「AI研修に人材開発支援助成金が使えるのは分かった。ただ、コースが7つも並んでいて、うちはどれで出せばいいのか分からない」。助成金を前提に研修を検討している会社から、最初に出てくるのはこの質問です。

先に答えを書きます。人材開発支援助成金でAI研修に使えるコースは、7つのうち3つです。 残りの4つは業種が限定されているか、研修費そのものではなく休暇制度の導入に対する助成だからです。

そして3つのうちどれで出すかは、助成率の高さでは決まりません。会社の業種と、研修が公的な講座リストに載っているかどうかで、選べる範囲が先に絞られます。 この記事では、その絞り込みの順番と、申請で会社側が用意する書類を、2026年度時点の厚生労働省の資料から整理します。

この記事の要点は3つ

  1. AI研修で候補になるコースは3つです。事業展開等リスキリング支援コース、人材育成支援コース(人材育成訓練)、人への投資促進コースの3つで、それ以外は業種または助成の対象が違います
  2. 助成率が最も高いコースが、いつでも選べるわけではありません。人への投資促進コースの高度デジタル人材訓練は、会社側の要件に加えて、訓練が公的な講座区分に載っていることを求めます。一般的な法人向けAI研修は、ここで外れることが多くあります
  3. 2026年8月3日の改正で、AI研修は対象と対象外の両方に名指しで例示されました。分かれ目は生成AIかどうかではなく、特定の職務にそのまま使える内容かどうかです
型A・全体像カード型。人材開発支援助成金の7コースから、AI研修の候補が3つに絞られる過程を1枚で示す。要素=左に7コースを縦に並べる(人材育成支援/教育訓練休暇等付与/人への投資促進/事業展開等リスキリング支援/建設労働者認定訓練/建設労働者技能実習/障害者職業能力開発)。中央に2本の除外ラベル「業種・対象者が限定される=建設2コースと障害者コース」「研修費ではなく休暇制度の導入に対する助成=教育訓練休暇等付与コース」。右に残る3コースをカードで並べ、それぞれに経費助成率(中小企業)を添える=事業展開等リスキリング支援75%/人への投資促進(高度デジタル人材訓練)75%/人材育成支援(人材育成訓練)45%。結論=AI研修で候補になるのは、7コースのうち3コースです。

AI研修で候補になるのは、7コースのうち3コースです。

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なお、当社が案内しているのは主に事業展開等リスキリング支援コースです。そのコース単体の条件と手続きは事業展開等リスキリング支援コースとは|AI研修で使う条件と流れにまとめてあります。この記事は、そのコースを選ぶ前の「どれで出すか」と、申請で会社が用意するものを扱います。

この記事でわかること

  • 人材開発支援助成金の7コースのうち、AI研修の候補が3つに絞られる理由
  • 3コースの経費助成率・賃金助成・上限額の違いと、助成率が高い順に選べない理由
  • 2026年8月3日の改正で変わった範囲と、生成AIを扱う訓練の対象例・対象外例
  • 役員・管理職が受講する場合に確認する2つの論点
  • 申請で会社が用意する書類を、出どころで3種類に分ける整理と、研修会社に出させるもの
  • 計画届と支給申請の2つの期限、提出経路の決め方と、助成金を先に置くと何が起きるか

目次

  1. 人材開発支援助成金とは|AI研修の候補は7コースのうち3つ
  2. AI研修で使える3コース|助成率と、選び分けの分かれ目
  3. AI研修が対象外になる分かれ目|2026年8月3日の改正で絞り込まれた範囲
  4. 会社側で用意する書類は3種類|出どころで分けると手戻りが減る
  5. 計画届と支給申請の期限|郵送は到達日、電子申請は最初の経路で決まる
  6. 助成金を先に置いて研修を決めると、中身が制度に寄る
  7. 人材開発支援助成金とAI研修に関するよくある質問
  8. 人材開発支援助成金でAI研修|総括表
  9. あわせて読みたい
  10. まとめ|コースは助成率で選ばず、条件で絞ってから決める

人材開発支援助成金とは|AI研修の候補は7コースのうち3つ

人材開発支援助成金は、職務に関連した知識・技能を習得させる訓練を計画に沿って実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する厚生労働省の制度です。申請するのは訓練を実施する事業主、つまり受講する会社の側です。

1本の制度ではなく、目的別のコースの集まりで、令和8年度(2026年度)は7つが置かれています。AI研修の話で混乱が起きるのは、どのコースの話をしているかを決めないまま助成率だけが独り歩きするからです。

ファクトボックス|人材開発支援助成金(2026年度)の基本情報

項目

内容

制度名

人材開発支援助成金

所管

厚生労働省。窓口は都道府県労働局・ハローワーク

助成されるもの

訓練経費と、訓練期間中の賃金の一部等

令和8年度のコース数

7コース

申請する人

訓練を実施する事業主(受講する会社の側)

対象になる労働者

申請事業主の雇用保険被保険者

共通の前提

職業能力開発推進者の選任と、事業内職業能力開発計画の策定・労働者への周知

計画届の提出期間

訓練開始日から起算して6か月前から1か月前までの間

支給申請の期間

訓練終了日の翌日から起算して2か月以内

根拠資料

厚生労働省「人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内」令和8年8月3日版 ほか

出典URL

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html

最終確認日

2026年9月16日

免責

支給には審査があり、計画届を出したことで支給が決まるわけではありません。要件は制度改正で変わるため、最新の内容は管轄の労働局でご確認ください

7コースから3つに絞れる理由

7コースのうち4つは、AI研修を検討する多くの会社では最初から外れます。理由はコースごとに違います。

コース

AI研修で候補になるか

理由

人材育成支援コース

10時間以上のOFF-JTで職務に関連した訓練が対象

人への投資促進コース

デジタル人材の育成とサブスク型研修に専用のメニューがある

事業展開等リスキリング支援コース

DX化に関連する訓練が対象。経費助成率が最も高い

教育訓練休暇等付与コース

助成の対象は有給教育訓練休暇制度の導入。研修費そのものではないため、業務命令で受けさせる研修の費用を軽くする目的には噛み合わない

建設労働者認定訓練コース

×

建設業の事業主向け

建設労働者技能実習コース

×

建設業の事業主向け

障害者職業能力開発コース

×

障害者の職業能力開発施設の設置・運営等が対象

教育訓練休暇等付与コースだけは「使えない」ではなく「目的が違う」に当たります。社員が自発的に学ぶ時間を制度として作りたい場合には、こちらに意味があります。

3コースに共通してかかる入口の条件

候補が3つに絞れても、次の6つはコースを問わず求められます。

  1. 訓練開始日から起算して6か月前から1か月前までの間に、計画届を労働局へ提出すること
  2. 対象労働者の職務に直接関連する訓練であること
  3. 訓練時間数が10時間以上であること
  4. OFF-JTを行うこと(または OFF-JT と OJT を組み合わせること)
  5. 訓練期間中も対象労働者に賃金を適正に支払うこと
  6. 支給申請日までに訓練経費を全額負担していること

このうち実務でいちばん引っかかるのは1番です。計画届は訓練開始の1か月前が期限で、遅れた分を後から取り戻す方法はありません。 日程を先に決めてから助成金を調べ始めると、その時点で今年度は使えないという結論になることがあります。


AI研修で使える3コース|助成率と、選び分けの分かれ目

AI研修で候補になる3つのコースは、助成の手厚さも、求められる条件も同じではありません。まず数字を並べます。以下は2026年度の値です。

コース・メニュー

経費助成(中小/大企業)

賃金助成(1人1時間)

経費助成の上限(100時間未満)

事業展開等リスキリング支援コース

75%/60%

1,000円/500円

中小30万円/大20万円

人への投資促進コース(高度デジタル人材訓練)

75%/60%

1,000円/500円

中小30万円/大20万円

人への投資促進コース(定額制訓練)

60%/45%(要件充足で75%/60%)

なし

1人1か月あたり2万円

人材育成支援コース(人材育成訓練・正規雇用労働者等)

45%/30%(要件充足で60%/45%)

800円/400円(要件充足で1,000円/500円)

中小15万円/大10万円

右端の上限は、1人1訓練あたりの額です。対象になる経費ではなく、受け取る助成額のほうにかかります。 人材育成支援コースだけ上限が他の2つの半分で、10時間台の研修を複数名で受ける形では、助成率より先にこの上限が効くことがあります。

実施方法によって扱いが変わる点が2つあります。eラーニングによる訓練、通信制による訓練、定額制サービスによる訓練は経費助成のみで、賃金助成は付きません。 上限のほうは、事業展開等リスキリング支援コースが中小15万円・大10万円(通学制や同時双方向型の通信訓練と組み合わせる場合も含む)、人材育成訓練は標準学習時間の定めがなければ一律この区分、高度デジタル人材訓練は標準学習時間で区分を判断します。

「要件充足」とあるのは賃金要件・資格等手当要件のことです。訓練修了後に受講者の賃金が5%以上上がった場合、または資格等手当を就業規則等に定めて支払い、支払前後の賃金が3%以上上がった場合に加算されます。加算は訓練が終わったあとの処遇で決まるため、申請前の時点では見込みとして扱ってください。

型D・フロー型。AI研修で使うコースを決める順番を、上から下への分岐で示す。要素=①「訓練は10時間以上のOFF-JTか」→ いいえなら3コースとも対象外。②「受ける研修は、ITスキル標準・DX推進スキル標準のレベル3か4の資格取得課程、Reスキル講座、マナビDXの掲載講座、大学(大学院を除く)の正規課程のいずれかか」→ はいで、かつ会社が情報通信業・事業適応計画の認定・DX認定・DX推進指標の提出・DXを踏まえた事業内職業能力開発計画の策定のいずれかに当てはまるなら「人への投資促進コース(高度デジタル人材訓練)」。③「定額受け放題のサブスク型サービスか」→ はいなら「人への投資促進コース(定額制訓練)」。④「事業展開またはDX化に関連し、特定の職務にそのまま使える内容か」→ はいなら「事業展開等リスキリング支援コース」。⑤いずれにも当てはまらず、対象労働者の職務に関連していれば「人材育成支援コース(人材育成訓練)」。分岐の右側に各コースの中小企業の経費助成率を添える。結論=コースは助成率の高い順ではなく、訓練の形と会社の状況で先に絞られます。

コースは助成率の高い順ではなく、訓練の形と会社の状況で先に絞られます。

① 事業展開等リスキリング支援コース|DX化に関連する訓練が乗る

事業展開やDX・GX化に伴って新たに必要になる知識・技能を習得させる訓練が対象です。対象は3つの類型に分かれていて、生成AIやClaude Codeを業務に取り込む研修が乗るのは、たいてい2つ目のDX・GX化の類型です。

一方で、このコースには令和8年度末までの時限措置という但し書きが付いています。厚生労働省の資料に期間限定の助成金として創設した旨が記載されており、令和8年度は2026年度にあたります。類型の内訳・上限額・改正の中身は事業展開等リスキリング支援コースとは|AI研修で使う条件と流れに整理しています。

② 人への投資促進コース|助成率は同じでも、入口が狭い

AI研修に関係するのは高度デジタル人材訓練と定額制訓練の2つです。高度デジタル人材訓練の助成率は事業展開等リスキリング支援コースと並びますが、ここに乗せるには2つの門をどちらも通る必要があります。1つ目は会社側の要件で、次の5つのいずれかに当てはまることが求められます。

  1. 主たる事業が日本標準産業分類の大分類の「情報通信業」であること
  2. 産業競争力強化法に基づく事業適応計画(情報技術事業適応)の認定を受けていること
  3. 情報処理推進機構(IPA)からDX認定を受けていること
  4. DX推進指標を用いて自己診断を行いIPAに提出し、それを踏まえた事業内職業能力開発計画を作成していること
  5. DXを進めるために経営や人材育成の方向性を検討し、それを踏まえた事業内職業能力開発計画等を策定していること

2つ目は訓練側の要件です。ITスキル標準(ITSS)またはDX推進スキル標準(DSS-P)のレベル3か4の資格取得を目標とする課程、第四次産業革命スキル習得講座(Reスキル講座)、マナビDXの掲載講座のうちレベル3か4に区分されるもの、大学(大学院を除く)の正規課程・科目履修制度・履修証明制度による訓練のいずれかであることが必要です。最後の大学の課程は、情報科学・情報工学およびそれに関連する分野であることも求められます。

一般的な法人向けAI研修は、この訓練側の要件で外れることが多くあります。 研修の中身が良いかどうかではなく、公的な講座区分に登録されているかどうかで決まる部分だからです。検討するときは、研修会社に「この研修はReスキル講座またはマナビDXの掲載講座か」を先に聞いてください。

定額制訓練のほうは、動画見放題型のサブスクリプション研修サービスが対象です。訓練の実施期間は1年以内で、サービス内の講座のうち支給対象になる講座が5割以上あることも条件です。集合型の研修とは別物として考えてください。

③ 人材育成支援コース|助成率と上限は下がるが、条件は素直

人材育成訓練は、職務に関連した専門的な知識・技能を習得させる10時間以上のOFF-JTであれば対象になります。DX化との関連も、公的な講座区分への登録も求められません。その代わり助成率と上限が下がり、非正規雇用労働者を対象にする場合だけ70%(要件充足で85%)が適用されます。

このコースが効くのは、事業展開やDX化との結びつきを説明しきれないケースです。たとえば管理部門の業務改善が主目的で、事業の転換や新分野への進出とは言いにくい場合、事業展開等リスキリング支援コースで無理に通そうとするより、条件の素直なこちらを選ぶほうが読みやすくなります。

3コースのどれを前提にしても、自社の人数と企業規模で負担の見込みは変わります。数字を先に置きたい方は料金試算(助成金対応)をご利用ください。

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AI研修が対象外になる分かれ目|2026年8月3日の改正で絞り込まれた範囲

AI研修が人材開発支援助成金の対象になるかどうかは、2026年8月3日を境に判断の仕方が変わりました。厚生労働省が同日付で出した事業展開等リスキリング支援コースの改正リーフレットで、変更されたのは次の2点です。

  • 対象とならない訓練の範囲。DX化・GX化に関する訓練であっても、職業、または職務に間接的に必要となる知識・技能を習得させる内容のものと、職業、または職務の種類を問わず職業人として共通して必要となるものは助成対象外になりました
  • 受講回数の上限。同一の労働者について一の年度で3回までという枠のうち、eラーニングによる訓練は一の年度で1回までになりました。この1回には複数の実施方法を組み合わせて訓練を実施する場合も含まれるため、集合研修とeラーニングを併用する形でも枠を消費します

一の年度は支給申請日を基準に4月1日から翌年3月31日までで、回数は令和8年8月3日以降に提出された計画届に基づく受講のみを数えます。経過措置があるため、すでに計画届を出している訓練の扱いは管轄の労働局で確認してください。

対象と対象外を分けているのは、職務との距離

同じリーフレットには、生成AIを扱う訓練が対象と対象外の両方で例示されています。分かれ目は生成AIかどうかではなく、その内容が特定の職務にそのまま使えるかどうかです。

  • 助成対象の例=生成AIを活用して商品提案書の構成案作成、文章生成、修正方法を学ぶ営業担当者向けの訓練
  • 助成対象外の例=生成AIを利用するために汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練

リーフレットは判定の観点を並べていて、このうちコース選びにまで効くのが訓練内容に沿って対象労働者を選定しているかです。同じカリキュラムでも、その業務を担当している人を受講者にしているかどうかで結論が変わります。観点ごとの読み方とCO2排出量の算定を例にした書き分けは事業展開等リスキリング支援コースとは|AI研修で使う条件と流れに整理しています。

型B・対比型。同じカリキュラムでも受講者の選び方で結論が変わることを左右に並べる。要素=左(助成対象外になりやすい選び方・弱い塗り)=①全社員に一律で受けさせる②役職や階層で受講者を決める③訓練で扱う業務を担当していない部署を含める。右(助成対象になりやすい選び方・青を強く)=①訓練で扱う業務を日々担当している人を選ぶ②業務内容が近い人を同じグループにまとめる③受講者一覧と訓練カリキュラムの内容が対応している。中央に分かれ目のラベル「受講者を訓練内容に沿って選んでいるか」を置く。右下に小さく「対象労働者一覧(様式第3-1号)も審査の材料」の注記。結論=同じ研修でも、その業務を担当している人を選んでいるかどうかで結論が変わります。

同じ研修でも、その業務を担当している人を選んでいるかどうかで結論が変わります。

当社の運用も同じ向きです。研修は会社ごとに設計していて、1社の中で業務内容が近い人を同じグループにまとめると進みが良くなります。もともとは題材を共有しやすくするための工夫でしたが、結果として受講者の選定を説明しやすい形になりました。階層で分けるより、業務で分けるほうが制度の読み方とも合います。

役員・管理職が受講するときに見る2つの論点

AI研修は経営層や管理職から受けたいという相談が多く、当社の研修に来るのも経営層・役員が中心です。制度上の論点は2つあります。

  1. 対象になる労働者は、申請事業主の雇用保険被保険者です。 役員は原則として雇用保険の被保険者ではないため、役員だけで受講する形だと対象から外れる可能性があります。使用人兼務役員など個別の判断が要る場合もあるので、管轄の労働局か社会保険労務士に確認してください
  2. 役職として求められる知識・技能の習得を目的とする訓練は、対象とならないOFF-JTに挙げられています。 例として管理職研修・マネジメント研修・リーダーシップ研修が並びます。ただしこの除外は、事業展開等リスキリング支援コースのうち「企業内の人事及び人材育成に関する計画に基づく訓練」の類型に限ったものです

当社では、役員のみの参加になりそうな場合は助成金を使わない前提の見積もりも併せてお出ししています。対象になるかどうかを断定できる立場ではないため、両方の絵を先に見てもらうという考え方です。


会社側で用意する書類は3種類|出どころで分けると手戻りが減る

計画届と支給申請で提出する書類は、一覧で見ると多く感じます。ただ、会社側の作業として見るとどこから調達するかで3つに分かれます。以下は事業展開等リスキリング支援コースの例で、この3分類は当社が申請の準備で使っている整理です。厚生労働省の資料に書かれている区分ではありません。

型C・帯構造型。申請で出す書類を出どころ別に3段で積む。要素=上段「会社が様式に書くもの|職業訓練実施計画届(様式第1-1号)/事業展開等実施計画(様式第1-3号)/対象労働者一覧(様式第3-1号)/事前確認書(様式第11号)」。中段「研修会社から受け取るもの|訓練カリキュラム・受講案内/契約書または受講案内と申込書の写し/支給申請時の支給申請承諾書(様式第12号)」。下段「社内に元からあるものを揃えるもの|事業内職業能力開発計画/職業能力開発推進者の選任/雇用契約書・賃金台帳・出勤簿の写し」。各段の左に白抜きラベル、右に書類名の枠を置き、右端に「調達先が違う=着手する順番も違う」の縦帯を添える。結論=申請で出す書類は、会社が書くもの・研修会社から受け取るもの・社内に元からあるものの3種類に分かれます。

申請で出す書類は、会社が書くもの・研修会社から受け取るもの・社内に元からあるものの3種類に分かれます。

① 会社が様式に書くもの|4点

計画届で提出が必須とされている会社側の様式は4点です。

書類

様式

中身

職業訓練実施計画届

様式第1-1号

訓練の日時・内容・実訓練時間数・受講者数などの申告

事業展開等実施計画

様式第1-3号

どの事業展開・DX化に伴う訓練なのかの説明

対象労働者一覧

様式第3-1号

受講する被保険者の一覧。支給申請時もこの一覧が基準になる

事前確認書

様式第11号

支給要件を満たしていることの確認

この4点のうち、外注できない考えどころが集まるのは事業展開等実施計画です。訓練と、自社が進めようとしている事業展開またはDX化との結びつきを、会社の言葉で書く必要があるからです。研修会社もコンサルタントも、この接続部分を代わりに決めることはできません。

② 研修会社から受け取るもの|契約前に出せるかを聞く

外部の研修を受ける場合(制度上は事業外訓練にあたります)、次の書類は研修会社から受け取ります。ここが遅れると計画届の期限に間に合わなくなるため、契約前に「出せますか」と聞いておくのが安全です。

  • 訓練カリキュラム・受講案内(必須)。訓練の実施目的、実施日時、訓練日ごとの実施内容と実施場所、実訓練時間数、受講料の料金体系が分かるもの
  • 教育訓練機関との契約書、または受講案内と申込書の写し。機関の名称・所在地・連絡先・契約内容・契約期間・受講料の料金体系が分かるもの
  • 支給申請承諾書(訓練実施者)(様式第12号)。事業外訓練で支給申請をするときに提出する書類
  • 訓練費用の負担軽減に係る説明資料等。研修会社からそうした資料の提供を受けている場合に提出するもの

実務で詰まりやすいのは1つ目です。カリキュラムに訓練日ごとの実施内容と実訓練時間数が入っていないと、そのまま出せません。パンフレットの抜粋やスケジュール表だけでは足りず、時間割の粒度が要ります。

当社の場合は、本編を4回×3時間の合計12時間で組んでいて、これで実訓練時間数10時間以上の要件を満たします。数えるのは本編の時間だけで、事前の動画やオプションのフォローアップを足して説明することはしません。 移動時間や食事を伴う休憩が実訓練時間数に含まれないのと同じ考え方で、後から数え直したときに足りなくなる書き方をしないためです。

③ 社内に元からあるものを揃えるもの|前提と、支給申請の添付

3つ目は、新しく作るのではなく社内にあるものを揃える系統です。「あるはず」で進めると、無いことが直前に分かります。

  • 事業内職業能力開発計画職業能力開発推進者の選任。これは書類というより申請の前提で、計画届を提出する日までに策定・周知・選任が済んでいる必要があります
  • 雇用契約書または労働条件通知書の写し。支給申請で必須。氏名・締結日・契約期間の定め・職務内容・所定労働時間・休日・賃金が分かるもの
  • 賃金台帳または給与明細書の写し出勤簿またはタイムカードの写し。通学制・同時双方向型の通信訓練の場合に、訓練受講日が属する賃金対象期間について提出します

これらの写しは、原本を複写したものか、実際に事業場ごとに作成・記入しているものである必要があります。原本から転記して作り直した書類は無効と判断されるので、手書きで清書したくなる場面でも触らないでください。


計画届と支給申請の期限|郵送は到達日、電子申請は最初の経路で決まる

人材開発支援助成金の手続きは、コースが違っても大枠は同じ順番で進みます。計画届を出し、訓練を実施し、経費を払い終えてから支給申請をして、審査を経て支給または不支給が決まります。助成金は前払いではなく、訓練経費は支給申請日までに全額を支払い終えている必要があります。 入金までの期間は、厚生労働省の各コースの案内に「審査には時間を要します」とあるだけで、具体的な月数の記載がありません。この記事でも、確認できない数字は書かないでおきます。お金が動く順番と、不支給になった場合に何が起きるかはAIリスキリング助成金の使い方|法人の対象条件と申請3ステップで詳しく扱っています。

この章で扱うのは、会社が日程として管理する側です。手続きのうち、遅れをあとから取り戻せないのは日付です。

型D・フロー型。計画届から支給決定までを左から右へ並べ、動かせない2つの期限を強調する。要素=Step0「職業能力開発推進者の選任と事業内職業能力開発計画の策定・周知」→ Step1「計画届の提出」→ Step2「訓練の実施」→ Step3「訓練経費の全額支払い」→ Step4「支給申請」→ Step5「労働局の審査と、支給または不支給の決定」。Step1の下に濃い青の期限ラベル「訓練開始日の6か月前から1か月前まで」、Step4の下に同じ形の期限ラベル「訓練終了日の翌日から2か月以内・厳守」を置き、この2枚だけ枠を太くする。Step3には「支給申請日まで」の小さな注記。Step1の上に提出経路の分岐「窓口持参/郵送=到達日/電子申請=以後も電子申請」を小さく添える。結論=動かせないのは、計画届は訓練開始の1か月前まで、支給申請は訓練終了日の翌日から2か月以内という2つの日付です。

動かせないのは、計画届は訓練開始の1か月前まで、支給申請は訓練終了日の翌日から2か月以内という2つの日付です。

期限は2つ。どちらも動かせない

手続き

期限

注意

計画届の提出

訓練開始日から起算して6か月前から1か月前までの間

提出期限が土日・休日の場合は翌開庁日

支給申請

訓練終了日の翌日から起算して2か月以内

資料に「厳守」と明記されている

提出方法は窓口への持参、郵送、電子申請システム(雇用関係助成金ポータル)の3つです。郵送する場合、労働局に到達した日が提出日になります。消印有効ではないので、期限ぎりぎりの投函は避けてください。配達記録が残る方法で送ることも案内されています。

電子申請には注意点が1つあります。計画届を電子申請システムで提出しなかった場合、その計画届に関する変更届と支給申請も電子申請では行えません。最初にどの経路で出すかが、その後の経路を決めます。


助成金を先に置いて研修を決めると、中身が制度に寄る

助成金を使う前提で研修を組むと、良いことばかりではありません。研修を提供する側としては書きにくい話ですが、先に知っておくほうが判断を間違えないので書きます。

制度の条件は、訓練時間の下限、OFF-JTであること、職務に直接関連する内容であること、と決まっています。この条件に合わせて設計すると、カリキュラムは制度に通りやすい形へ寄っていきます。 実際、受講予定者の多くが役員で対象から外れる会社では、助成金を使わずにスピードを優先し、オーダーメイドで進める判断をされたことがあります。お金の条件と学習の設計は別の軸だということです。

決める順番を逆にしない

推奨する順番は次の3つです。

  1. 何の業務を、誰が、どう変えたいかを先に決める。ここが決まらないと、対象労働者の選定も事業展開等実施計画も書けません
  2. その内容で制度の条件を満たすかを確認する。満たさない部分があれば、時間数や題材の粒度を調整する
  3. 助成の可否にかかわらず成立する見積もりを持っておく。対象にならなかった場合に計画ごと消えるのを防ぐため

順番を逆にして「助成金が下りる研修はどれですか」から入ると、受けたい内容ではなく通りやすい内容が選ばれます。研修を選ぶときに先に見る観点は生成AI研修の選び方|カリキュラムの前に見る「品質を誰が担保するか」に整理しています。

人数と対象者で、前提が崩れることがある

受講する人が雇用保険被保険者であること、訓練内容に沿って対象労働者を選んでいること、この2つを満たせる人が社内に何人いるかでも計画の形は変わります。規模の小さい会社では、助成金を使う形に必要な人数をそろえられず、利用を見送ったケースもありました。

だからこそ、助成金の可否は「決まってから動く」ものとして扱わないほうが安全です。 可否の判断は労働局が行い、断定できるのは制度の側だけです。会社側でできるのは、可否が分かれても計画が残る形にしておくことです。


人材開発支援助成金とAI研修に関するよくある質問

Q. AI研修に人材開発支援助成金は使えますか

A. 使える場合があります。 ただしAI研修だから対象になるのではなく、訓練の内容が受講者の担当業務に直接使えるかどうかで判断されます。汎用的な内容にとどまる訓練は、2026年8月3日以降に提出する計画では対象外と示されています。可否の判断は管轄の労働局が行います。

Q. どのコースで申請すればいいですか

A. 多くの場合は事業展開等リスキリング支援コースが候補になります。 講座区分と会社側の要件を両方満たすなら人への投資促進コース、事業展開やDX化との結びつきを説明しにくい場合は人材育成支援コースという並びです。

Q. 研修会社が申請を代行してくれますか

A. 申請手続きの代行はできません。 報酬を得て助成金の申請書類を作成・提出できるのは社会保険労務士だけです。研修会社ができるのは、訓練カリキュラムや契約書といった研修側の書類を制度が求める粒度で出すことです。誰に何を頼むかは、この線引きで決めてください。

Q. 計画届に間に合わなかった場合、後から申請できますか

A. できません。 計画届の提出期間は訓練開始日から起算して6か月前から1か月前までで、この期間を過ぎた訓練は対象になりません。

Q. 社内の人が講師をする研修でも対象になりますか

A. 事業内訓練として対象になる場合があります。 ただし訓練指導員免許を持つ人、またはその科目・職種の内容について専門的な知識・技能を持つ講師が行うことが必要で、計画届にOFF-JT講師要件確認書(様式第10号)を添えます。自社の業務で使う機器・端末の操作説明や、自社の経営方針・業績の説明は対象とならない訓練に挙げられています。

Q. 同じ研修に複数のコースを使えますか

A. 同一の訓練受講・経費・賃金について複数の助成制度を使う場合、併給できないことがあります。 厚生労働省の資料にもその旨の注記があり、詳細はそれぞれの制度を所管する労働局・自治体・団体への確認が案内されています。国の制度と自治体の制度を重ねる場合も同じ考え方です。

Q. 研修そのものの費用はどのくらいかかりますか

A. 形式と人数で変わるため、記事では金額を書いていません。費用の決まり方と、公的支援を前提にしたときの見方はClaude Code研修の費用相場|料金の決まり方・助成金・費用対効果までに整理しています。


人材開発支援助成金でAI研修|総括表

論点

押さえるところ

制度の位置づけ

訓練経費と訓練期間中の賃金の一部を助成する国の制度。申請するのは受講する会社の側

選び分けの起点

助成率の高さではなく、訓練の形と会社の状況。講座区分と業種の要件で範囲が先に決まる

経費助成の上限

100時間未満の区分で、リスキリングと高度デジタルは中小30万円・大20万円、人材育成訓練はその半分

高度デジタル人材訓練

会社側の要件5つのいずれかに加え、ITSS・DSS-Pレベル3か4の資格取得課程、Reスキル講座、マナビDX掲載講座、大学(大学院を除く)の正規課程等であることが必要

共通の入口条件

実訓練時間10時間以上・OFF-JT・職務に直接関連・訓練中も賃金を支払う・経費は支給申請日までに全額負担

2026年8月3日の改正

DX・GX化に関する訓練でも、職務に間接的なものと職業人として共通して必要なものは対象外に

生成AIの分かれ目

汎用的なプロンプトの作り方は対象外、営業担当者が提案書作成に使う手順は対象。中身ではなく職務との接続で分かれる

受講者の選び方

同じカリキュラムでも、その業務の担当者を選んでいるかで結論が変わる

役員の扱い

対象は雇用保険被保険者。役員のみの受講は対象外になる可能性があり、個別確認が要る

会社にしか書けない書類

事業展開等実施計画。訓練と自社の事業展開・DX化の接続は代わりに書けない

2つの期限

計画届は訓練開始の6か月前から1か月前まで。支給申請は訓練終了日の翌日から2か月以内


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まとめ|コースは助成率で選ばず、条件で絞ってから決める

  • AI研修で候補になるのは7コースのうち3つ。残りは業種が限定されているか、助成の対象が研修費ではなく休暇制度の導入だから
  • 助成率が最も高い訓練メニューを、どの会社でも選べるわけではない。人への投資促進コースの高度デジタル人材訓練は、会社側の要件と、公的な講座区分への該当の両方を求める
  • 2026年8月3日の改正で、汎用的な内容の訓練はDX・GX化に関するものでも対象外になった。生成AIの訓練は対象例と対象外例の両方に載っている
  • 受講者の選び方まで見られる。同じカリキュラムでも、その業務の担当者を選んでいるかどうかで結論が変わる
  • 申請で出す書類は、出どころで3種類に分かれる。会社が書くもの・研修会社から受け取るもの・社内に元からあるもの
  • お金は先に出ていく。経費は支給申請日までに全額支払い、助成が入るのは審査のあと

最後に、明日から動かせる一手を1つ挙げます。研修の候補日を置く前に、その日の1か月前がいつかをカレンダーに書いてください。 計画届の期限はそこです。内容の議論も見積もりの比較も、この日付より手前で終わらせる必要があります。

自社の企業規模と受講人数で、助成を前提にした負担の見込みを出すなら料金試算(助成金対応)をご覧ください。

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出典・注記

  • 厚生労働省「人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内」令和8年8月3日版 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731967.pdf (2026年9月16日参照)。全コースの助成メニューと助成額・助成率の一覧(p2〜3)、コース選択のフローチャート(p4)、人材育成訓練の助成率と1労働者1訓練あたりの経費助成限度額(p14)、手続きと必要書類(p45〜54)の根拠
  • 厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内」令和8年8月3日版 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731978.pdf (2026年9月16日参照)。基本要件と3類型(p13)、支給対象事業主と対象労働者(p17)、対象とならないOFF-JT(p28〜29)、助成率・限度額(p38)、計画届の必要書類(p42)の根拠
  • 厚生労働省「令和8年8月3日からの変更点について 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)改正」 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731966.pdf (2026年9月16日参照)。対象とならない訓練の変更2点、受講回数の上限、生成AIの対象例・対象外例、判定の観点の根拠
  • 厚生労働省「人材開発支援助成金(人への投資促進コース)のご案内」令和8年8月3日版 https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001731974.pdf (2026年9月16日参照)。経費助成の受講者1人当たり限度額(p6)、高度デジタル人材訓練の事業主要件と訓練要件(p9〜10)、定額制訓練の要件(p19〜20)の根拠
  • 厚生労働省「人材開発支援助成金」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html (2026年9月16日参照)。令和8年度のコース構成の根拠
  • 助成率・上限額・要件・期限は制度改正で変わります。本記事の記載は2026年度(令和8年度)の、2026年9月16日時点で確認した内容であり、受給を保証するものではありません。個別の可否は管轄の都道府県労働局でご確認ください
  • 審査から入金までの期間は、上記の一次資料のいずれにも記載が無いため、本記事では数値を書いていません
  • 書類を「会社が様式に書くもの・研修会社から受け取るもの・社内に元からあるもの」の3種類に分ける整理は、DAIJOBUが申請の準備で使っているものであり、厚生労働省の資料に書かれている区分ではありません
  • 当社の研修に関する記述(案内している主力制度、本編4回×3時間=12時間という組み方、個社ごとの設計と業務内容で分けるグループ分け、受講者に経営層・役員が多いこと、役員のみの参加になりそうな場合に助成金を使わない前提の見積もりも併記すること、受講予定者の多くが役員で対象から外れる会社が助成金を使わずオーダーメイドで進めた例、必要な人数をそろえられず利用を見送ったケース)は、当社の自社情報です。企業名・受講者・受講者数の実数は記載していません

この記事について

DAIJOBUは、ソフトウェアテスト・品質保証と脆弱性診断を本業としながら、営業・採用・バックオフィスまで含めて20名以上が毎日Claude Codeを使っている会社です。法人研修は、受講者が全員非エンジニア・Claude Code未経験という前提で組んでいます。本記事は、助成金を前提に研修を検討する会社と実際にやり取りしてきた側として、厚生労働省の一次資料で確認できる制度の内容と、当社の整理・当社の実務を分けて書いたものです。

著者

DAIJOBU株式会社 Claude Code法人研修部 コンテンツ担当 佐藤 雅俊

編集責任者

DAIJOBU株式会社 Claude Code法人研修 事業責任者 石井 雄大

監修

DAIJOBU株式会社 代表取締役 山中 裕貴

公開日

2026年9月16日

最終更新日

2026年9月16日