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人材開発支援助成金は大企業も使える?|中小企業との違い

人材開発支援助成金は大企業も使える?|中小企業との違い

資本金も従業員数も中小企業の基準を超える会社が社員研修を組む場合も、人材開発支援助成金は使えます。大企業にあたるかは、業種ごとに決められた資本金と常時雇用する労働者の数の2つで判定し、どちらか一方でも基準以下なら中小企業として扱われます。

この記事の要点は3つ

  1. 人材開発支援助成金は大企業も使えます。大企業になるのは、主たる事業ごとの資本金と常時雇用する労働者の数が、両方とも基準を超える場合です。判定は支給申請の時点の内容で行われます
  2. 中小企業との違いは、主に助成率・1人あたりの経費助成の限度額・中小企業だけの上乗せの3つです。3つの分け方は本記事の整理で、厚生労働省の分類ではありません
  3. 訓練の種類によっては、一覧表に大企業の値が別に書かれていない欄もあります。申請前に、使う訓練の欄を厚生労働省のパンフレットの表と注で確かめます

企業規模と人数から実質負担の目安を先に押さえたい方は、料金試算(助成金対応)をご利用ください。

料金を試算する(助成金対応) ▶

助成金を使うAI研修を企業に案内している研修会社の立場から、企業規模によって変わる点に絞って書きます。個別の会社が中小企業にあたるかの判定と、申請書類の書き方は扱いません。

AI研修でよく使われるコースの要件と手続きは、事業展開等リスキリング支援コースの記事で扱っています。この記事は、同じ制度を企業規模の側から読み、大企業で何が変わるかを整理します。

この記事でわかること

  • 人材開発支援助成金を大企業が使えるか、使うと何が変わるか
  • 大企業と中小企業を分ける判定基準と、判定の時点
  • 中小企業との3つの違いと、計算の例
  • コースと訓練の種類ごとの、大企業の助成率
  • 大企業が申請前に見る3つの点と、この記事で解けないこと

人材開発支援助成金は大企業も使える|外れるのではなく、率と限度額が変わる

人材開発支援助成金は、大企業も申請できる制度です。厚生労働省のパンフレットは、助成額と助成率の一覧表に「( )内は中小企業以外の助成額・助成率」と注を付け、同じ表の中に大企業の値を並べています(事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)p.2「Ⅰ-1 人材開発支援助成金とは」)。

制度の説明は、事業主が雇用する労働者に職務に関連した訓練を計画に沿って実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部などを助成するというものです(同p.2)。対象を中小企業に限る書き方にはなっていません。

ファクトボックス|人材開発支援助成金と大企業

項目

内容

制度名

人材開発支援助成金

所管

厚生労働省。窓口は都道府県労働局・ハローワーク

大企業の扱い

対象になる。資料では「中小企業以外の事業主」「大企業」と書かれる

コース

全7コース。本記事で扱うのは、人材育成支援/教育訓練休暇等付与/人への投資促進/事業展開等リスキリング支援の4コース

判定の基準

主たる事業ごとの、資本金の額または出資の総額と、企業全体で常時雇用する労働者の数

判定の時点

支給申請の時点の内容

根拠資料

厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)」ほか。令和8年8月3日以降に提出された計画届に基づく訓練が対象の版

出典URL

https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731978.pdf / https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731967.pdf ほか(末尾の出典・注記にページごとに掲載)

参照日

2026年10月16日

免責

支給には審査があります。要件は制度改正で変わるため、最新の内容は管轄の労働局でご確認ください

大企業が受けられるかは、コースごとの表で決まる

厚生労働省の制度ページによると、人材開発支援助成金には7つのコースがあります。このうち建設労働者向けの2コースと障害者職業能力開発コースを除く4コースは、上のパンフレットの一覧表にまとめられていて、大企業の値が別に書かれている欄と、大企業の値が別に書かれていない欄があります(同p.2)。

つまり「大企業は使えるか」の答えは制度全体では「使える」ですが、「いくら下がるか」はコースと訓練の種類ごとに違います。この先は、判定の基準、中小企業との違い、コース別の率の順に見ていきます。

大企業は人材開発支援助成金の対象から外れるのではなく、同じ訓練に対して低い助成率と限度額が当てはめられます。


大企業かどうかの判定基準|主たる事業ごとの資本金と常時雇用する労働者の数

人材開発支援助成金で大企業にあたるかは、「主たる事業」ごとに、資本金の額または出資の総額と、企業全体で常時雇用する労働者の数の2つで判定します。

厚生労働省のパンフレットは、どちらかの基準に当てはまれば中小企業事業主になると書いています(事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)p.12「Ⅰ-7 中小企業事業主の範囲」)。

裏返すと、大企業になるのは、資本金と労働者の数の両方が基準を超える場合です。資本金が基準を超えていても、常時雇用する労働者の数が基準以下なら中小企業として扱われます。

業種ごとの基準|4つの区分で上限が違う

主たる事業

資本金の額または出資の総額

企業全体で常時雇用する労働者の数

小売業(飲食店を含む)

5,000万円以下

50人以下

サービス業

5,000万円以下

100人以下

卸売業

1億円以下

100人以下

その他の業種

3億円以下

300人以下

出典:厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)」p.12、同「人材育成支援コースのご案内(詳細版)」令和8年8月3日版 p.13「Ⅰ-7 中小企業事業主の範囲」。表の値は、どちらか一方に当てはまれば中小企業になる基準です。

「主たる事業」は、総務省の日本標準産業分類の業種区分に基づきます(事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)p.12)。

人材育成支援コースのパンフレットの業種区分表では、サービス業に情報サービス業(中分類39)や学術研究・専門・技術サービス業(大分類L)が入り、表に挙がっていない業種は「製造業その他」として「上記以外のすべて」にまとめられています(同p.13)。

自社の業種で数え直すと、区分が変わることがある

業種の区分によって、労働者の数の上限は50人から300人まで6倍の幅があります。たとえば情報サービス業の会社はサービス業の区分に入るため、資本金が5,000万円を超え、常時雇用する労働者が100人を超えると大企業です。

同じ常時雇用する労働者200人の会社でも、製造業なら労働者の数が300人以下なので中小企業、情報サービス業なら資本金しだいで大企業になります。「300人を超えたら大企業」という覚え方は、その他の業種にしか当てはまりません。

型D・フロー型。大企業かどうかを判定する順番を、左から右へ示す。要素=箱1「主たる事業を決める」(下に小さく「日本標準産業分類の業種区分」)→箱2「資本金・出資の総額は基準以下か」→「はい」なら右上の箱「中小企業」へ/「いいえ」なら箱3「企業全体で常時雇用する労働者の数は基準以下か」→「はい」なら「中小企業」/「いいえ」なら箱4「大企業(中小企業以外の事業主)」。箱4を青で強く、「中小企業」の箱は白地に青枠。下部に淡いグレーの帯「判定は支給申請の時点の内容で行う」。大きな番号は置かない。結論=大企業になるのは、主たる事業の区分で見た資本金と常時雇用する労働者の数が、両方とも基準を超える場合です。

大企業になるのは、主たる事業の区分で見た資本金と常時雇用する労働者の数が、両方とも基準を超える場合です。

資本金を持たない法人と、「常時雇用する労働者」の数え方

個人、一般社団法人、公益社団法人、一般財団法人、公益財団法人、医療法人、学校法人、社会福祉法人、労働組合、協同組合、協業組合のように資本金などを持たない事業主は、常時雇用する労働者の数だけで判断します(同p.12)。

常時雇用する労働者とは、2か月を超えて使用される者であり、かつ、週の所定労働時間が、その事業主に雇用される通常の労働者と概ね同等である者をいいます(同p.12の注)。雇用期間の定めのない者や、2か月を超える雇用期間の定めのある者も含まれます。

大企業かどうかは従業員数だけでは決まらず、業種の区分によって基準の数字そのものが変わります。


中小企業との3つの違い|助成率・1人あたりの限度額・中小企業だけの上乗せ

大企業と中小企業の違いは、主に助成率と助成額・1人1訓練あたりの経費助成の限度額・中小企業だけに付く上乗せの3つです。3つの分け方は、厚生労働省のパンフレットの表と注をもとにした本記事の整理です。賃金助成の時間あたりの額は、1つ目の助成率の中に含めて数えています。

1. 助成率と賃金助成の額|経費は15ポイント、賃金は半分になる欄が多い

1つ目は、訓練経費に対する助成率と、訓練中の賃金に対する1人1時間あたりの助成額です。事業展開等リスキリング支援コースでは、大企業の経費助成率が中小企業より15ポイント低く、賃金助成の額は半分です(事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)p.38「Ⅲ-1 助成額・助成率」)。

人材育成支援コースの人材育成訓練では、正規雇用労働者等の経費助成が中小企業45%・大企業30%、賃金助成が中小企業800円・大企業400円です(人材育成支援コースのご案内(詳細版)p.14「Ⅱ-1」)。賃金の上昇などの要件を満たした場合は加算があり、加算後の値でも大企業の側に別の値が書かれています(同p.14)。

eラーニングと通信制による訓練は、企業規模にかかわらず経費助成のみで、賃金助成の対象になりません(事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)p.38の注、人材育成支援コースのご案内(詳細版)p.14の注)。

2. 1人1訓練あたりの経費助成の限度額|時間の区分ごとに差がつく

2つ目は、受講者1人が1つの訓練で受け取れる経費助成の上限です。限度額は実訓練時間数の区分ごとに決まり、どの区分でも大企業のほうが低く設定されています。

実訓練時間数

事業展開等リスキリング支援コース(中小企業/大企業)

人材育成支援コース(中小企業/大企業)

10時間以上100時間未満

30万円/20万円

15万円/10万円

100時間以上200時間未満

40万円/25万円

30万円/20万円

200時間以上

50万円/30万円

50万円/30万円

出典:事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)p.38「Ⅲ-2 支給限度額」、人材育成支援コースのご案内(詳細版)p.14「(2)1労働者1訓練あたりの経費助成限度額」。人材育成支援コースの限度額は、通常分と加算分を合算したうえでの額です(同p.14 ※4)。

人材育成支援コースでは、eラーニングと通信制による訓練等(標準学習時間が定められているものを除く)は一律「10時間以上100時間未満」の区分、専門実践教育訓練の指定講座は一律「200時間以上」の区分になります(同p.14 ※1・※2)。

表の注にも企業規模の差があります。事業展開等リスキリング支援コースでは、eラーニングと通信制による訓練の限度額が中小企業15万円・大企業10万円で、通学制や同時双方向型の通信訓練と組み合わせた場合も同じ扱いです(同p.38の注)。

定額制サービスによる訓練は1人1か月あたり2万円が限度で、この欄に企業規模の区別は書かれていません(同p.38)。

計算の例|経費が大きい訓練ほど、差は限度額で決まる

計算の例を1つ置きます。事業展開等リスキリング支援コースで、実訓練時間数が10時間以上100時間未満の訓練に、受講者1人あたり50万円の経費がかかったとします(金額は計算のための仮の値です)。

中小企業は75%で37.5万円の計算になりますが、限度額の30万円で止まります。大企業は60%で30万円の計算になり、限度額の20万円で止まります。

この例の数字は、限度額の表の1行目をそのまま当てはめた計算です。実際の助成額は、対象になる経費の範囲と、除外したあとの実訓練時間数で変わります。見積もりを比べるときは、助成率より先に、自社の受講者1人あたりの経費がどの区分の限度額に当たるかを見ます。

経費助成と賃金助成を合わせた計算の手順は、人材開発支援助成金はいくらもらえる?|経費助成と賃金助成の計算方法で扱っています。

3. 中小企業だけの上乗せ|設備投資加算と、長期休暇の追加の助成

3つ目は、中小企業だけが受けられる上乗せです。大企業が同じ訓練をしても、この分は受け取れません。

  • 設備投資加算(事業展開等リスキリング支援コース):事業主の要件の1つ目が「中小企業事業主であること」です(事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)p.34「Ⅱ-7 設備投資加算」、支給要領0401イ)。助成率の表でも、大企業の欄は「ー」です(同p.38)
  • 新規雇用・派遣受入と職務代行手当の追加の助成(人への投資促進コースの長期教育訓練休暇制度):表の注に「中小企業のみ対象」と書かれています(教育訓練休暇等付与コース・人への投資促進コースのご案内(詳細版)p.8「共通事項Ⅰ-3 助成額」※5)

設備投資加算は、訓練のあとに事業展開促進機器等を新たに導入した場合に、導入費用の50%を上乗せするものです(事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)p.38)。賃金要件か資格等手当要件のどちらかを満たすことも要件に入っています(同p.34)。

型C・帯構造型。大企業と中小企業で、同じ訓練から受け取れる助成の積み上がりを、下から上へ3段の帯で示す。要素=1段目「経費助成・賃金助成」=両方が受けられる。率と額は大企業が低い/2段目「1人1訓練の限度額」=両方にかかる。限度額は大企業が低い/3段目「中小企業だけの上乗せ」=設備投資加算など。大企業の欄は空欄。各段の左に白抜きラベル、右に「中小企業」「大企業」の2列。3段目の「大企業」の空欄を淡いグレーで示し、1段目を青で強く。大きな番号は置かない。結論=大企業も経費助成と賃金助成は受けられますが、率と限度額は低く、中小企業だけの上乗せは受けられません。

大企業も経費助成と賃金助成は受けられますが、率と限度額は低く、中小企業だけの上乗せは受けられません。

企業規模と受講人数を入れて、実質負担の目安を出すなら料金試算(助成金対応)が使えます。

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コース別に見る大企業の助成率|差がつく訓練と、差がない訓練

大企業の助成率は、コースと訓練の種類ごとに一覧表で確かめます。厚生労働省の一覧表は、大企業の値を( )で併記しています(事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)p.2「Ⅰ-1 2 助成額・助成率」)。

( )が無い欄は、表の上で大企業の値が別に書かれていない欄です。ただし設備投資加算や長期教育訓練休暇の新規採用助成・職務代行助成のように、( )が無くても中小企業だけが対象のものがあるため、各コースの詳細版の注まで確かめます。

主な訓練の経費助成率と賃金助成額(通常分)

コース・訓練

経費助成率 中小企業(大企業)

賃金助成 1人1時間 中小企業(大企業)

大企業の値の別記

事業展開等リスキリング支援コース

75%(60%)

1,000円(500円)

あり

人材育成支援コース 人材育成訓練・正規雇用労働者等

45%(30%)

800円(400円)

あり

人材育成支援コース 人材育成訓練・非正規雇用労働者

70%

800円(400円)

経費助成率は別記なし

人への投資促進コース 高度デジタル人材訓練

75%(60%)

1,000円(500円)

あり

人への投資促進コース 定額制訓練

60%(45%)

-

あり

人への投資促進コース 成長分野等人材訓練

75%

1,000円

別記なし

人への投資促進コース 自発的職業能力開発訓練

45%

-

別記なし

出典:事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)p.2。値は賃金要件等を満たさない場合の通常分で、要件を満たした場合の加算後の値も同じ表に並んでいます。成長分野等人材訓練の賃金助成は、国内の大学院を利用した場合の助成です(同p.2 ※4)。

同じ表で、OFF-JTとOJTを組み合わせる訓練のOJT実施助成も、大企業の額が別に書かれています。たとえば人材育成支援コースの認定実習併用職業訓練は、1人1コースあたり中小企業20万円・大企業11万円です(同p.2)。

企業規模で率が分かれない欄|( )が無くても注で確かめる

率の欄のうち、詳細版でも企業規模の区別が無いものを挙げます。

  • 人材育成支援コースの人材育成訓練のうち、有期契約労働者等の経費助成率(人材育成支援コースのご案内(詳細版)p.14)
  • 人材育成支援コースの有期実習型訓練の経費助成率(同p.14)
  • 教育訓練休暇等付与コースの制度導入の助成(教育訓練休暇等付与コース・人への投資促進コースのご案内(詳細版)p.8)

人への投資促進コースの成長分野等人材訓練と自発的職業能力開発訓練も一覧表に( )がありませんが、本記事では同コースの詳細版で大企業の扱いを確かめられていないため、この箇条に入れていません。

教育訓練休暇等付与コースと人への投資促進コースの長期休暇の制度は、制度導入・実施助成について「企業規模にかかわらず、同じ助成額です」と書かれています(教育訓練休暇等付与コース・人への投資促進コースのご案内(詳細版)p.8 ※4の注)。

一方で、長期教育訓練休暇制度の賃金助成は、中小企業1,000円・大企業800円と分かれています(同p.8)。1人あたりの賃金助成の対象時間数の上限も、中小企業1,600時間・大企業1,200時間です(同p.8 ※1)。

型A・全体像カード型。大企業で値が変わるかを、2行2列の4枚のカードで示す。要素=カード「経費助成率が下がる」=事業展開等リスキリング支援コース・人材育成訓練の正規雇用労働者等・高度デジタル人材訓練・定額制訓練/カード「賃金助成の額が下がる」=多くの欄で中小企業の半分。長期教育訓練休暇制度は1,000円から800円/カード「詳細版でも企業規模の区別が無い」=有期契約労働者等の人材育成訓練の経費助成率・有期実習型訓練の経費助成率・教育訓練休暇等付与コースの制度導入の助成/カード「中小企業だけ」=設備投資加算・長期教育訓練休暇の新規雇用と職務代行の追加の助成。注に「中小企業のみ」と書かれ、表に( )が無くても大企業は受けられない。「中小企業だけ」のカードを太い青枠で強く、ほかの3枚は淡い青。大きな番号は置かない。結論=大企業で助成が下がるかは、コース単位ではなく、使う訓練の欄ごとに決まります。

大企業で助成が下がるかは、コース単位ではなく、使う訓練の欄ごとに決まります。

AI研修で使うことが多いのは、差がつく欄

AI研修で使われることが多い事業展開等リスキリング支援コースは、経費助成率・賃金助成・限度額のすべてで大企業の値が低い欄に入ります。当社も、主力の助成制度として事業展開等リスキリング支援コースを案内しています。

当社の研修は本編を12時間で組んでおり、実訓練時間数は10時間以上100時間未満の区分に入ります。この区分の大企業の経費助成の限度額は、1人1訓練あたり20万円です(事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)p.38)。

ただし、実際の実訓練時間数は対象外の時間を除いて数えるため、区分の確認は計画の段階で行います。

賃金助成も、時間あたりの額で差が出ます。受講者10人が所定労働時間内に12時間受けた場合、賃金助成の計算は中小企業が1,000円×120時間で12万円、大企業が500円×120時間で6万円です。支給には審査があり、要件を満たした場合の計算です。

AIの研修内容が対象になるかの線引きは、2026年8月3日の改正で変わりました。その中身は事業展開等リスキリング支援コースとは|AI研修で使う条件と流れで扱っています。


大企業が申請前に見る3つの点|グループ会社との取引・事業所ごとの限度額・判定の時点

大企業や、基準の境目にいる会社が申請前に見る点は、主にグループ会社との取引・事業所ごとの限度額・判定の時点の3つです。契約から支給申請までの順に並べています。3つの選び方は、パンフレットと支給要領の記載をもとにした本記事の整理です。

1. グループ会社との取引|事業外訓練で研修子会社に払う受講料は対象外

1つ目は、グループ会社との取引です。事業外訓練では、申請事業主と密接な関係にある教育訓練機関に支払う入学料・受講料・教科書代等は、対象とならない経費とされています(事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)p.32「(4-2)事業外訓練における対象とならない経費」)。

密接な関係にある教育訓練機関には、申請事業主の親会社や子会社である教育訓練機関が含まれます(同p.32)。グループ内の研修会社に研修を任せている会社は、その受講料が経費助成の対象にならない点を先に確かめます。

費用を誰が払うかにも注意が要ります。

パンフレットは、事業内訓練の対象経費の欄の注で、申請事業主以外の者、たとえば親会社が負担している場合は経費助成の対象にならず、賃金助成は対象になり得ると書いています(同p.30「Ⅱ-5 対象となる経費等」)。研修費をグループの本部でまとめて払う会社は、受講者を雇用している会社が自ら支払う形になっているかを見ます。

2. 限度額の単位|1事業所・1年度ごとに上限がある

2つ目は、会社全体ではなく事業所ごとにかかる上限です。1事業所が1年度に受給できる額は、コースごとに次のように決まっています。

コース

1事業所・1年度あたりの限度額

出典

事業展開等リスキリング支援コース

1億円

事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)p.39

人材育成支援コース

1,000万円

人材育成支援コースのご案内(詳細版)p.15

人への投資促進コース(成長分野等人材訓練を除く)

2,500万円

教育訓練休暇等付与コース・人への投資促進コースのご案内(詳細版)p.8

人への投資促進コースの成長分野等人材訓練

1,000万円

同p.8

1年度は、支給申請日を基準に4月1日から翌年3月31日までです(事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)p.39)。この限度額の欄には、企業規模による区別は書かれていません。

事業所が多い会社では、本社一括申請を選ぶと、本社以外の事業所に係る支給額も含めて、助成金が支給される本社で計上されます(同p.39 注1)。複数の拠点で同じ研修を受けさせる場合は、どの事業所の申請として数えるかを、計画の段階で社内の経理と決めておきます。

3. 判定の時点|計画届ではなく支給申請の時点で決まる

3つ目は、中小企業かどうかを判定する時点です。パンフレットは「時点については、支給申請時点の内容で判断します」と書いています(事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)p.12)。

人材育成支援コースのパンフレットも、助成率の表の注で、支給申請時点の企業規模で判定するとしています(人材育成支援コースのご案内(詳細版)p.14)。

事業展開等リスキリング支援コースの支給要領は、さらに具体的に、判定は「通常分」と「設備投資加算」のどちらも、「通常分」の支給申請書(様式第4-2号)を提出したときの内容で決めると定めています(支給要領0504)。

計画届を出した時点で中小企業でも、訓練のあとの増資や採用で基準を超えると、大企業の率で計算されることになります。

基準の境目にいる会社は、計画の段階で大企業の率でも資金繰りが成り立つかを確かめておくと安全です。訓練経費は支給申請までに申請事業主が全て負担する必要があり(事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)p.33「Ⅱ-6 訓練経費の負担に係る留意点」)、助成は後から入る順番になるためです。

型C・帯構造型。大企業が申請前に見る点を、計画から支給までの時間の流れに沿って、上から3段の帯で示す。要素=1段目「契約と支払い」=研修を任せる先が親会社・子会社の教育訓練機関でないか。経費を払うのは受講者を雇う会社か/2段目「申請の単位」=どの事業所の申請として数えるか。1事業所・1年度の限度額/3段目「支給申請のとき」=この時点の資本金と常時雇用する労働者の数で企業規模を判定。各段の左に白抜きラベル、右に説明枠。3段目を青で強く、1〜2段目は淡い青。大きな番号は置かない。結論=大企業は、契約先と支払いの形、申請の単位、支給申請の時点の企業規模を、計画の段階で決めておきます。

大企業は、契約先と支払いの形、申請の単位、支給申請の時点の企業規模を、計画の段階で決めておきます。

AI研修でリスキリングを進める場合の、対象者の選び方から定着までの手順は、AI研修でリスキリングを進めるには|業務選びから定着まで4段階で扱っています。

国の助成金と自治体の制度のどちらを使うかの選び方は、DX研修の助成金は何を使う?|国と自治体の制度を選ぶ3つの基準にまとめています。


この記事で解けないこと|個別の判定と、令和9年度以降の扱い

この記事は、厚生労働省のパンフレットと支給要領の表と注から、企業規模で変わる点を整理したものです。次の3つは、この記事では答えを出せません。

自社が中小企業にあたるかの個別の判定

主たる事業をどの業種区分に当てはめるかと、常時雇用する労働者に誰を数えるかは、会社ごとの実態で決まります。グループ会社の規模を合わせて見るかどうかも、本記事で参照したパンフレットの判定の表からは読み取れませんでした。基準の境目にいる会社は、計画届の前に管轄の労働局へ確認します。

令和9年度以降の扱い

事業展開等リスキリング支援コースと人への投資促進コースは、一覧表の注で「令和8年度末までの時限措置」とされています(事業展開等リスキリング支援コースのご案内(詳細版)p.2 ※7)。令和9年度以降に大企業の率や限度額がどうなるかは、2026年10月16日時点で公表されている資料からは分かりません。

支給されるかどうか

ここまでの率と限度額は、審査で要件を満たした場合の値です。計画届を出したことや、研修会社の説明だけで、支給が決まるわけではありません。


人材開発支援助成金と大企業についてよくある質問

Q. 従業員が300人を超えると、必ず大企業になりますか

A. 従業員の数だけでは決まりません。 資本金の額または出資の総額が業種の基準以下なら、労働者が多くても中小企業です。300人はその他の業種の労働者の数の基準で、サービス業や卸売業は100人、小売業は50人です。

Q. 中小企業かどうかは、計画届と支給申請のどちらの時点で決まりますか

A. 支給申請のほうです。 事業展開等リスキリング支援コースの支給要領は、通常分の支給申請書を提出したときの内容で決めると定めています。計画届の後に増資や採用で基準を超えた場合は、大企業の率で計算されます。

Q. 大企業でも、研修中の賃金の助成は受けられますか

A. 多くの訓練で受けられますが、額は中小企業より低くなります。 事業展開等リスキリング支援コースでは、1人1時間あたり中小企業1,000円・大企業500円です。eラーニングと通信制による訓練は、企業規模にかかわらず経費助成のみです。

Q. 医療法人や社団法人は、どの基準で判定しますか

A. 常時雇用する労働者の数だけで判定します。 パンフレットは、医療法人・学校法人・社会福祉法人・一般社団法人などの資本金等を持たない事業主を、この扱いの例に挙げています。


大企業と中小企業の違い|総括表

論点

中小企業

大企業

判定の基準

資本金と常時雇用する労働者の数の、どちらかが業種の基準以下

両方が業種の基準を超える

経費助成率(事業展開等リスキリング支援コース)

75%

60%

賃金助成(同・1人1時間)

1,000円

500円

経費助成の限度額(同・10時間以上100時間未満)

助成額の上限30万円

助成額の上限20万円

設備投資加算

導入費用の50%(要件あり)

対象外

1事業所・1年度の限度額(同)

1億円

1億円

表の値は事業展開等リスキリング支援コースの通常分で、ほかのコースは訓練の欄ごとに値が違います。



まとめ|人材開発支援助成金は大企業も使えるのか

人材開発支援助成金は大企業も使えます。変わるのは使えるかどうかではなく、訓練の欄ごとの助成率と、1人あたりの限度額と、設備投資加算などを受けられるかです。

大企業として申請を考えているなら、次の3つから始められます。

  1. 今日:主たる事業の業種区分を決め、自社の資本金と常時雇用する労働者の数で、大企業にあたるかを判定する
  2. 今週中:使う予定の訓練が、厚生労働省の一覧表で( )の値がある欄か、注に「中小企業のみ」と書かれていないかを確かめる
  3. 今週中:受講者1人あたりの経費を、大企業の限度額の区分に当てはめて、受け取れる額の上限を出す

最後に、社内で自分に問える1問を置きます。御社が支給申請をする日に、資本金と常時雇用する労働者の数は、計画届を出す日と同じ区分に入っていますか。

  • 人材開発支援助成金は大企業も使えます。大企業になるのは、主たる事業ごとの資本金と常時雇用する労働者の数が、両方とも基準を超える場合です。判定は支給申請の時点の内容で行われます
  • 中小企業との違いは、主に助成率・1人あたりの経費助成の限度額・中小企業だけの上乗せの3つです。3つの分け方は本記事の整理で、厚生労働省の分類ではありません
  • 訓練の種類によっては、一覧表に大企業の値が別に書かれていない欄もあります。申請前に、使う訓練の欄を厚生労働省のパンフレットの表と注で確かめます

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出典・注記

  • 厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)」令和8年8月3日以降に提出された計画届に基づく訓練が対象の版 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731978.pdf (2026年10月16日参照)。p.2 各コースの助成額・助成率の一覧、p.12 中小企業事業主の範囲と判定の時点、p.30・p.32・p.33 対象となる経費と対象とならない経費、p.34 設備投資加算の事業主の要件、p.38 助成率と限度額、p.39 1事業所の支給額の制限と本社一括申請による
  • 厚生労働省「人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内(詳細版)」令和8年8月3日版 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731967.pdf (2026年10月16日参照)。p.13 中小企業事業主の範囲と業種区分、p.14 助成率・助成額と経費助成の限度額、p.15 支給限度額による
  • 厚生労働省「人材開発支援助成金(教育訓練休暇等付与コース・人への投資促進コース(長期教育訓練休暇等制度))のご案内(詳細版)」令和8年8月3日版 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731970.pdf (2026年10月16日参照)。p.8 長期教育訓練休暇制度の賃金助成、中小企業のみの追加の助成、制度導入・実施助成の扱い、1事業所の限度額による
  • 厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)支給要領」令和8年8月3日 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731981.pdf (2026年10月16日参照)。0401 設備投資加算の加算対象事業主、0504 助成率及び助成額と中小企業事業主の判定の時点による
  • 厚生労働省「人材開発支援助成金」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html (2026年10月16日参照)。7つのコースの一覧による
  • 計算の例の経費50万円は、計算のための仮の値です
  • 3つの違いと、申請前に見る3つの点の分け方は、本記事の整理です
  • 事業展開等リスキリング支援コースを主力の助成制度として案内していること、研修の本編が12時間であることは、当社の自社情報です
  • 率・限度額・要件は制度改正で変わります。本記事は2026年10月16日時点で確認した内容で、受給を保証するものではありません。個別の可否は管轄の都道府県労働局でご確認ください

この記事について

本記事は、法人向けにClaude Codeの研修を提供するDAIJOBUが、人材開発支援助成金で大企業と中小企業の扱いが分かれる点を、厚生労働省の一次資料に沿って整理したものです。

著者

DAIJOBU株式会社 Claude Code法人研修部 コンテンツ担当 佐藤 雅俊

編集責任者

DAIJOBU株式会社 Claude Code法人研修 事業責任者 石井 雄大

監修

DAIJOBU株式会社 代表取締役 山中 裕貴

公開日

2026年10月20日

最終更新日

2026年10月20日

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