-JTの訓練では、企業規模で変わるのは率・時間単価・上限の3つで、要件と期限は変わりません。

OFF-JTの訓練では、企業規模で変わるのは率・時間単価・上限の3つで、要件と期限は変わりません。

変わらないもの|要件・期限・年度の限度額

計画届の期限、支給申請の期限、訓練時間数の下限、職務に直接関連することといった要件は、企業規模で変わりません。1事業所・1年度あたりの限度額も、パンフレットでは企業規模で分けずに示されています。

大企業だから書類が増える、期限が延びる、ということもありません。 規模で違うのは、率や単価、上限といった額の部分です。

中小企業かどうかは、支給申請の時点で判定する

中小企業に当たるかは、主たる事業の業種ごとに、資本金等の額か常時雇用する労働者の数のどちらかで判定します。パンフレットには、支給申請時点の内容で決定すると書かれています。

計画を立てた時点で中小企業でも、支給申請までに増資や採用で基準を超えれば、大企業の率で計算される読み方になります。業種ごとの基準の表と、判定の細かな扱いはAIリスキリング助成金の使い方|法人の対象条件と申請3ステップにまとめています。

企業規模と受講人数で、率と上限を当てたあとの負担がどうなるかは料金試算(助成金対応)で確かめられます。

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人材開発支援助成金のコースの選び方|研修の形から行き先を引く判定表

人材開発支援助成金のコースは、率の高い順に探すより、研修の形から逆に引くほうが早く決まります。ここまでの2系統と訓練メニューを、判定表にまとめます。右の列は、その行に当てはまらない典型です。

業務命令系の判定表

研修の形

行き先

当てはまらない例

社外講座や社内講義で、職務に関連する知識・技能を10時間以上学ばせる

人材育成支援コース(人材育成訓練)

合計が10時間に届かない。担当業務と関係の薄い内容

事業展開やDX・GX化に伴って、新しく必要になる知識・技能を学ばせる

事業展開等リスキリング支援コース

職務に間接的に必要な内容、職種を問わず職業人として共通に必要な内容

ITスキル標準・DX推進スキル標準のレベル3・4などに当たる訓練を受けさせる

人への投資促進コース(高度デジタル人材訓練)

公的な講座区分に当たらない研修。会社側の要件を満たさない

大学院で学ばせる

人への投資促進コース(成長分野等人材訓練)

大学院以外の講座

定額受け放題の研修サービスを使わせる

人への投資促進コース(定額制訓練)

講座ごとに受講料を払う研修

IT分野の業務に就く15歳以上45歳未満の社員を、OJTと組み合わせて育てる

人への投資促進コース(情報技術分野認定実習併用職業訓練)

OJTを伴わない座学だけの研修

IT分野以外で、厚生労働大臣の認定を受けた実習併用の訓練を15歳以上45歳未満の社員に行う

人材育成支援コース(認定実習併用職業訓練)

大臣の認定を受けていない訓練

有期契約の社員を、正社員等への転換を前提に育てる

人材育成支援コース(有期実習型訓練)

正社員等へ転換しない

45歳以上の社員に、OJTと組み合わせて実践的なスキルを身につけさせる

人材育成支援コース(中高年齢者実習型訓練)

OJTを伴わない研修

型D・フロー型。業務命令系で行き先のメニューを決める順番を上から下へ示す。要素=①「OJTを組み合わせるか」→はいなら右へ分岐し、受講者の条件で4つに分ける(IT分野・15歳以上45歳未満=情報技術分野認定実習併用職業訓練/IT分野以外・大臣認定・15歳以上45歳未満=認定実習併用職業訓練/有期契約から正社員等へ転換=有期実習型訓練/45歳以上=中高年齢者実習型訓練)。いいえなら下へ。②「大学院での訓練か」→成長分野等人材訓練。③「定額受け放題の研修サービスか」→定額制訓練。④「ITSS・DSS-Pレベル3・4等の訓練で、会社側の要件も満たすか」→高度デジタル人材訓練。⑤「事業展開やDX・GX化に伴う新しい知識・技能か」→事業展開等リスキリング支援コース。⑥「職務に関連する10時間以上のOFF-JTか」→人材育成訓練。各行き先の箱の右に、中小企業・通常分の経費助成率を小さく添える。結論=行き先のメニューは、OJTを組み合わせるかと、訓練の中身の2段で決まります。

行き先のメニューは、OJTを組み合わせるかと、訓練の中身の2段で決まります。

自発支援系の判定表

会社がやること

行き先

当てはまらない例

社員が自分で選んで受けた社外の講座の費用を負担する

人への投資促進コース(自発的職業能力開発訓練)

会社が受講を指示した研修。就業規則等に制度が無い

3年間に5日以上取れる有給の教育訓練休暇制度を作り、実際に使わせる

教育訓練休暇等付与コース

制度を作っただけで、誰も取得していない

30日以上の長期教育訓練休暇制度や、教育訓練のための短時間勤務等制度を作る

人への投資促進コース(長期教育訓練休暇等制度)

30日に届かない休暇制度

2つの表のどちらにも当てはまらない研修は、制度の外にあると考えたほうが安全です。表の外にある研修を、名目を変えて表の中に入れようとしないでください。 中身と名目が合わない申請は、審査や労働局による実施状況の確認で問われます。

AI研修の場合は、事業展開等リスキリング支援コースを最初に確かめる

生成AIを自社の業務に取り入れる研修は、判定表の2行目、DX化に伴う訓練として事業展開等リスキリング支援コースに当たるかを最初に確かめるのが順当です。中小企業の経費助成率が75%と高く、10時間以上100時間未満の上限も人材育成訓練の2倍あります。

ただし2026年8月3日以降に提出する計画届では、DX化に関する訓練でも、職務に間接的に必要な内容や職種を問わず共通に必要な内容は対象外です。生成AIの訓練は、厚生労働省の改正リーフレットで対象の例と対象外の例の両方に挙がっています。当てはめ方と手続きの詳細は事業展開等リスキリング支援コースとは|AI研修で使う条件と流れで扱っています。

使い分けの目安は1つです。事業展開やDX化との結びつきを会社の言葉で説明できるなら事業展開等リスキリング支援コース、説明しにくいなら人材育成訓練を候補にします。後者は率と上限が下がる代わりに、DX化との結びつきは求められません。動画見放題型のAI講座を使う場合は、判定表の定額制訓練の行を見てください。

当社の研修は本編を4回×3時間の合計12時間で組んでいて、10時間以上の要件を本編の時間だけで満たします。事前の動画やオプションのフォローアップを足して時間数を説明することはしません。 後から時間を数え直したときに、要件を割り込まない組み方にするためです。

1人に使える回数と、1事業所の年度上限

人材育成支援コースでは、1人の労働者が1年度に支給申請できるのは3回までです。一の年度は、支給申請日を基準に4月1日から翌年3月31日までで数えます。

1事業所・1年度の限度額は、人材育成支援コースが1,000万円、人への投資促進コースが2,500万円(成長分野等人材訓練を除く。うち自発的職業能力開発訓練は300万円)、事業展開等リスキリング支援コースが1億円です。人数の多い会社では、この年度上限にも先に当たりうることを覚えておいてください。たとえば人材育成支援コースで、経費助成だけで1人15万円の上限いっぱいを受け取る場合、67人分で1,000万円を超えます。


人材開発支援助成金の申請から支給までの流れ|4段階の要点と、詳しい記事の行き先

人材開発支援助成金の手続きは、業務命令系の訓練であれば、コースが違っても大枠は同じ4段階です。その前に、共通の前提である職業能力開発推進者の選任と事業内職業能力開発計画の策定・周知を済ませておきます。

段階

期限・タイミング

要点

① 計画届の提出

訓練開始日から起算して6か月前から1か月前まで

職業訓練実施計画届(様式第1-1号)とコースごとの必要書類を労働局へ。手続きは雇用保険適用事業所の単位

② 訓練の実施

計画どおりに

訓練にかかる費用は、支給申請までに支払い終えておく

③ 支給申請

訓練終了日の翌日から起算して2か月以内

支給申請書(様式第4-1号)と必要書類。経費助成を申請する場合は、受講料等の価格設定に関する疎明書(様式第28号)も出す

④ 支給・不支給の決定

期間の目安は資料に記載なし

令和7年度以降、支給・不支給の審査は支給申請後に一括して行う

④の注記は見落とされがちです。パンフレットには、審査を支給申請後に一括して行うこと、計画届を提出したことをもって助成金が確実に支給されるものではないことが書かれています。計画届が受け付けられた時点では、まだ何も決まっていません。

休暇制度を導入するメニューは流れが違い、たとえば教育訓練休暇等付与コースでは「制度導入・適用計画届」を作成します。事業展開等リスキリング支援コースの必要書類と期限の数え方は事業展開等リスキリング支援コースとは|AI研修で使う条件と流れに、お金が動く順番と、申請書類の作成を誰に頼めるかはAIリスキリング助成金の使い方|法人の対象条件と申請3ステップにまとめています。


人材開発支援助成金を使う前に決めておくこと|似た制度との境界と、使わない判断

人材開発支援助成金は、使うと決めてから支給の決定まで、長く付き合う制度です。計画届から支給申請までの間に、受講者の入れ替えや日程の変更も起きます。着手の前に押さえておくことを、似た制度との境界、決めたことの残し方、社内でよく出る反論の順に書きます。

個人向けの給付や、自治体の助成とは別の制度

人材開発支援助成金を申請するのは会社です。社員本人が申請して受講費用の一部を受け取る教育訓練給付とは、申請する人も要件も違います。自治体が独自に設ける研修費の助成もありますが、同じ経費や賃金を対象に複数の助成金を申請すると、どちらか一方しか支給されない場合があると厚生労働省の資料に書かれています。どの制度で出すかは、1つの研修につき1つと考えて選んでください。

使う・使わないを決めたら、書面に残す

当社は、受講人数と助成金の扱いの合意を、そのつど書面に残すことを鉄則にしています。使わない前提で確定していた助成金の話が、後になって持ち上がったことがあるからです。助成金を使うかどうかで、日程の置き方も、受講者の選び方も、研修会社に出してもらう書類も変わります。途中で方針が戻ると、計画届の期限に間に合わなくなります。

助成金を使う方向で進んだ会社では、社会保険労務士を交えて三者で打ち合わせた例もあります。助成金を使うかどうかは、研修の中身と同じ会議で、同じ重さで決めてください。 後から付け足す扱いにすると、期限と要件のどちらかで引っかかります。

よく出る反論と答え

社内で人材開発支援助成金を検討するときに、よく出る意見と、この記事の答えを並べます。

よく出る意見

答え

一番率の高いコースで出せばいい

率の高いメニューには、入口の条件が付いていることが多い。高度デジタル人材訓練は訓練の講座区分と会社側の要件の両方を求める

率が同じなら、どのコースでも受取額は同じ

上限がコースで違う。10時間以上100時間未満の区分では、事業展開等リスキリング支援コースと人材育成支援コースで上限が倍違う

自発的に学ばせる制度にすれば手続きが軽い

自発支援系は、就業規則等への制度の規定と、社員が自分で選ぶことが前提。会社が受けさせたい研修には使えない

計画届が受け付けられたら、支給は決まったようなもの

審査は支給申請後に一括。計画届の提出で支給が確定するわけではないと資料に明記されている

来年度も同じ条件で使えるはず

人への投資促進コースと事業展開等リスキリング支援コースは令和8年度末までの時限措置。翌年度の扱いは確認してから計画する


人材開発支援助成金に関するよくある質問

Q. 人材開発支援助成金とは、ひとことで言うと何ですか

A. 社員に職務に関連した訓練を計画どおり受けさせた会社に、訓練経費や訓練中の賃金の一部などを国が助成する制度です。 所管は厚生労働省で、中身は7つのコースに分かれています。申請するのは社員ではなく会社です。

Q. 障害者職業能力開発コースは、どこに申請しますか

A. 厚生労働省の一覧ページでは、令和6年4月から独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が支給業務を行う助成金へ移管すると案内されています。対象は障害者の教育訓練施設を設置・運営する場合で、社員研修の費用とは別の話です。申請先と要件は、移管先の案内でご確認ください。

Q. パートや契約社員の研修も対象になりますか

A. 雇用保険の被保険者であれば対象になりえます。 人材育成訓練では、非正規雇用労働者を対象にする場合の経費助成率が70%(賃金要件等を満たすと85%)と、正規雇用労働者等より高く設定されています。有期契約の社員を正社員等へ転換する前提なら、有期実習型訓練という別のメニューもあります。

Q. 動画見放題のサブスク型研修にも使えますか

A. 人への投資促進コースの定額制訓練が該当する可能性があります。 経費助成率は中小企業で60%(賃金要件等を満たすと75%)で、賃金助成は付きません。対象になる講座の割合などの要件は、人への投資促進コースのパンフレットでご確認ください。

Q. 業務時間外や休日に研修を受けさせても対象ですか

A. 所定労働時間外・休日に実施した訓練は、割増賃金を払っていても賃金助成の対象になりません。 経費助成は賃金助成の有無にかかわらず申請できますが、休日に受けさせた場合は勤務として扱われるため、割増賃金を含めて適正に支払っていることが要件です。あらかじめ休日を振り替えていた場合など、扱いが変わるケースもパンフレットのよくある質問に載っています。

Q. 2027年度以降も使えますか

A. コースによります。 人への投資促進コースと事業展開等リスキリング支援コースには、令和8年度末(2027年3月末)までの時限措置という注が付いています。人材育成支援コースと教育訓練休暇等付与コースには、その注はありません。翌年度の内容は、公表された時点で厚生労働省の資料をご確認ください。

Q. 研修そのものの費用はどのくらいかかりますか

A. 形式と人数で変わるため、この記事では金額を書いていません。費用の決まり方と、公的支援を前提にしたときの見方はClaude Code研修の費用相場|料金の決まり方・助成金・費用対効果までに整理しています。


人材開発支援助成金の全体地図|総括表

論点

押さえるところ

制度の定義

職務に関連した訓練を計画に沿って実施した会社に、訓練経費や訓練中の賃金の一部等を助成する。所管は厚生労働省

コースの数

7コース。社員研修に広く使えるのは人材育成支援・教育訓練休暇等付与・人への投資促進・事業展開等リスキリング支援の4つ

対象が限られるコース

建設労働者認定訓練・建設労働者技能実習は建設事業主向け。障害者職業能力開発は支給業務が独立行政法人へ移管

メニューの内訳

人材育成支援コースは4つの訓練、人への投資促進コースは5つの訓練と1つの制度

時限措置

人への投資促進コースと事業展開等リスキリング支援コースは令和8年度末まで

最初の分かれ目

会社が業務命令で受けさせる訓練か、社員の自発的な受講を支える制度か

業務命令系の次の分かれ目

OFF-JTだけか、OJTと組み合わせるか

助成の形

経費助成(経費×率・上限あり)、賃金助成(所定内の受講時間×単価)、定額の助成

上限の見方

上限は助成額にかかる。「上限÷率」を超える経費では、率の差より上限の差が効く

企業規模で変わるもの

経費助成率・賃金助成の時間単価・経費助成の上限。判定は支給申請の時点

企業規模で変わらないもの

要件・期限・1事業所1年度の限度額

AI研修の場合

まず事業展開等リスキリング支援コースに当たるかを確かめ、DX化との結びつきを説明しにくければ人材育成訓練

手続き

計画届は訓練開始の6か月前から1か月前、支給申請は訓練終了日の翌日から2か月以内。審査は支給申請後に一括

着手前に決めること

使う・使わないを研修の中身と同じ会議で決め、決まったら書面に残す


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まとめ|人材開発支援助成金は、率より先に「どの系統のどの形か」で引く

  • 人材開発支援助成金は7コースの集まり。社員研修で使う候補は、広く使える4コースのどれか
  • 最初の分かれ目は2系統。会社が業務命令で受けさせる訓練か、社員の自発的な受講を支える制度か
  • 業務命令系は、OFF-JTだけかOJTと組み合わせるかで行き先が分かれる。その先は訓練の中身で1つのメニューに決まる
  • 受け取る額は経費助成と賃金助成の合計。経費助成には上限があり、「上限÷率」を超える経費では上限の差が効く
  • OFF-JTの訓練で企業規模によって変わるのは率・時間単価・上限の3つ。要件と期限は変わらず、判定は支給申請の時点
  • 2つのコースは令和8年度末までの時限措置。翌年度以降の計画は、その時点の制度を確認してから組む

最後に、明日から動かせる一手を1つ挙げます。検討中の研修を1つ選び、この記事の判定表のどの行に入るかを書き出してください。 行が決まれば、開くべきパンフレットは1冊になります。どの行にも入らなければ、その研修は助成金を前提にせず見積もるのが安全です。

行き先のコースが見えたら、企業規模と受講人数で負担の見込みを料金試算(助成金対応)から出してみてください。

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社内で検討材料として共有するならサービス資料(無料・PDF)をダウンロードするもご利用いただけます。

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出典・注記

  • 厚生労働省「人材開発支援助成金」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html (2026年9月16日参照)。7コースの構成と各コースの概要、障害者職業能力開発コースの支給業務の移管の根拠
  • 厚生労働省「人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内」令和8年8月3日版 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731967.pdf (2026年9月16日参照)。全コースの助成メニューと助成額・助成率の一覧、時限措置の注(p2)、チェックリスト付きフローチャート(p3)、併給調整の注記(p10)、中小企業の範囲と判定時点(p13)、人材育成支援コースの4メニュー・経費助成限度額(p14)、賃金助成対象時間数の上限・支給申請回数・1事業所の年度限度額(p15)、手続きの流れと審査の一括化(p45)、疎明書(p53)、所定時間外・休日の訓練の扱い(p63のよくあるご質問Q4・Q5)の根拠
  • 厚生労働省「人材開発支援助成金(人への投資促進コース)のご案内(詳細版)」令和8年8月3日版 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731974.pdf (2026年9月16日参照)。期間限定助成であること(表紙)、5つの訓練と長期教育訓練休暇等制度に分けたメニュー別の助成率・助成額(p5)、1事業所1年度の限度額(p6)の根拠
  • 厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)」令和8年8月3日版 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731978.pdf (2026年9月16日参照)。期間限定の助成金として創設されたこと、1事業所1年度の限度額、経費助成の上限額(10時間以上100時間未満で中小企業30万円・大企業20万円)の根拠
  • 厚生労働省「人材開発支援助成金(教育訓練休暇等付与コース)のご案内」令和8年8月3日版 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731970.pdf (2026年9月16日参照)。制度導入に対する30万円(賃金要件等を満たす場合36万円)が1事業主1度限りであること、制度導入・適用計画届の根拠
  • 厚生労働省「教育訓練給付金」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/kyouiku.html (2026年9月16日参照)。教育訓練給付が、一定の条件を満たす雇用保険の被保険者等が自ら費用を負担して指定講座を受講・修了した場合に本人へ支給される雇用保険の給付であることの根拠
  • 愛知労働局「人材開発支援助成金(建設労働者認定訓練コース、建設労働者技能実習コース)について」 https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/_121796/_120129/_120163/_120175.html (2026年9月16日参照)。建設2コースの対象事業主の根拠
  • 厚生労働省「令和8年8月3日からの変更点について 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)改正」 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731966.pdf (2026年9月16日参照)。2026年8月3日以降に提出する計画届で対象外になる訓練と、生成AIの訓練の例示の根拠
  • 「上限÷率」で示した経費の境目と、経費60万円・実訓練時間20時間の計算例は、上記の一次資料の値から当社が計算したものです。計算例の金額は仮の数字で、当社の研修の価格ではありません。対象経費の範囲は各コースのパンフレットでご確認ください
  • 「業務命令系」「自発支援系」という呼び方は、フローチャートの2つの区分(業務命令で受講させる場合/自発的に受講する労働者を支援する場合)を、この記事で短く呼ぶために付けたものです
  • 審査から入金までの期間は、上記の一次資料のいずれにも具体的な記載が無いため、本記事では数値を書いていません
  • 助成率・上限額・要件・期限は制度改正で変わります。本記事の記載は2026年度(令和8年度)の、2026年9月16日時点で確認した内容であり、受給を保証するものではありません。個別の可否は管轄の都道府県労働局でご確認ください
  • 当社の研修に関する記述(AI研修で主に案内している制度、本編4回×3時間=12時間という組み方と時間数の数え方、受講人数と助成金の扱いの合意をそのつど書面に残す鉄則とその理由になった出来事、社会保険労務士を交えた三者での打ち合わせの例)は、当社の自社情報です。企業名・受講者・受講者数の実数は記載していません

この記事について

DAIJOBUは、ソフトウェアテスト・品質保証と脆弱性診断を本業としながら、営業・採用・バックオフィスまで含めて20名以上が毎日Claude Codeを使っている会社です。法人研修は、受講者が全員非エンジニア・Claude Code未経験という前提で組んでいます。本記事は、助成金を前提に研修を検討する会社とやり取りしてきた側として、厚生労働省の一次資料で確認できる制度の全体像と、当社の計算・当社の実務を分けて書いたものです。

著者

DAIJOBU株式会社 Claude Code法人研修部 コンテンツ担当 佐藤 雅俊

編集責任者

DAIJOBU株式会社 Claude Code法人研修 事業責任者 石井 雄大

監修

DAIJOBU株式会社 代表取締役 山中 裕貴

公開日

2026年9月30日

最終更新日

2026年9月30日