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人材開発支援助成金の対象者は?|受講できる社員と外れる5つのケース

人材開発支援助成金の対象者は?|受講できる社員と外れる5つのケース

研修に出す社員の名簿を作り始めたとき、人材開発支援助成金の対象者になるかを分けるのは、正社員かパートかという呼び名ではなく、申請する会社の事業所で雇用保険の被保険者になっているかです。

そのうえで、計画届に付ける対象労働者一覧に名前があり、受け方に応じた受講の条件を満たした人の分が、審査の対象になります。

この記事の要点は3つ

  1. 人材開発支援助成金の対象者は、申請する会社の事業所で雇用保険の被保険者になっている労働者です。厚生労働省の資料は、これに加えて対象労働者一覧への記載と、受け方に応じた受講の条件を1人ずつ求めています
  2. 対象者から外れる主な5つのケースは、役員などの立場・加入の要件に届かない働き方・訓練中の資格の喪失・一覧への記載漏れ・受講の不足です。5つの分け方は本記事の整理で、厚生労働省の分類ではありません
  3. 対象者に入っていても、育児休業中の訓練や、在籍型出向で出向先が賃金を払う場合などでは賃金助成が付きません。経費助成と賃金助成のどちらが付くかは、受講者ごとに分かれます

対象者に入る人数の見当がついたら、企業規模と人数から助成が通った場合の負担の目安を料金試算(助成金対応)で確かめられます。

料金を試算する(助成金対応) ▶

受講者の顔ぶれを会社と一緒に決める研修会社の側から、社員1人ずつが対象者に入るかの見分け方に絞って書き、会社と訓練の中身が満たす要件は扱いません。AI研修で使われることの多い事業展開等リスキリング支援コースの助成率・訓練の要件・申請の流れは、厚生労働省の資料に沿って別の記事にまとめています。この記事は、会社でも研修でもなく、受講する社員の側の要件だけを扱います。

この記事でわかること

  • 人材開発支援助成金の対象者の定義と、原典での呼び方
  • 正社員・パート・有期契約の社員が、対象者の土台に乗るかの見方
  • 対象者から外れる主な5つのケースと、気づける時期
  • 対象者に入っていても賃金助成が付かない場合と、訓練中の賃金の扱い
  • 申請の前に受講者名簿へ書き足しておく4つの欄

人材開発支援助成金の対象者とは|申請する会社の事業所の雇用保険被保険者

人材開発支援助成金の対象者は、厚生労働省の支給要領では「支給対象労働者」と呼ばれ、最初の要件は、助成金を受けようとする事業主の事業所で被保険者であることです。ここでいう被保険者は、雇用保険法第4条に規定する被保険者と定義されています(人材育成支援コースのご案内 p.11)。

要件は会社全体ではなく、受講者1人ずつに当てはめます。同じ研修に出た社員でも、対象者に入る人と入らない人が分かれ、入らない人の分は支給の対象に数えられません。

「人材開発支援助成金 対象者」の検索結果の上位20件(2026年10月3日取得)のうち、見出しの取れないPDFなど5件を除く15件のh1〜h3を見ると、「対象者」を含むページは2件で、「役員」「雇用保険」「被保険者」を見出しに置いたページは0件でした。上位にはコースの一覧や助成額を見出しにしたページが多く、受講する社員の側の線引きは本文の中に散らばっています。

ファクトボックス|対象者の基本情報

項目

内容

原典での呼び方

支給要領は「支給対象労働者」、ご案内(詳細版)は「対象となる労働者」

対象者の土台

助成金を受けようとする事業主の事業所の被保険者。被保険者は雇用保険法第4条に規定する被保険者

被保険者でいる時点

訓練実施期間中。人材育成支援コースの有期契約労働者等は、訓練の終了日または支給申請日に被保険者であること

名簿

職業訓練実施計画届のときに出す「対象労働者一覧」(様式第3-1号)に記載があること。定額制サービスによる訓練は別の様式(第3-2号)の一覧

受講の条件

通学制・同時双方向型の通信訓練は受講時間数が実訓練時間数の8割以上。eラーニング・通信制は訓練実施期間中に修了

根拠資料

厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)」「同(人材育成支援コース)のご案内(詳細版)」各令和8年8月3日版、各コースの支給要領 R8.8.3

出典URL

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731978.pdf / https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731967.pdf ほか(末尾の出典・注記にページごとに掲載)

参照日

2026年10月15日

免責

対象者の要件を満たしても、支給は審査で決まります。要件は年度の途中でも変わることがあるため、個別の扱いは管轄の都道府県労働局でご確認ください

対象者に数えられるまでの3つの段

事業展開等リスキリング支援コースの支給要領は、対象となる労働者を、次のいずれにも当てはまる労働者としています(0302・p.7)。

  • 助成金を受けようとする事業主の事業所において被保険者であり、訓練実施期間中も被保険者であること
  • 通学制・同時双方向型の通信訓練では受講時間数が実訓練時間数の8割以上、eラーニング・通信制では訓練期間中に修了していること
  • 育児休業中訓練の場合は、育児休業期間中に受講を始めること

ご案内(詳細版)は、これに加えて、計画届のときに出した対象労働者一覧に記載のある被保険者であることを挙げています(事業展開等リスキリング支援コースのご案内 p.17)。雇用保険への加入が土台にあり、その上に名簿と受講が積み重なる形です。

型C・帯構造型。1人の社員が人材開発支援助成金の対象者に数えられるまでを、下から上へ3段の帯で示す。要素=1段目(土台)「雇用保険の被保険者」=申請する会社の事業所で加入している。訓練実施期間中も続く/2段目「対象労働者一覧に記載」=計画届のときに出す名簿に名前がある/3段目「受講の条件」=集合とライブ配信は受講8割以上。eラーニングは期間中に修了。各段の左上にタブ状のラベル、説明は帯の中。1段目を青で強く、2〜3段目は淡い青。大きな番号は置かない。結論=人材開発支援助成金の対象者は、雇用保険の被保険者であることを土台に、名簿への記載と受講の条件を積み重ねて決まります。

人材開発支援助成金の対象者は、雇用保険の被保険者であることを土台に、名簿への記載と受講の条件を積み重ねて決まります。

正社員かパートかという呼び名は、対象者の要件のどこにも出てきません。 原典が見ているのは、雇用保険の加入、名簿への記載、受講の記録の3つです。


対象者に入る社員|正社員・パート・有期契約は雇用保険の加入で見る

対象者に入る社員かどうかは、雇用形態の名前ではなく、その社員が雇用保険に入っているかで見ます。厚生労働省の雇用保険制度のQ&Aは、適用事業所に雇用される労働者で、次の2つのいずれにも当てはまる人は、原則としてすべて被保険者になるとしています。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  • 31日以上の雇用見込みがあること

同じQ&Aは、パートやアルバイトなどの雇用形態や、事業主や労働者の加入希望の有無にかかわらず、要件に当てはまれば加入する必要があると書いています。パートの社員でも、加入の要件を満たして被保険者になっていれば、対象者の土台に乗ります。

社員の立場

対象者の土台に乗るか

人材育成支援コースでの区分

正社員

被保険者であれば乗る

正規雇用労働者等

パート・アルバイト

加入の要件を満たし、被保険者であれば乗る

契約の期間と待遇で、正規雇用労働者等か有期契約労働者等に分かれる

有期契約の社員

被保険者であれば乗る。被保険者でいる時点はコースで違う

有期契約労働者等

無期転換した社員

被保険者であれば乗る

正社員の待遇でなければ有期契約労働者等

右の列の区分は、人材育成支援コースのご案内の用語の定義によります(p.11〜12)。

有期契約の社員は、コースによって被保険者でいる時点が違う

被保険者でいる時点は、コースによって書き方が違います。事業展開等リスキリング支援コースの支給要領は、雇用の区分を問わず、訓練実施期間中に被保険者であることを求めています(0302 イ・p.7)。

人材育成支援コースの支給要領は、2つに分けています(06012 イ・p.12)。訓練実施期間中に被保険者であること、または、従来から雇用されている有期契約労働者等か新たに雇い入れられた有期契約労働者等で、訓練の終了日または支給申請日に被保険者であることです。

同じ箇所には、労働者の都合で訓練期間中に正規雇用労働者等から有期契約労働者等に変わった場合も、訓練実施期間中に被保険者であれば含まれると書かれています。有期契約の社員を入れるときは、どのコースで申請するかを先に決めてから、被保険者でいる時点を確かめます。

型B・対比型。有期契約の社員が被保険者でいる必要のある時点を、2つのコースで左右に並べる。要素=左「人材育成支援コース」=上段「正規雇用労働者等」訓練実施期間中に被保険者/下段「有期契約労働者等」訓練の終了日または支給申請日に被保険者でもよい。右「事業展開等リスキリング支援コース」=雇用の区分を問わず、訓練実施期間中に被保険者。左右の枠は同じ強さの淡い青で、右の「訓練実施期間中」の語を青で強く。中央に区切りや分かれ目のラベルは置かない。下部に淡いグレーの帯「申請するコースを決めてから、名簿の1人ずつに当てる」。大きな番号は置かない。結論=有期契約の社員が被保険者でいる必要のある時点は、人材育成支援コースと事業展開等リスキリング支援コースで違います。

有期契約の社員が被保険者でいる必要のある時点は、人材育成支援コースと事業展開等リスキリング支援コースで違います。

有期契約労働者等は、経費助成の率が別になる

人材育成支援コースでは、正規雇用労働者等か有期契約労働者等かで経費助成の率が分かれ、無期転換した社員も待遇によって有期契約労働者等に入ります(ご案内 p.11・p.14)。率の数字と、区分ごとに受講者の額を出す手順は、人材開発支援助成金はいくらもらえる?|経費助成と賃金助成の計算方法で扱っています。


対象者から外れる5つのケース|立場・働き方・時期・名簿・受講

対象者から外れる場面は、原典の要件を受講者の側から読み直すと、主に次の5つに分けられます。どのケースも、外れるのはその人の分で、研修そのものの可否とは別に判断されます。

① 役員・同居の親族|原則として被保険者にならない

1つ目は、立場の上で雇用保険の被保険者にならない人です。厚生労働省の雇用保険制度のQ&Aは、会社の取締役や役員は原則として被保険者にならないとしています。

同じQ&Aには例外もあります。役員と同時に部長・支店長・工場長などの従業員としての身分を持ち、服務の態様・賃金・報酬などからみて労働者的な性格が強く、雇用関係があると認められる場合に限って、雇用保険に加入できます。

個人事業の事業主と同居している親族も、原則として雇用保険に加入できません。この事業主には、実質的に代表者の個人事業と同様と認められる法人も含まれます。事業主の指揮命令に従っていることが明確で、就業の実態と賃金がほかの労働者と同様で、取締役など事業主と利益を一にする地位にないという条件をすべて満たす場合は、加入できるとされています。

AI研修に経営層が一緒に出る場合、受講者名簿と対象労働者一覧が同じ名簿にならないことがあります。役員の席は、被保険者になっているかを個別に確かめるまで、対象者の人数に数えずに置いておきます。

② 加入の要件に届かない働き方|週20時間未満・ほかの会社が主

2つ目は、働き方の上で雇用保険に入っていない人です。1週間の所定労働時間が20時間未満の人や、31日以上の雇用見込みがない人は、原則として被保険者になりません。厚生労働省の改正法の概要は、この週20時間以上の要件を10時間以上に変える改正の施行を、2028年(令和10年)10月1日としています。

見落としやすいのは、2つの会社で働いている社員です。雇用保険制度のQ&Aは、同時に複数の会社で雇用関係にある労働者は、生計を維持するのに必要な主たる賃金を受ける会社でのみ加入するとしています。自社では従たる勤め先の社員は、自社の被保険者になっていないことがあります。

③ 訓練の途中で被保険者でなくなる|退職・契約の満了

3つ目は、訓練が始まったあとで被保険者でなくなる人です。事業展開等リスキリング支援コースは訓練実施期間中に被保険者であることを求めているため、研修の途中で退職する人や、契約が切れて雇用保険の資格を失う人は、この要件に当たらなくなるおそれがあります。労働者の都合による退職などで受けられなかった時間の扱いは同じコースの支給要領に別に定められていて(0509 イ・p.21)、最終的な扱いは管轄の労働局で確かめます。

人材育成支援コースの有期契約労働者等は、訓練の終了日または支給申請日に被保険者であればよいとされています。それでも、研修の日程の途中に契約の満了日がある社員は、更新の予定まで含めて名簿に入れる前に確かめます。

退職の扱いはこれだけでは終わりません。訓練の途中で自己都合の退職の申し出があった場合の賃金助成の扱いは、次の章で書きます。

④ 対象労働者一覧に名前がない|計画届と支給申請で顔ぶれが違う

4つ目は、計画届に付けた対象労働者一覧に載っていない人です。人材育成支援コースの支給要領は、計画届のときの対象労働者と支給申請のときの対象労働者を書類で照らし合わせ、異なる場合は支給対象労働者とならないとしています(06064 イ・p.33)。

研修に当日だけ加わった社員や、計画届を出したあとに差し替えた社員は、手続きを踏まなければ、研修を受けても対象者に数えられません。受講者を追加するときの変更届の期限は、人材開発支援助成金の条件とは|AI研修で通る要件と落ちる4つの理由のよくある質問で扱っています。

⑤ 受講の条件に届かない|8割未満・期間中に修了しない

5つ目は、受け方に応じた受講の条件に届かない人です。通学制と同時双方向型の通信訓練では、受講時間数が実訓練時間数の8割以上であることが求められます(事業展開等リスキリング支援コースの支給要領 0302 ロ・p.7)。

eラーニングと通信制では、訓練期間中に修了していることが条件です。どちらも受講者ごとに見るため、欠席が重なった人や修了しなかった人だけが外れます。

公共職業能力開発施設や大学など、支給要領が挙げる訓練機関の訓練を修了した場合や卒業した場合は、8割の要件を満たしたものとみなされます。それ以外の訓練では、出席の記録で8割以上の受講を示します。

欠席にも例外があります。支給要領は、労働者の都合による退職や、事業主の責めによらない病気・怪我などで受けられなかった時間を受講時間数に足して8割以上になる場合は、経費助成について要した経費の全額を対象にできるとしています(0509 イ・p.21)。

型D・フロー型。5つのケースに気づける時期を、左から右への1本の時間軸で示す。要素=「計画届の前」=①役員・同居の親族、②週20時間未満・ほかの会社が主(名簿で分かる)→「計画届の提出」=対象労働者一覧の顔ぶれが固まる。④このあとの差し替えで一覧に名前のない人が出る→「訓練中〜終了」=③退職・契約の満了、⑤欠席が重なる・期間中に修了しない→「支給申請」=計画届のときの一覧と照らし合わせる。各項目の頭に本文と同じ小さな丸数字(①②④③⑤)を付ける。「計画届の前」の箱を青で強く、ほかは白地に青枠。時間軸の上に小さく「計画届の前後に名簿で分かる」、下に小さく「訓練中に起きる」。大きな番号は置かない。結論=5つのケースのうち、①②は計画届の前に名簿で見つけられ、④は計画届のあとの差し替えで起き、③⑤は訓練が始まってから起きます。

5つのケースのうち、①②は計画届の前に名簿で見つけられ、④は計画届のあとの差し替えで起き、③⑤は訓練が始まってから起きます。

対象者の人数は、研修に出る人数ではなく、雇用保険に入っていて名簿に載り、受講を終えた人の数です。 負担の目安を出すときも、この人数で計算します。

対象者に入る人数と企業規模から、助成が通った場合の負担の目安を出したい場合は、料金試算(助成金対応)をご利用ください。

料金を試算する(助成金対応) ▶


対象者でも賃金助成が付かない場合と、訓練中の賃金の扱い

対象者に入っていても、受講者によっては賃金助成が付かないことがあります。人材開発支援助成金は、研修の費用に対する経費助成と、受講した時間の賃金に対する賃金助成に分かれていて、賃金助成の側にだけ外れる場合が定められているためです。

賃金助成が付かない受講者

事業展開等リスキリング支援コースの支給要領は、育児休業中訓練の場合、eラーニングと通信制の場合、最低賃金の減額の特例を適用する場合、在籍型出向で一定の場合に、賃金助成を支給しないとしています(0504・p.19)。人材育成支援コースの支給要領にも同じ4つが並んでいます(p.21)。

在籍型出向の一定の場合とは、申請する会社が出向元で、出向先が対象者の賃金の全額または一部を払う場合などです。出向元が出向先に賃金の全額に当たる額を補助し、出向先が払う形は除かれています。

訓練の途中で対象者から自己都合の退職の申し出があった場合は、申し出の日以降(当日を含む)に行う訓練が賃金助成の対象から外れます。同じ箇所は、経費助成は申し出の日以降に行う分も対象とするとしています(事業展開等リスキリング支援コースの支給要領 0510 ニ・p.22、人材育成支援コースの支給要領 06026 ホ・p.24)。

型A・全体像カード型。対象者に入っていても賃金助成が付かない場面を、2行2列の4枚のカードで示す。要素=カード「育児休業中に受ける訓練」=育児休業期間中に受講を始め、本人の申し出で受ける/カード「eラーニング・通信制」=受け方として賃金助成が付かない/カード「在籍型出向で、ほかの会社が賃金を払う」=出向先が対象者の賃金の全額または一部を払う場合など/カード「自己都合の退職の申し出の日以降(当日を含む)」=申し出の日を含めて、それ以降に行う訓練。4枚とも淡い青で同じ強さ。下部に淡いグレーの帯「経費助成は、それぞれの要件を満たせば対象になりうる」。大きな番号は置かない。結論=対象者に入っていても、育児休業中の訓練・eラーニング・在籍型出向でほかの会社が賃金を払う場合・自己都合の退職の申し出の日以降(当日を含む)の訓練には、賃金助成が付きません。

対象者に入っていても、育児休業中の訓練・eラーニング・在籍型出向でほかの会社が賃金を払う場合・自己都合の退職の申し出の日以降(当日を含む)の訓練には、賃金助成が付きません。

育児休業中の社員も、対象者から外れるわけではありません。事業展開等リスキリング支援コースのご案内は、育児休業期間中に訓練を始め、育児休業中に自発的な申し出で受ける人であることを求めています(p.17)。会社の業務命令で受けさせる研修とは、扱いが分かれます。

訓練中の賃金は、対象者ごとに会社が払う

訓練中の賃金は、受講者の要件ではなく会社の要件として定められています。事業展開等リスキリング支援コースのご案内は、従業員に職業訓練などを受けさせる期間中も、その従業員に賃金を適正に支払っていることを、支給対象事業主の要件に挙げています(p.17)。

社員の側で気をつけたいのは、年次有給休暇を使って受けさせる形です。同じご案内は、年次有給休暇を与えて受講させる訓練を、対象とならない実施方法の例に挙げています(p.29)。研修の日に有給休暇を取ってもらう形で日程を合わせるのではなく、勤務の日として受講の日を置きます。

所定労働時間の外や休日に研修を置いたときの割増賃金と賃金助成の扱いは、人材開発支援助成金の条件とは|AI研修で通る要件と落ちる4つの理由で扱っています。コースごとに何が助成されるかの全体は、人材開発支援助成金の制度の全体像|コースの違いと選ぶ順番で扱っています。


申請の前に受講者名簿へ書き足す4つの欄

受講者名簿に4つの欄を足しておくと、対象者から外れる人を計画届の前に見つけられます。名簿は研修に出る全員で作り、そこから対象者に入る人を対象労働者一覧へ写す順番にします。

書き足す欄

書く中身

見つかるもの

雇用保険の被保険者か

加入の有無。役員を兼ねる人は、従業員としての身分で加入しているか

①立場・②働き方のケース

雇用の区分

正規雇用労働者等か有期契約労働者等か。有期なら契約の満了日

経費助成の率の区分・③のケース

訓練期間中の予定

契約の満了・退職・育児休業・出向の予定

③のケースと、賃金助成が付かない場面

全日程に出られるか

所定労働時間の中で、全日程の8割以上に出られる日か

⑤のケース

4つの欄に加えて、研修で扱う業務とその社員の担当業務がつながるかも、名簿の段階で見ておきます。事業展開等リスキリング支援コースでは、訓練の内容に沿って受講者を選んでいるかが、令和8年8月3日からの変更点のリーフレットで確かめる観点の1つに挙がっています。

同じ社員が助成を受けられる受講の回数にも上限があります。事業展開等リスキリング支援コースは同じ労働者につき1年度に3回までで、令和8年8月3日以降に出した計画届によるeラーニングは1年度に1回までです(支給要領 0510 ヘ・p.22)。人材育成支援コースも同じ労働者につき1年度に3回までです(支給要領 06026 ニ・p.24)。

職務との関連で受講者を選ぶ考え方は、人材開発支援助成金の条件とは|AI研修で通る要件と落ちる4つの理由の対象外訓練の節で扱っています。名簿を対象労働者一覧に写して計画届を出す段階で対象外になりやすい点は、AI研修の助成金申請で対象外になる5つの原因|書類と期限の確認表で扱っています。

名簿の段階で対象者から外した人も、研修そのものには出られます。 対象者に数えず、その人の分を助成の見込みから外しておくだけです。


DAIJOBUの場合と、この記事で解けないこと

当社は社内の営業資料で、経営者や役員が受講者に入ることを、研修に向く条件の1つに数えています。マネジメントの経験が豊富な人ほど、AIを業務で使う精度が上がると見ているためです。

一方で、会社の取締役や役員は、原則として雇用保険の被保険者になりません。研修に向く顔ぶれと人材開発支援助成金の対象者は一致しないことがあり、役員の受講分は、助成を見込まない費用として先に分けておきます。

この記事で解けないこと

この記事は、受講する社員の側の要件の見分け方を扱っていて、次のことには答えていません。

  • 個別の可否。役員を兼ねる社員や同居の親族が被保険者になるかはハローワーク、助成金の対象者に入るかは管轄の労働局の判断で、この記事も当社も判定できません
  • 派遣社員・業務委託の人・出向者の個別の扱い。雇用の契約がどの会社と結ばれているかで変わるため、管轄の労働局に確かめてください
  • OJTを組み合わせる訓練の対象者。有期実習型訓練などには、この記事で書いた要件とは別の対象者の要件があります。人材育成支援コースの訓練の種類は人材開発支援助成金とは|AI研修で使えるコースの選び方で扱っています
  • 事業展開等リスキリング支援コースの類型③の受講者。企業内の人事及び人材育成に関する計画に基づく訓練では、受講者が訓練開始日から3年以内に従事する予定の職務に必要な訓練であることなどが加わります(支給要領 0303 ヘ(ハ)・p.9)。詳しくはリスキリング助成金の条件|会社・受講者・研修の3つで見る要件で扱っています
  • 申請書類の作成と提出。報酬を得て代行できるのは社会保険労務士です

人材開発支援助成金の対象者に関するよくある質問

Q. 部長を兼ねている取締役は、名簿に入れられますか

A. 従業員としての身分で雇用保険に加入していれば、名簿に入れて対象者の要件に当てる前提ができます。 雇用保険制度のQ&Aは、役員と同時に部長などの従業員としての身分を持ち、労働者的な性格が強く雇用関係があると認められる場合に限り加入できるとしています。加入しているかは人事の記録で、助成金の扱いは管轄の労働局で確かめます。

Q. 育児休業中の社員に研修を受けてもらうことはできますか

A. 育児休業期間中に受講を始め、本人の自発的な申し出で受ける形であれば、要件を満たした場合に対象者になりえます。 ただし、育児休業中訓練には賃金助成が付きません。会社が業務として受けさせる研修とは扱いが分かれるため、計画届の前に管轄の労働局に確かめてください。

Q. 2つの会社で働いている社員は、どちらの会社で対象者になりますか

A. 雇用保険に加入している会社の側で、対象者の土台に乗ります。 雇用保険制度のQ&Aは、同時に複数の会社で雇用関係にある労働者は、主たる賃金を受ける会社でのみ加入するとしています。自社が従たる勤め先なら、自社の被保険者になっていないことがあります。


人材開発支援助成金の対象者|総括表

論点

押さえるところ

対象者の土台

申請する会社の事業所の雇用保険被保険者。雇用形態の名前では決まらない

被保険者でいる時点

訓練実施期間中。人材育成支援コースの有期契約労働者等は訓練の終了日または支給申請日

名簿と受講

対象労働者一覧に記載。集合とライブ配信は受講8割以上、eラーニングは期間中に修了

外れる主なケース

①役員・同居の親族 ②週20時間未満・ほかの会社が主 ③訓練中の退職・契約の満了 ④一覧に名前がない ⑤受講の条件に届かない

賃金助成が付かない場面

育児休業中訓練・eラーニングと通信制・在籍型出向でほかの会社が賃金の全額か一部を払う場合・自己都合の退職の申し出の日以降(当日を含む)の訓練

訓練中の賃金

会社が適正に支払う。年次有給休暇を与えて受講させる訓練は対象外の実施方法

位置づけ

対象者に入っても支給の約束ではない。審査は支給申請のあと



まとめ|人材開発支援助成金の対象者は誰か

人材開発支援助成金の対象者は、申請する会社の事業所で雇用保険の被保険者になっていて、対象労働者一覧に名前があり、受け方に応じた受講の条件を満たした社員です。正社員かパートかではなく、加入・名簿・受講の記録で1人ずつ決まります。

社内で受講者を決める前に、次の3つから始められます。

  1. 今日:受講者名簿に「雇用保険の被保険者か」「雇用の区分」「訓練期間中の予定」「全日程に出られるか」の4つの欄を足す
  2. 今週中:役員を兼ねる社員と有期契約の社員に印を付け、加入の身分と契約の満了日を書き足す
  3. 今週中:「訓練期間中の予定」の欄に育児休業・出向・退職の予定が入った人を拾い、賃金助成を見込まずに負担の目安を出す

最後に、社内で自分に問える1問を置きます。御社の受講者名簿で、対象者に数える人と数えない人を、雇用保険の記録をもとに1人ずつ分けられますか。

  • 人材開発支援助成金の対象者は、申請する会社の事業所で雇用保険の被保険者になっている労働者です。厚生労働省の資料は、これに加えて対象労働者一覧への記載と、受け方に応じた受講の条件を1人ずつ求めています
  • 対象者から外れる主な5つのケースは、役員などの立場・加入の要件に届かない働き方・訓練中の資格の喪失・一覧への記載漏れ・受講の不足です。5つの分け方は本記事の整理で、厚生労働省の分類ではありません
  • 対象者に入っていても、育児休業中の訓練や、在籍型出向で出向先が賃金を払う場合などでは賃金助成が付きません。経費助成と賃金助成のどちらが付くかは、受講者ごとに分かれます

対象者の人数と企業規模から負担の目安を出すなら、料金試算(助成金対応)をご利用ください。

料金を試算する(助成金対応) ▶

研修の中身と進め方をまとめた研修を検討する前に、助成金の確認ポイントを読むもご利用いただけます。

研修を検討する前に、助成金の確認ポイントを読む


出典・注記

  • 厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)」令和8年8月3日版 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731978.pdf (2026年10月15日参照)。支給対象事業主の要件と訓練中の賃金の支払い、対象となる労働者と育児休業中の訓練(p.17)、対象とならない実施方法と年次有給休暇の例(p.29)、支給・不支給の審査を支給申請後に一括して行うことと、計画届の提出が支給の確約でないこと(p.40)による。頁は冊子の印刷ページです
  • 厚生労働省「人材開発支援助成金 支給要領(事業展開等リスキリング支援コース)」R8.8.3 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731981.pdf (2026年10月15日参照)。支給対象労働者(0302・p.7)、賃金助成を支給しない場合(0504・p.19)、受講時間数が8割に満たない場合の扱い(0509 イ・p.21)、自己都合の退職の申し出があった場合の賃金助成(0510 ニ・p.22)、受講回数の制限(0510 ヘ・p.22)、類型③の訓練の職務(0303 ヘ(ハ)・p.9)による
  • 厚生労働省「人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内(詳細版)」令和8年8月3日版 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731967.pdf (2026年10月15日参照)。被保険者・有期契約労働者等・無期契約労働者・正規雇用労働者等の用語の定義(p.11〜12)、経費助成率(p.14)による。頁は冊子の印刷ページです
  • 厚生労働省「人材開発支援助成金 支給要領(1)人材育成支援コース」R8.8.3 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731969.pdf (2026年10月15日参照)。支給対象労働者と有期契約労働者等の被保険者の時点(06012・p.12)、賃金助成を支給しない場合(p.21)、受講回数の制限(06026 ニ・p.24)、自己都合の退職の申し出があった場合の賃金助成(06026 ホ・p.24)、計画届時と支給申請時の対象労働者の照合(06064 イ・p.33)による
  • 厚生労働省「令和8年8月3日からの変更点について 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)改正」 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731966.pdf (2026年10月15日参照)。訓練内容に沿って対象労働者を選定しているかを確かめる観点による
  • 厚生労働省「雇用保険制度 Q&A~事業主の皆様へ」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000140565.html (2026年10月15日参照)。加入の要件(Q1)、取締役や役員の扱い(Q4)、同居している親族の扱い(Q5)、複数の会社で雇用関係にある労働者の扱い(Q6)による
  • 厚生労働省「雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号)の概要」 https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001255172.pdf (2026年10月15日参照)。週所定労働時間の要件を20時間以上から10時間以上に変える改正と、その施行期日(p.1・p.3)による
  • 検索結果の観察は、「人材開発支援助成金 対象者」の検索結果の上位20件の見出しを2026年10月3日に取得したデータによります。20件のうち5件は見出しの取れないPDFなどで、h1〜h3を見たのは15件です
  • 5つのケースの分け方と、名簿に書き足す4つの欄は、本記事の整理です。厚生労働省の資料に書かれている区分ではありません
  • 経営者や役員が受講者に入ることを研修に向く条件に数えている点は、当社の自社情報です
  • 本記事は、人材開発支援助成金の対象者を自社で確かめるための見方を示すもので、受給を保証するものではありません。個別の可否は管轄の都道府県労働局でご確認ください

この記事について

本記事は、法人向けにClaude Codeの研修を提供するDAIJOBUが、人材開発支援助成金の対象者の要件を、厚生労働省の資料に沿って受講する社員の側から整理したものです。

著者

DAIJOBU株式会社 Claude Code法人研修部 コンテンツ担当 佐藤 雅俊

編集責任者

DAIJOBU株式会社 Claude Code法人研修 事業責任者 石井 雄大

監修

DAIJOBU株式会社 代表取締役 山中 裕貴

公開日

2026年10月18日

最終更新日

2026年10月18日

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