社員のスキルアップ研修に助成金を使う会社は、研修会社を比べる前に、自社のどの業務を変え、だれに受けさせるかを書類に書くところから始めます。

AI研修で候補になる国の事業展開等リスキリング支援コースは、届け出た計画に沿って実施した訓練を助成する制度です。審査では受講者の職務と研修の関連性が書類で確かめられるため、研修を先に決めて書類を後から合わせると、そのつながりが崩れやすくなります。

この記事の要点は3つ

  1. 助成金でスキルアップ研修を組む5ステップは、会社の変化を書く、受講者を選ぶ、研修を選んで契約する、計画届を出して実施する、支給申請する、の順です。研修を選ぶのは3番目です
  2. 研修の候補を見る前に書くのは、事業展開等実施計画と対象労働者一覧の2つです。どの業務をどう変えるかと、その業務をだれが担当しているかを先に決めます
  3. 5つの段階の書類は、同じ業務を指すように1本につなげて書きます。厚生労働省は、受講者の職務と訓練の関連性を雇用契約書や訓練カリキュラム等で確認するとしています
型D・フロー型。助成金でスキルアップ研修を組む5ステップを左から右へ並べる。要素=①会社の変化を書く→②変化を担う人を選ぶ→③研修を選んで契約する→④計画届を出して実施する→⑤支給申請する。①②の上に「研修の候補を見る前に書く」の括り線。③だけ青で塗り「研修を選ぶのはここ」のラベルを添える。①〜③の下に「ここまでが計画届に添える書類の中身」の帯。結論=研修を選ぶのは5ステップの3番目で、その前に会社の変化と受講者を書類に書きます。

研修を選ぶのは5ステップの3番目で、その前に会社の変化と受講者を書類に書きます。

研修の候補を比べる前に、企業規模と受講人数から助成を前提にした負担の目安を見ておきたい方は料金試算(助成金対応)をご利用ください。

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この記事は、計画届に添えるカリキュラムと契約書を受講企業へお出しする研修会社の側から、外部の研修を通学制か同時双方向型で受ける会社に向けて書くもので、自社で講師を立てて行う研修や、社員が自分で申し込む給付金には当てはまりません。

助成率・上限額・対象外になる訓練の分かれ目は、ピラー記事の持ち場です。この記事は、同じ制度を使って研修を組むときの、書類を書く順番に絞ります。

この記事でわかること

  • 助成金でスキルアップ研修を組む5ステップと、段階ごとに会社が用意する書類
  • 研修を先に決めると、助成の対象から外れやすくなる理由
  • 事業展開等実施計画を4行で下書きする型と、AI研修の仮の例
  • 契約の前に研修会社へ確かめる4つの点
  • 変更届を出さずに日程を動かしたときに起きること
  • 支給申請の書類を、どのステップでできたかで並べた一覧

目次

  1. 助成金でスキルアップ研修を組む5ステップ|研修を選ぶのは3番目
  2. 研修から先に決めると外れやすい理由|審査は職務と研修のつながりを書類で見る
  3. ステップ1|会社の変化を書く|事業展開等実施計画が最初の書類
  4. ステップ2|変化を担う人を選ぶ|雇用契約書の職務内容を先に見る
  5. ステップ3|研修を選んで契約する|契約前に研修会社へ確かめる4点
  6. ステップ4|計画届を出し、届けたとおりに実施する|記録は実施中にしか作れない
  7. ステップ5|記録をそろえて支給申請する|2か月は計画届に書いた最終日から数える
  8. 5つの段階の書類を1本の業務名でつなぐ|計画届の前に通す点検
  9. DAIJOBUの場合|5ステップのどこで当社の書類が出るか
  10. 助成金でスキルアップ研修を組むときのよくある質問
  11. 助成金でスキルアップ研修を組む5ステップ|総括表
  12. あわせて読みたい
  13. まとめ|助成金でスキルアップ研修を組むには?

助成金でスキルアップ研修を組む5ステップ|研修を選ぶのは3番目

助成金でスキルアップ研修を組む手順は、研修を探すところからではなく、書類を書く順番で5つに分かれます。ステップ1〜3で書く書類は、ステップ4で出す計画届にそのまま添えるものです。

ステップ

会社が用意する主な書類

書類ができる時点

社内の担当(この記事の提案)

①会社の変化を書く

事業展開等実施計画(様式第1-3号)

研修の候補を見る前

変える業務を持つ部門の責任者が中身を書き、人事が様式に移す

②変化を担う人を選ぶ

対象労働者一覧(様式第3-1号)。受講者の雇用契約書または労働条件通知書を手元で確かめる

研修の候補を見る前

同じ部門の責任者と人事

③研修を選んで契約する

訓練カリキュラム・受講案内と、教育訓練機関との契約書または受講案内と申込書の写し

計画届を出す前

人事が研修会社から受け取り、決裁者が契約する

④計画届を出して実施する

職業訓練実施計画届(様式第1-1号)・事前確認書(様式第11号)・必要に応じて変更届。実施中は出勤簿・賃金台帳・支払いの記録

計画届は訓練開始日の6か月前から1か月前まで。記録は実施中

人事が提出し、総務と経理が記録を残す

⑤支給申請する

支給申請書(様式第4-2号)と、①〜④でできた書類の写し

訓練終了日の翌日から2か月以内

人事がまとめ、経理が支払いの記録を出す

右の列の担当は、制度が決めているものではありません。書類が社内のどこで生まれるかから考えた、この記事の提案です。

人事が1人で5つを抱えると、ステップ5の直前に、経理と総務へ写しを取りに行く形になります。担当を最初に割り振っておくと、記録が実施中に正しい形で残ります。

この5ステップが当てはまる形|外部の研修を通学制か同時双方向型で受ける場合

この5ステップは、外部の研修会社が主催する事業外訓練を、通学制か同時双方向型の通信訓練で受ける場合に合わせています。

eラーニング・通信制・定額制サービスによる訓練は、計画届に添えるカリキュラムの中身も、支給申請で出す書類も変わります(詳細版 p.42・p.45)。この記事の表は、そのまま当てはめないでください。

名前に「スキルアップ」が付く国の制度でも、産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)は、社員を他社へ出向させて学ばせる制度で、研修会社の研修費を対象にしたものではありません。出向の要件はリスキリング補助金の一覧|企業向けと個人向けの違いで扱っています。

ファクトボックス|この記事で扱う制度の基本情報

項目

内容

制度名

人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)

所管

厚生労働省。窓口は事業所の所在地を管轄する都道府県労働局

この記事で扱う形

外部の研修会社が主催する研修(事業外訓練)を、通学制か同時双方向型の通信訓練で受ける場合

手続きの流れ

前提(推進者の選任・事業内職業能力開発計画)→計画届→訓練の実施→支給申請→支給・不支給の決定

計画届の提出期間

訓練開始日の6か月前から1か月前までの間

支給申請の期間

訓練終了日の翌日から2か月以内。訓練終了日は計画届の「訓練の実施期間」の最終日に書いた日

根拠資料

厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)」令和8年8月3日版

出典URL

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731978.pdf

最終確認日

2026年9月25日

免責

支給には審査があり、計画届を出したことで支給が決まるわけではありません。要件は年度の途中で変わる場合があるため、最新の内容は管轄の労働局でご確認ください

5ステップの前に済ませる2つ|推進者の選任と事業内職業能力開発計画

5ステップの手前に、会社として済ませておく前提が2つあります。職業能力開発推進者の選任と、事業内職業能力開発計画の策定・労働者への周知です。パンフレットは、職業訓練実施計画届の提出までに選任・策定・周知を行っていることが必要としています(詳細版 p.4)。

推進者には、教育訓練部門や労務・人事担当の部課長など、訓練の実施に関する権限を持つ人を、事業所ごとに1名以上選びます(p.5)。計画の中身と作り方はAIリスキリング助成金の使い方|法人の対象条件と申請3ステップのステップ0にまとめています。

では、なぜ研修を3番目に置くのかを先に確かめます。


研修から先に決めると外れやすい理由|審査は職務と研修のつながりを書類で見る

研修から先に決めると外れやすくなるのは、事業展開等リスキリング支援コースが「どの研修か」だけでなく「だれの、どの職務のための研修か」で対象を判断するからです。詳細版は、対象になる訓練について「その訓練を受ける労働者の職務により対象となるかどうかが変わります」と書いています(p.18)。

そのつながりを何で確かめるかも、同じ資料に書かれています。受講者の職務と訓練の関連性は、雇用契約書や訓練カリキュラム等で確認されます。 出典は詳細版 p.28です。

受講者の職務は雇用契約書で、研修の中身はカリキュラムで、別々の書類として確かめられます。会社が変える業務は、DX化の種類で書く場合、事業展開等実施計画の、訓練を行う端緒となるDX化の内容を書く欄に書きます(p.52)。

型B・対比型。同じAI研修を組むときに、手元にそろう書類の順番を左右に並べる。「1番目〜4番目」は左端の行見出しに置き、中央に番号の縦の並びは置かない。要素=左(研修から決めた順・淡い塗り)=1番目 研修会社の案内資料、2番目 研修会社の空き日程の表、3番目 空いた席を埋めた受講者の名簿、4番目 あとから書く事業展開等実施計画。右(要件から逆算した順・青を強く)=1番目 事業展開等実施計画、2番目 対象労働者一覧、3番目 訓練カリキュラムと契約書、4番目 計画届と日程。左右とも丸数字は使わない(本文のステップ番号①〜⑤と混同させないため)。中央に分かれ目のラベル「最初に手元にある書類はどれか」。結論=研修から決めると最初の書類が研修の案内になり、要件から逆算すると事業展開等実施計画になります。

研修から決めると最初の書類が研修の案内になり、要件から逆算すると事業展開等実施計画になります。

左の順で進めたときに起きやすいことを3つ挙げます。どれも、後のステップで防ぎ方を書いています。

  • 事業展開等実施計画が、研修の案内文を言い換えただけの文になる。ステップ1で防ぎます
  • 受講者の雇用契約書に書かれた職務内容と、研修で扱う業務が結びつかない。ステップ2で防ぎます
  • 研修会社の空き日程を先に押さえ、届け出た日程と実際の日程がずれる。ステップ4で防ぎます

3つとも、研修そのものの良し悪しとは関係なく起きます。研修は、会社の変化と受講者が書けたあとに、その2つに合うものを選びます。


ステップ1|会社の変化を書く|事業展開等実施計画が最初の書類

ステップ1で書くのは、事業展開等実施計画(様式第1-3号)です。支給対象事業主の要件に「事業展開等実施計画(様式第1-3号)を作成する事業主であること」が入っていて(詳細版 p.17)、計画届に添える必須の書類でもあります(p.42)。

この様式の最初の欄は、事業展開等の種類を選ぶ欄です。「事業展開」「DX化またはGX化」「人事及び人材育成に関する計画」の3つから選び、DX化を選んだ場合は、訓練を行う端緒となるDX化の内容を具体的に書きます(p.52)。

パンフレットのDXの例は、多くが業務の変化から書かれている

生成AIの研修を入れる場合、多くは2つ目のDX化の種類で書くことになります。パンフレットはDXの例として、RPAで請求書や伝票を電子化しAIで配送ルートを最適化する運輸業や、オンライン診察やAIを活用した問診を進める医療・福祉などを挙げています(p.14)。

この2つの例は、「AIを学ばせる」から書き始めていません。どの業務がどう変わるかを先に書き、その業務に就く人に訓練を受けさせる形になっています。

4行で下書きする型|受注から請求までの事務を例に

パンフレットは、計画的な人材育成のために「その職務に必要な能力とは何か、いつまでにどのレベルに達してほしいか」を考えることを勧めています(p.4)。この一文と様式の記載例(p.52)に合わせて、下書きを4行に分けました。行の分け方は様式の決まりではなく、この記事で考えた書き方です。

書く順

書くこと

仮の例(受注から請求までの事務)

1行目

どの部門の、どの業務を、今どうやっているか

業務部で、受注データの集計と取引先への定型の連絡文を、担当者が手作業で作っている

2行目

いつまでに、何を取り入れるか

今年度中に、Claude Codeで集計と連絡文の下書きを作る流れに切り替える

3行目

業務がどう変わるか

担当者は、下書きの確認と例外への対応に時間を使う

4行目

その業務の担当者に、何を身につけさせるか

受注から請求までの事務を担当する従業員に、業務の手順をAIに渡して作業させ、出力を確かめる方法を習得させる

表の右の列は、説明のための仮の例で、実在の会社の事例ではありません。この書き方で対象になるかどうかは、労働局の審査で決まります。

4行目に「ツールの操作方法を覚えさせる」とだけ書くと、単に既存のアプリやシステムを購入してその操作方法を習得する訓練は対象にならない、という注記(p.13)に近づきます。4行目には、操作ではなく、その業務で使える知識と技能を書きます。

中身を書けるのは、その業務を持つ部門の責任者です。人事が1人で書くと、1行目と3行目が抽象的な言葉になりやすくなります。

4行目の「その業務の担当者」が、次のステップ2で選ぶ受講者です。


ステップ2|変化を担う人を選ぶ|雇用契約書の職務内容を先に見る

ステップ2で書くのは、対象労働者一覧(様式第3-1号)です。助成の対象になる労働者は、申請する事業主の事業所の雇用保険被保険者で、訓練の実施期間中も被保険者であり、計画届のときに出したこの一覧に載っている人に限られます(詳細版 p.17)。

選ぶ軸は、ステップ1の4行目に書いた、変える業務を担当している人です。研修の席が余ったからといって別の部署から埋めると、ステップ1の業務と受講者の職務が離れます。

型C・帯構造型。受講者を選ぶ段階で決める3つを上から帯で積む。要素=上段「だれに受けさせるか|ステップ1の4行目の業務を担当している人」、中段「職務内容は合っているか|雇用契約書の職務内容の欄と4行目を並べる」、下段「何グループに分けるか|日時が同じ訓練ごとに計画届を作る」。各段の左に白抜きのラベル、右に説明の枠。右端に縦帯「計画届を出す前に決める」。上段を青で強く。結論=受講者を選ぶ段階では、だれに受けさせるか、職務内容が合っているか、何グループに分けるかの3つを決めます。

受講者を選ぶ段階では、だれに受けさせるか、職務内容が合っているか、何グループに分けるかの3つを決めます。

役員は、雇用保険の被保険者かどうかで扱いが決まります。役員だけで受ける研修を考えている場合は、計画届を出す前に管轄の労働局で確かめてください。

受講者の雇用契約書を、計画届の前に並べて見る

支給申請では、受講者ごとに雇用契約書または労働条件通知書の写しを出します。職務内容や所定労働時間が分かるものと指定されていて(p.46)、審査で職務との関連性を確かめる材料の1つになります(p.28)。

この書類を提出するのはステップ5ですが、中身を見るのはステップ2です。候補の受講者の職務内容の欄と、ステップ1の4行目を並べて、中身が一致しているかを確かめます。 提出する写しの扱いは、ステップ4の記録と同じです(p.47)。

グループを分けるなら、計画届の本数も分かれる

計画届は、原則として訓練ごとに作ります。ただし日時が異なる場合は、日時が同じ訓練ごとに作ると定められています(p.41)。

受講者を2つのグループに分け、同じ研修を別の日程で受けさせるなら、計画届は2つになる計算です。本社で支社の分をまとめて申請する形も、受講する訓練コースが同一で、同時期に実施する場合に限られます(p.40)。

グループの数は、受講者を選ぶ段階で決めておきます。計画届を出したあとに受講者を追加する場合は、訓練開始日の前日までに変更届が要ります(p.43)。


ステップ3|研修を選んで契約する|契約前に研修会社へ確かめる4点

ステップ3で、はじめて研修を選びます。選ぶ基準は、ステップ1の4行目に書いた知識と技能を、ステップ2で選んだ人が職務で使えるようになるかどうかです。

研修の中身が助成の対象に入るかどうかには、別の線引きがあります。企業向けの制度で対象になる研修と外れる研修、対象経費の分かれ目はリスキリング補助金の条件は?|対象になる研修と外れる研修の線引きで、対象外になる訓練の類型と時間の数え方は事業展開等リスキリング支援コースとは|AI研修で使う条件と流れで扱っています。

中身が決まったら、契約の前に研修会社へ4つのことを確かめます。

型A・全体像カード型。契約の前に研修会社へ確かめる4点を4枚のカードで並べる。要素=①カリキュラム|訓練日ごとの実施内容・実施場所・実訓練時間数・受講料が分かる形で出せるか(計画届に添える)②契約の書類|契約書、または受講案内と申込書の写しを出せるか(計画届に添える)③支給申請承諾書|様式第12号の内容に承諾できるか(支給申請で出す)④負担軽減の提案|研修会社から負担軽減の提案や金銭の提供が無いか(計画届の第2面に事実のとおりに書く)。4枚の上に「契約の前に確かめる」の帯。①のカードを青で強く。結論=契約の前に確かめるのは、カリキュラム・契約の書類・支給申請承諾書・負担軽減の提案の4点です。

契約の前に確かめるのは、カリキュラム・契約の書類・支給申請承諾書・負担軽減の提案の4点です。

①と②は、計画届に添える書類になる

①のカリキュラムは、通学制か同時双方向型の場合、訓練の実施目的・実施日時・訓練日ごとの実施内容と実施場所・実訓練時間数・受講料の料金体系が分かるものと指定されています(詳細版 p.42)。②は、教育訓練機関の名称・所在地・連絡先・契約内容・契約期間・受講料が分かる契約書、または受講案内と申込書の写しです(p.42)。

どちらも計画届と一緒に出します。契約したあとで「その形では出せない」と分かると、計画届の準備がそこで止まります。

③の承諾書は、研修会社の側の約束

③の支給申請承諾書(様式第12号)は、支給申請のときに研修会社が承諾して出す書類で、審査への協力や、不正受給に関与した場合の責任を研修会社が引き受ける内容です(p.21)。

パンフレットは、あらかじめ研修会社がこれらに承諾できるかを確認するよう案内しています(p.21)。支給申請の直前に断られると、申請の書類がそろいません。

④は、計画届の様式で会社が申告する

職業訓練実施計画届(様式第1-1号)の第2面には、その研修会社と契約することになった経緯を、「訓練実施に関する営業を受けた」「訓練を実施しようと考え、自ら検索してニーズに合う訓練を見つけた」「その他」から選ぶ欄があります。研修会社から負担軽減の提案や金銭の提供を受けたかをチェックする欄も置かれています(p.51)。

研修会社やその関係者から、研修費の負担を実質的に減らすお金を受け取ると、経費助成の前提になる全額負担が崩れます(p.33)。

研修会社から負担軽減の説明資料を受け取った場合は、その資料も計画届に添えます(p.42)。契約の前に④を確かめておくと、計画届の第2面を事実のとおりに書けます。


ステップ4|計画届を出し、届けたとおりに実施する|記録は実施中にしか作れない

ステップ4で出す計画届は、ステップ1〜3で書いた書類の束です。外部の研修を受ける場合、計画届で出す主な書類は次の6つです。1〜5つ目は提出が必須とされ、6つ目は外部の研修のときに添える書類です(詳細版 p.42)。

  • 職業訓練実施計画届(様式第1-1号)
  • 事業展開等実施計画(様式第1-3号)=ステップ1
  • 対象労働者一覧(様式第3-1号)=ステップ2
  • 事前確認書(様式第11号)
  • 訓練カリキュラム・受講案内等=ステップ3
  • 教育訓練機関との契約書、または受講案内と申込書の写し=ステップ3

提出の期限の数え方、郵送が到達日で扱われること、対象外の時間を除いた実訓練時間数が10時間以上要ること、訓練中の賃金の払い方は、人材開発支援助成金の条件とは|AI研修で通る要件と落ちる4つの理由で例とあわせて扱っています。この章は、計画届を出したあとに会社がやることに絞ります。

日程を動かすなら、動かす前に変更届

計画届を出したあとで、実施日時や訓練日ごとの実施内容・実施場所・実訓練時間数を変えるときは変更届を出します。期限は、当初の実施日と変更後の実施日のいずれか早い方の前日までです(p.43)。

同じ訓練日の中で、時間帯と場所を変えずに科目の順番を入れ替えるだけなら、変更届は要りません(p.43)。変える範囲がそれより大きいときは、先に変更届です。

変更届を出さずに動かした部分は助成の対象になりません(p.43)。影響はそこで止まらず、届け出た時間が実訓練時間数に残るため、受講率も下がります。パンフレットの例では、4月1日と2日に計16時間で届け出た訓練を、変更届なしで3日と4日に実施した場合、実訓練時間数は届け出た日時の16時間で数え、受講時間は0時間となり、受講率0%で不支給になるとされています(p.22)。

変更届を出さずに動かした日程は、受講した時間として数えられません。 研修会社の都合で日程が動くときも、変更届を出すのは申請する会社です。

実施中に、支給申請の書類ができあがる

支給申請で出す書類のうち、いくつかは実施中の記録そのものです。通学制か同時双方向型の場合、次の3つは、訓練の日の記録がもとになります(p.45〜46)。

  • 出勤簿またはタイムカード:日ごとの始業・終業の時刻と休憩時間が分かるもの
  • 賃金台帳または給与明細書:訓練を受けた日が入る賃金の計算期間のもの
  • 対象労働者のOFF-JT実施状況報告書(様式第8-1号):訓練日ごとの実施時間・出席日・受講時間などを記載するもの

提出する写しは、実際に事業場ごとに作成・記入しているものか、原本を複写機で複写したものに限られます。原本から加工・転記したものや別に作成したものは無効です(p.47)。

あとから清書した記録は、申請に使えません。 総務の担当には、訓練の日の出勤簿を、ふだんどおりの形でそのまま残すよう伝えておきます。

研修費は、支給申請までに全額を払い終える

訓練にかかった費用は、支給申請までに支払い終えている必要があります(p.40)。外部の研修の場合、支給申請では受講料の請求書と、領収書または振込通知書の写しを出します。

請求書と領収書の組み合わせで出すときは、振込通知書・総勘定元帳・現金出納帳の写しなども添えます(p.46)。経理の担当には、研修費の支払いを助成金の申請に使う記録として残すよう、支払いの前に伝えておきます。


ステップ5|記録をそろえて支給申請する|2か月は計画届に書いた最終日から数える

ステップ5の支給申請の期間は、訓練終了日の翌日から2か月以内で、パンフレットには厳守と書かれています(詳細版 p.44)。ここでいう訓練終了日は、計画届の「訓練の実施期間」の最終日に書いた日です(p.44)。

数え始めるのは、計画届に書いた最終日の翌日です。実際の最終回の日と同じとは限らないため、計画届を書く段階で、実施期間の最終日を最終回の日に合わせておくと、数え違いが起きにくくなります。

支給申請の書類を、できたステップで並べる

外部の研修を通学制か同時双方向型で受ける場合に、支給申請で出す主な書類を、どのステップでできたかで並べました(p.45〜46)。書類の名前は詳細版の表記に合わせ、担当の列は最初の表と同じく提案です。

書類

様式

できたステップ

社内の担当(提案)

支給要件確認申立書・支給申請書

共通要領様式第1号・様式第4-2号

⑤

人事

事業所確認票(中小企業事業主に該当する場合)

様式第13号

⑤

人事

賃金助成及びOJT実施助成の内訳・経費助成の内訳

様式第5号・様式第6-2号

⑤。④の記録から作る

人事と経理

対象労働者のOFF-JT実施状況報告書

様式第8-1号

④

人事。研修会社の出席の記録と突き合わせる

雇用契約書または労働条件通知書の写し

—

②で確かめたもの

人事

賃金台帳・出勤簿の写し

—

④

総務と経理

受講料等の価格設定に関する疎明書(経費助成を申請する場合)

様式第28号

⑤

人事

受講料の請求書と、領収書または振込通知書の写し

—

④

経理

支給申請承諾書(訓練実施者)

様式第12号

③で確かめ、⑤で受け取る

研修会社が承諾して出す

口座をまだ登録していない場合は、支払方法・受取人住所届も出します(p.45)。様式は、計画届を出したあとで改められても、計画届を出した日の時点のものを使います(p.44)。

審査のあいだに、会社が見込んでおくこと

支給・不支給の審査は、支給申請のあとで一括して行われます。パンフレットには、計画届を提出したことをもって助成金が確実に支給されるものではない、と明記されています(p.40)。

研修費はステップ4で全額が出ていて、助成金が戻るのは審査のあとです。予算は研修費の全額で組み、助成が通れば実質負担が下がる、という順番で見てください。

研修費を先に全額支払う前提で、企業規模と受講人数から助成を前提にした負担の目安を出すなら料金試算(助成金対応)が使えます。

料金を試算する(助成金対応) ▶


5つの段階の書類を1本の業務名でつなぐ|計画届の前に通す点検

助成金でスキルアップ研修を組む5ステップで出てくる書類は、書く人も、できる時期も異なります。計画届を出す前に、書類どうしが同じ業務を指しているかを次の5つで点検します。

1行でも「該当しない例」に近ければ、計画届を出す前に労働局か社会保険労務士に相談してください。

点検すること

なぜ要るか

該当しない例

事業展開等実施計画に、変える業務と変えた後の形が書かれている

訓練の端緒となるDX化の内容を具体的に書く様式のため(p.52)

「生成AIを業務に取り入れる」とだけ書き、変える業務の名前が無い

受講者全員の雇用契約書の職務内容が、その業務を指している

職務との関連性は雇用契約書等で確認されるため(p.28)

研修の席が余り、別の業務の担当者を加えた

カリキュラムの訓練日ごとの内容に、その業務の作業が入っている

計画届には訓練日ごとの実施内容が分かるカリキュラムを出すため(p.42)

各回の内容が「AIの基礎」「活用事例」だけで、業務の作業が出てこない

届け出た日程とグループ分けが、実際に受ける日程と一致している

変更届の無い日時の受講は、受講時間に数えられないため(p.22)

研修会社の都合で1回分をずらしたが、変更届を出していない

研修費の支払いの記録が、支給申請までにすべてそろう

訓練の費用は支給申請までに支払い終えている必要があるため(p.40)

分割払いの最後の支払いが、支給申請より後になっている

この点検表は、この記事の整理です。厚生労働省の資料に、同じ形の点検表があるわけではありません。


DAIJOBUの場合|5ステップのどこで当社の書類が出るか

当社のClaude Code法人研修を例に、当社が今出しているものを、ステップの順に書きます。

  • ステップ3の契約:助成金を使う契約では、契約書を交わしています
  • ステップ3のカリキュラム:本編は4回×3時間の計12時間です
  • 受講の前:受講者ごとの主業務やAIの使用経験などを事前ヒアリングで伺い、講師の事前準備に使っています
  • ステップ4の支払い:研修開始前のお支払いを原則にしているため、研修費の支払いの記録は、研修が始まる前にそろいます
  • 予算のご相談:研修費が先に全額出て、助成金は支給申請と審査のあとに戻るという順番を、料金の説明とセットでお伝えしています

ステップ1の事業展開等実施計画とステップ2の受講者の選定は、受講する会社の書類で、当社が代わりに書くことはありません。

助成金は審査を経て支給が決まるもので、申請するのは受講する企業です。 当社が受給を保証することはできません。

この記事で解けないこと

この記事は書類を書く順番を扱っていて、次のことには答えていません。

  • 個別の可否。対象になるかどうかは、管轄の労働局の審査で決まります
  • 申請書の作成と提出の代行。報酬を得て代行できるのは社会保険労務士です(詳細版 p.21)
  • ほかの形の訓練の書類。eラーニング・通信制・定額制サービスによる訓練や、自社で講師を立てる訓練は、計画届と支給申請の書類が変わります
  • 入金までの期間。一次資料に具体的な記載が無いため、数字を書いていません

助成金でスキルアップ研修を組むときのよくある質問

Q. 研修会社がすでに決まっています。5ステップの順番に戻せますか

A. 計画届を出す前なら、順番を戻して書き直せます。 ステップ1の事業展開等実施計画とステップ2の受講者を先に書き、決まっている研修のカリキュラムが、その業務の作業を扱っているかを確かめ直します。合わない場合は、研修の中身と受講者のどちらを変えるかを、計画届を出す前に決めてください。

Q. 社員を2つのグループに分けて別の日に受講させる場合、計画届は1つで足りますか

A. 日時が異なる場合は、日時が同じ訓練ごとに計画届を作ります。 グループごとに日程が違えば、計画届は2つになります(詳細版 p.41)。

Q. 支給申請の2か月は、実際の最終回の日から数えますか

A. 数え始めは、計画届の「訓練の実施期間」の最終日に書いた日の翌日です。 期間は2か月以内で、パンフレットには厳守と書かれています(詳細版 p.44)。

Q. 都道府県の助成金を使う場合も、同じ5ステップで進みますか

A. この記事の5ステップは国の事業展開等リスキリング支援コースに合わせたもので、都道府県の制度にはそのまま当てはまりません。 自治体の制度は、申請の時期も出す書類も制度ごとに決まっています。国の制度と都道府県の制度の分け方は、東京都と茨城県を例にスキルアップ助成金は国と都道府県のどちら?|AI研修で使える制度の分け方で扱っています。

Q. 期間限定の助成金と聞きました。これから組んでも使えますか

A. パンフレットには、令和4年度から8年度の期間限定の助成金として創設したと書かれています。 令和8年度は2026年度で、令和9年度以降の扱いは資料に書かれていません。年度の途中で制度が変わる場合もあるため(詳細版 p.10)、計画届を出す前に、管轄の労働局で最新の扱いを確かめてください。


助成金でスキルアップ研修を組む5ステップ|総括表

論点

押さえるところ

5ステップの順番

会社の変化を書く→受講者を選ぶ→研修を選んで契約する→計画届を出して実施する→支給申請する

研修を選ぶ時点

3番目。事業展開等実施計画と対象労働者一覧を書いたあと

5ステップの前提

職業能力開発推進者の選任と、事業内職業能力開発計画の策定・周知を、計画届の提出までに済ませる

ステップ1の書類

事業展開等実施計画(様式第1-3号)。訓練の端緒となるDX化の内容を、業務の変化から具体的に書く

ステップ2の書類

対象労働者一覧(様式第3-1号)。受講者の雇用契約書の職務内容を、計画届より先に見る。日時の違うグループは計画届を分ける

ステップ3の確認

カリキュラム・契約の書類・支給申請承諾書・負担軽減の提案の4点を、契約の前に確かめる

ステップ4の注意

日程を変えるなら先に変更届。届けていない日時の受講は受講時間に数えられない。記録は実施中に原本で残す

ステップ5の期限

計画届に書いた実施期間の最終日の翌日から2か月以内。様式は計画届を出した日の時点のもの

書類の点検

5つの段階の書類が、ステップ1で書いた業務を軸にそろっているかを確かめる

審査と入金

審査は支給申請のあとに一括。研修費は先に全額を払う


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まとめ|助成金でスキルアップ研修を組むには?

助成金でスキルアップ研修を組むには、研修の候補を並べる前に、変えたい業務とその担当者を書類に書き、研修はその2つに合うものを3番目に選びます。そのあとは、計画届の内容どおりに実施して記録をそのまま残し、その記録で支給申請します。

今日と今週で動かせることを3つ挙げます。どれも書類を仕上げる作業ではなく、下書きの1行を書く作業です。

  1. 今日、変えたい業務を持つ部門の責任者に、ステップ1の4行の下書きを頼む
  2. 今週、4行目に書いた業務の担当者を名前で挙げ、その人たちの雇用契約書の職務内容と見比べる
  3. 今週、候補の研修会社に、契約の前に確かめる4点をまとめて問い合わせる

最後に、社内で自分に問える1問を置きます。御社では、研修の候補を見る前に、変えたい業務の名前と、その業務を担当している人の名前を書き出せますか。 書き出せなければ、研修会社を比べる前に、ステップ1の4行に戻ってください。

企業規模と受講人数から、助成を前提にした負担の目安を出すなら料金試算(助成金対応)をご利用ください。

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様式の書き方は会社の業務と受講者で変わるため、この記事では書く順番と点検の基準までにとどめます。

要点を保存用に再掲します。

  • 助成金でスキルアップ研修を組む5ステップは、会社の変化を書く、受講者を選ぶ、研修を選んで契約する、計画届を出して実施する、支給申請する、の順です。研修を選ぶのは3番目です
  • 研修の候補を見る前に書くのは、事業展開等実施計画と対象労働者一覧の2つです。どの業務をどう変えるかと、その業務をだれが担当しているかを先に決めます
  • 5つの段階の書類は、同じ業務を指すように1本につなげて書きます。厚生労働省は、受講者の職務と訓練の関連性を雇用契約書や訓練カリキュラム等で確認するとしています
  • 計画届を出したあとは、届けたとおりに実施します。日程を変えるときは、動かす前に変更届を出します
  • 支給申請は、計画届に書いた実施期間の最終日の翌日から2か月以内です。記録は、原本を複写した写しで出します

出典・注記

  • 厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)」令和8年8月3日版 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731978.pdf (2026年9月25日参照)。期間限定の助成金として創設したこと(表紙)、チェックリスト(p.3)、推進者と事業内職業能力開発計画を計画届の提出までに選任・策定・周知すること(p.4〜5)、年度の途中の制度変更(p.10)、コースの基本要件と操作方法の習得に関する注記(p.13)、DXの業種別の例(p.14)、支給対象事業主と対象となる労働者(p.17)、職務関連訓練(p.18)、支給申請承諾書・社会保険労務士法第27条(p.21)、変更届なしで実施した場合の受講率の例(p.22)、職務との関連性の確認(p.28)、訓練経費の全額負担(p.33)、手続きの流れ・支給申請後の一括審査・本社一括申請(p.40)、計画届の提出期間と作成単位(p.41)、計画届時に必要な書類と負担軽減の説明資料(p.42)、変更届の期限と要否・変更届なしで実施した部分の扱い(p.43)、支給申請期間・訓練終了日の定義・様式の時点(p.44)、支給申請時に必要な書類と写しの扱い(p.45〜47)、職業訓練実施計画届 様式第1-1号第2面(p.51)、事業展開等実施計画 様式第1-3号(p.52)の根拠。ページは冊子の印刷ページです
  • 厚生労働省「人材開発支援助成金」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html (2026年9月25日参照)。事業展開等リスキリング支援コースの詳細版が令和8年8月3日版であることの確認
  • 「5ステップ」の分け方、各ステップの社内の担当、事業展開等実施計画を4行で下書きする型、契約の前に研修会社へ確かめる4点、5つの段階の書類の点検表は、DAIJOBUの整理と提案です。厚生労働省の資料に書かれている区分や様式の決まりではありません
  • 受注から請求までの事務の例は、説明のための仮の例です。実在の会社の事例ではなく、対象になることを示すものでもありません
  • この記事の5ステップと書類の一覧は、外部の研修会社が主催する研修を通学制か同時双方向型の通信訓練で受ける場合に合わせています。eラーニング・通信制・定額制サービスによる訓練、自社で講師を立てる訓練、都道府県の制度には、そのまま当てはまりません
  • 当社の研修に関する記述(助成金を使う契約で契約書を交わすこと、本編4回×3時間=12時間、受講者への事前ヒアリングとその使い方、研修開始前のお支払いを原則にしていること、予算の相談で資金の順番をお伝えしていること)は、当社の自社情報です。企業名・受講者・受講者数の実数は記載していません
  • 本記事の記載は2026年度(令和8年度)の、2026年9月25日時点で確認した内容であり、受給を保証するものではありません。個別の可否は管轄の都道府県労働局でご確認ください
  • 入金までの期間は、上記の一次資料に具体的な記載が無いため、本記事では数値を書いていません

この記事について

DAIJOBUは、ソフトウェアテスト・品質保証と脆弱性診断を本業としながら、法人向けにClaude Code研修を提供している会社です。助成金を使う研修では、計画届に添えるカリキュラムと契約書を当社から受講企業へお出ししています。本記事は、その書類が受講する会社の側でどの順番に書かれるかを、厚生労働省の詳細版で確認できる内容と、当社の整理・当社の実務に分けて書いたものです。

著者

DAIJOBU株式会社 Claude Code法人研修部 コンテンツ担当 佐藤 雅俊

編集責任者

DAIJOBU株式会社 Claude Code法人研修 事業責任者 石井 雄大

監修

DAIJOBU株式会社 代表取締役 山中 裕貴

公開日

2026年9月29日

最終更新日

2026年9月29日