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生成AIと個人情報|個人情報保護法から見る入力してよい範囲

生成AIと個人情報|個人情報保護法から見る入力してよい範囲

社員が顧客の氏名や問い合わせの文面を生成AIに貼ってよいかは、その情報を集めた目的と、入力した先でAIの事業者がどう扱うかの2つで決まります。

個人情報保護委員会は2023年6月2日の注意喚起で、事業者にこの2つを入力の前に確かめるよう求めました。本記事は、注意喚起と個人情報保護法の条文を、社員が入力の前に自分で答えられる問いに置き換える方法を書きます。

この記事の要点は3つ

  1. 生成AIに個人情報を入れるときに問われるのは、主に利用目的・第三者提供・外国にある第三者・要配慮個人情報の4つです。4つの分け方は本記事の整理で、法令や委員会の分類ではありません
  2. 個人情報保護委員会は、事業者に対し、利用目的の範囲内かと、入力した個人データが応答結果の出力以外の目的で扱われないかを十分に確認するよう求めています。後者の確認の対象として、AIの事業者が機械学習に利用しないこと等を挙げています
  3. 社内ルールは、情報の種類ごとに4つの問いへの答えを表にし、答えられない行の相談先を決めるところまでで作ります。どの行を入力してよいとするかの最終判断は、自社の利用目的と契約によって変わります

生成AIに入れてよい情報の線引きを、権限設計とあわせて社内で整理したい方は、自社で使えるヒントを、20の実例から探すからご確認いただけます。

社員が生成AIを業務で使う研修を提供している側から、個人情報保護委員会の注意喚起と個人情報保護法の条文で確かめられる範囲を、社内ルールの形に落とすところまでを書きます。本記事は法的助言ではなく、個別の判断は弁護士や社内の法務・個人情報の担当部門に確認してください。

入力から漏れる経路の全体と、経路ごとの止め方は、生成AI 情報漏洩 対策の記事で扱っています。この記事は、そのうち「人が入れる」経路で、個人情報に絞り、法律の側から入力してよい範囲を決める手順を書きます。

この記事でわかること

  • 生成AIへの入力で、個人情報保護法のどこが問われるか
  • 個人情報保護委員会の注意喚起が、事業者に何を確かめるよう求めているか
  • 入力が第三者提供にあたるかを分ける考え方と、外国の事業者・要配慮個人情報の扱い
  • 委員会が挙げた生成AIと個人情報のリスクと、OpenAIへの注意喚起の事例
  • 入力してよい範囲を社内ルールの表に落とす手順
  • 法改正の動きと、この記事では判断できないこと

生成AIの個人情報保護法の論点|入力で問われる4つ

生成AIに個人情報を入力するときに、個人情報保護法で問われる点は、主に4つあります。4つの分け方は、委員会の注意喚起と条文をもとにした本記事の整理です。法令がこの4つを一覧にしているわけではありません。

先に分ける|個人情報と個人データは、かかる条文が違う

個人情報保護法は、生存する個人に関する情報で、氏名や生年月日などで特定の個人を識別できるものを「個人情報」と定めています(第2条第1項)。他の情報と容易に照合して特定の個人を識別できるものも含まれます。

そのうち、検索できるように体系的にまとめた個人情報データベース等を構成するものが「個人データ」です(第16条第3項)。顧客管理の表に入っている顧客の行は個人データにあたり、名刺1枚の手書きのメモは個人情報にとどまる場合があります。

この区別が要るのは、利用目的の制限は個人情報に、第三者提供の制限は個人データにかかるためです。委員会の注意喚起も、1つ目の注意点では「個人情報」、2つ目では「個人データ」と書き分けています。

入力の前に問われる4つ

論点

問い

根拠の条文

1. 利用目的

入力は、その個人情報を集めたときに特定した利用目的の範囲内か

第17条第1項・第18条第1項

2. 第三者提供

入力した個人データを、AIの事業者が応答結果の出力以外の目的で扱うか

第27条第1項・第5項第1号

3. 外国にある第三者

AIの事業者が外国にあり、入力が提供にあたる場合、外国向けの同意が要るか

第28条第1項

4. 要配慮個人情報

病歴・信条・犯罪の経歴など、特に配慮を要する情報が入っていないか

第2条第3項・第20条第2項・第27条第2項

1つ目の利用目的は、生成AIを使うかどうかに関係なく、個人情報を扱うときに常にかかる制限です。第18条第1項は、本人の同意を得ずに、特定した利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を扱うことを禁じています。

2つ目から4つ目は、入力した情報がAIの事業者の手元でどう扱われるかによって、問われ方が変わります。どの場合に第三者提供にあたるかは、後の章で委員会の注意喚起と条文に沿って分けます。

型A・全体像カード型。生成AIへの入力で問われる4つの論点を、2行2列の4枚のカードで示す。要素=カード「利用目的」=集めたときの目的の範囲内か/カード「第三者提供」=AIの事業者が出力以外の目的で扱うか/カード「外国にある第三者」=事業者が外国にあるか/カード「要配慮個人情報」=病歴・信条などが入っていないか。各カードの右下に小さく根拠の条文番号。「利用目的」のカードを青で強く、ほかの3枚は淡い青。カードの上に小さく「どれも入力の前に確かめる」の帯。大きな番号は置かない。結論=生成AIへの入力で問われるのは、主に利用目的・第三者提供・外国にある第三者・要配慮個人情報の4つです。

生成AIへの入力で問われるのは、主に利用目的・第三者提供・外国にある第三者・要配慮個人情報の4つです。

このほか、個人データを扱う事業者には、漏えいを防ぐための安全管理措置(第23条)と、取扱いを委託した先の監督(第25条)も求められます。本記事では、誰がどの生成AIを使ってよいかを決めることを、この安全管理措置の一部として扱います。


個人情報保護委員会の注意喚起|事業者が確かめる3点

個人情報保護委員会は、2023年6月2日に「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」を公表しました。対象を個人情報取扱事業者・行政機関等・一般の利用者の3つに分け、それぞれの注意点を書いています。

会社の業務で生成AIを使う場合に読むのは、主に個人情報取扱事業者向けの2つの注意点です。これに一般の利用者向けの留意点のうち1つを足し、本記事では事業者が入力の前に確かめる3点として整理します。

1点目|入力が、特定した利用目的の範囲内か

注意喚起は、事業者が個人情報を含むプロンプトを入力する場合、特定された利用目的を達成するために必要な範囲内であることを十分に確認するよう求めています。入力で問われる4つの論点の章の、論点1と同じ確認です。

たとえば、問い合わせへの回答のために集めた顧客の文面を、回答の下書きを作るために入力する場合と、同じ文面を広告の企画に流用する場合とでは、利用目的との関係が変わります。社内で確かめるのは、AIを使うかどうかより先に、その使い方が集めたときの目的に入っているかです。

2点目|入力した個人データが、応答の出力以外の目的で扱われないか

注意喚起は、事業者が本人の同意を得ずに個人データを含むプロンプトを入力し、その個人データが応答結果の出力以外の目的で扱われる場合、個人情報保護法の規定に違反することとなる可能性があると書いています。

そのうえで、このような入力を行う場合には、生成AIサービスを提供する事業者が、その個人データを機械学習に利用しないこと等を十分に確認するよう求めています。「等」とあるため、確認の対象は機械学習への利用だけに限られません。

委員会が事業者に求めているのは、生成AIを使わないことではなく、入力の前に、利用目的の範囲内かと、入力した個人データが応答の出力以外に使われないかを確かめることです。

3点目|利用規約とプライバシーポリシーで、入力した情報の扱いを確かめる

一般の利用者向けの留意点には、提供する事業者の利用規約やプライバシーポリシー等を十分に確認し、入力する情報の内容等を踏まえて利用を判断するよう書かれています。会社で使う場合も、2点目の確認は、実際には契約・利用規約・プライバシーポリシーと、管理画面の設定を読んで行うことになります。

この3点目は事業者向けの注意点ではなく、一般の利用者向けの留意点です。本記事では、2点目を確かめる手段として事業者の確認にも含めています。

型D・フロー型。入力の前に確かめる3点を、左から右への流れで示す。要素=左端の箱「個人情報を含む入力をしたい」→1つ目の箱「集めたときの利用目的の範囲内か」→2つ目の箱「応答の出力以外の目的で扱われないか」(箱の下に小さく「機械学習に利用しないこと等」)→3つ目の箱「規約・プライバシーポリシー・設定で確かめたか」→右端の箱「4つの問いの表で判断する」。各箱の下から下向きの細い矢印で「いいえ・分からない=相談先へ」。2つ目の箱を青で強く、ほかは白地に青枠。大きな番号は置かない。結論=個人情報を入力する前に、利用目的・出力以外での扱い・規約と設定の3点を順に確かめ、答えられない点は相談先に回します。

個人情報を入力する前に、利用目的・出力以外での扱い・規約と設定の3点を順に確かめ、答えられない点は相談先に回します。

行政機関等向けの注意点は、利用目的について「必要最小限の利用又は提供であること」を求めるなど、事業者向けと書き方が異なります。本記事は民間の事業者を対象とし、行政機関等の扱いは取り上げません。

委員会は同じ注意喚起の中で、生成AIサービスの開発と利用の状況を引き続き注視し、追加の注意喚起等を行う可能性があると書いています。社内ルールを作るときは、作成日と、どの時点の注意喚起を読んだかを残しておきます。

ファクトボックス|個人情報保護委員会の注意喚起(2023年6月2日)

項目

内容

対象

個人情報取扱事業者・行政機関等・一般の利用者の3つ

事業者向けの注意点

個人情報を含む入力は利用目的の範囲内かを十分に確認する。本人の同意なく個人データを入力し、応答結果の出力以外の目的で扱われる場合は違反することとなる可能性があり、機械学習に利用しないこと等を十分に確認する

出典URL

https://www.ppc.go.jp/files/pdf/230602_alert_generative_AI_service.pdf

最終確認日

2026年10月20日

免責

委員会は追加の注意喚起等を行う可能性があると書いています。最新の内容は委員会の公表資料で確認してください


入力は第三者提供か委託か|外国にある第三者と要配慮個人情報

個人情報保護委員会が2023年6月2日の注意喚起で、個人データを含む入力について「違反することとなる可能性がある」と書いた背景には、第三者提供の制限があります。この章では、入力した個人データがAIの事業者の手元でどう扱われるかによって、条文のどこが問われるかを分けます。

ここでの分け方は、注意喚起と条文を読み合わせた本記事の整理です。個別のサービスへの入力が委託にあたるか、第三者提供にあたるかを、委員会がサービスごとに示しているわけではありません。

生成AIへの個人情報の入力が第三者提供になる場合

第27条第1項は、法令に基づく場合などを除き、あらかじめ本人の同意を得ないで個人データを第三者に提供することを禁じています。一方で第27条第5項第1号は、利用目的の達成に必要な範囲内で、個人データの取扱いの全部または一部を委託することに伴って提供される場合、提供先は第三者にあたらないと定めています。

本記事では、注意喚起の2点目を、この2つの規定に沿って次のように読みます。入力した個人データが、応答の出力という自社の利用目的のためだけに扱われるなら、委託の枠で考える余地があります。AIの事業者が機械学習など自らの目的にも使う場合は、委託の範囲を超え、本人の同意のない第三者提供として問われうる、という読み方です。

委託の枠で考える場合でも、自社の義務がなくなるわけではありません。第25条は、個人データの取扱いを委託する事業者に、委託先に対する必要かつ適切な監督を求めています。

型B・対比型。入力した個人データの扱われ方で、問われる条文が変わることを左右2列で示す。要素=左列の見出し「応答の出力のためだけに扱われる」→その下に「委託の枠で考える余地がある」→「委託先の監督が要る(第25条)」/右列の見出し「機械学習など出力以外の目的でも扱われる」→その下に「委託の範囲を超える」→「本人の同意のない第三者提供として問われうる(第27条第1項)」。左列を青で強く、右列は淡い灰に青枠。中央の区切り線やラベルは置かない。各列の下端に小さく「本記事の整理」。左列の「本記事の整理」の上に小さく「事業者が外国にある場合は第28条で別に確かめる」。大きな番号は置かない。結論=入力した個人データが応答の出力以外の目的でも扱われると、委託の枠を超えて第三者提供として問われうるため、出力以外の扱いの有無を先に確かめます。

入力した個人データが応答の出力以外の目的でも扱われると、委託の枠を超えて第三者提供として問われうるため、出力以外の扱いの有無を先に確かめます。

クラウドサービスについては、委員会のガイドラインに関するQ&A(7-53)が、サービスを提供する事業者が個人データを取り扱わないこととなっている場合は提供にあたらないとしています。その例として、契約条項で取り扱わない旨を定め、適切にアクセス制御を行っている場合等が挙げられています。生成AIは入力を処理して応答を作るため、この例に当てはまるかはサービスと契約ごとに確かめる必要があり、本記事では生成AI一般に当てはまるとした委員会の資料は確認できていません。取り扱わない場合も自社の安全管理措置は残ります(Q7-54)。

外国にある第三者|事業者の所在地で確かめることが増える

第28条第1項は、外国にある第三者に個人データを提供する場合、法令に基づく場合など第27条第1項各号の場合のほか、次の2つの例外を除き、あらかじめ外国にある第三者への提供を認める旨の本人の同意を得るよう求めています。例外は、日本と同等の水準の制度を持つとして委員会規則で定める国と、規則の基準に適合する体制を整備している提供先です。

同じ項は、この場合に第27条の規定は適用しないとも定めています。そのため、外国の事業者に入力が提供される場合は、委託にあたっても第27条第5項第1号の例外は使えず、本人の同意・規則で定める国・基準に適合する体制のどれで足りるかを確かめます。

社内で確かめるのは、入力した情報を扱う事業者と、契約の相手方がどの国の法人かです。どの例外にあたるかの判断は、契約と事業者の公表資料をもとに法務や個人情報の担当部門で行います。

要配慮個人情報|入力の前に外す行として扱う

要配慮個人情報は、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実などが含まれる個人情報です(第2条第3項)。取得には、法令に基づく場合などを除き、あらかじめ本人の同意が要ります(第20条第2項)。

第三者提供でも扱いが厳しく、本人の求めで提供を止める仕組みを届け出て同意なく提供する方法(第27条第2項)は、要配慮個人情報には使えません。社員の健康診断の結果や、相談窓口に寄せられた病気の話は、この類型にあたりうる情報です。

本記事の整理では、要配慮個人情報を含む情報は、社内ルールの表で原則として入力しない行に置きます。入力が必要な業務があるなら、その業務だけを相談先に回して個別に判断します。


生成AIの個人情報のリスクと事例|委員会が注意喚起した例

生成AIと個人情報のリスクについて、個人情報保護委員会は同じ注意喚起の一般の利用者向けの留意点で2つを挙げています。事例としては、同じ日に公表したOpenAIへの注意喚起があります。

委員会が挙げたリスク|学習に使われて出力される・不正確な個人情報が出る

1つ目は、入力した個人情報が機械学習に利用され、他の情報と統計的に結びついた上で、正確または不正確な内容で出力されるリスクです。入力した側の手を離れたあとに、応答として現れうるという指摘です。

2つ目は、応答結果に不正確な内容の個人情報が含まれるリスクです。注意喚起は、応答の文章が確率的な相関関係に基づいて生成されるためと説明しています。

会社の業務に置き換えると、1つ目は入力の前の確認で、2つ目は出力を使う前の確認で扱うリスクです。人物について生成AIが書いた経歴や評価を、確かめずに社外の文書や人事の記録に使わない、という運用がこれにあたります。

事例|OpenAIへの注意喚起(2023年6月1日付)

委員会は、2023年6月1日付で、ChatGPTを開発・提供するOpenAIに対し、個人情報保護法第147条に基づく注意喚起を行い、6月2日にその概要を公表しました。内容は、要配慮個人情報の取得と、利用目的の通知等の2点です。

項目

注意喚起の主な内容

1. 要配慮個人情報の取得(1)

本人の同意なく、利用者と利用者以外の人の要配慮個人情報を取得しない。機械学習のための収集では、要配慮個人情報が含まれないよう取り組み、含まれていれば学習用のデータセットに加工する前に削除するなどの措置を講じる

1. 同(2)学習に使わない選択をした入力

利用者が機械学習に利用されないことを選択して入力した要配慮個人情報を、正当な理由がない限り取り扱わない

2. 利用目的の通知等

利用者と利用者以外の人の個人情報の利用目的を、日本語で通知または公表する

この注意喚起は、生成AIを提供する事業者に向けたものです。入力する会社の側から見ると、学習に使わない選択をした入力の扱いと、利用目的が日本語で示されているかが、規約とプライバシーポリシーで確かめる点の例になります。

ChatGPTで入力した情報がどこに残り、どの設定で学習から外せるかは、ChatGPT 個人情報の扱いを学習・保存・共有の3経路で見た記事で扱っています。本記事は特定のサービスの設定ではなく、どのサービスにも共通する法律の側の確認に絞ります。


入力してよい範囲を社内ルールに落とす|4つの問いを表にする

入力してよい範囲を社内ルールにするときは、生成AIのサービス名からではなく、社員が扱う情報の種類から始めます。同じサービスでも、入れる情報によって問われる条文が変わるためです。

手順は3つです。情報の種類を並べ、種類ごとに4つの問いへ答え、答えられない行の相談先を決めます。

手順1|社員が扱う個人情報の種類を並べる

最初に、生成AIを使う部署ごとに、業務で触れる個人情報を種類で書き出します。顧客の氏名と連絡先、問い合わせの文面、名刺の情報、社員の人事評価、健康診断の結果のように、集めた目的が違うものは別の行にします。

利用目的は、集めたときに特定した目的を、プライバシーポリシーや社内の規程から写します。ここが空欄の行は、生成AIの話より先に、その情報の利用目的を確かめる必要があります。

手順2|種類ごとに4つの問いに答える

並べた行ごとに、入力で問われる4つの論点の章の論点を問いにして答えます。次の表は、答え方を示すための例で、各社の利用目的と契約によって答えは変わります。

情報の種類(例)

利用目的の範囲内か

要配慮個人情報を含むか

入力の扱い(本記事の例)

問い合わせの文面

回答の作成なら範囲内になりうる

通常は含まないが、病気の相談などは含みうる

出力以外の扱いと事業者の所在地を確かめたサービスで、回答の下書きに限る

顧客管理表の行をまとめて貼る

用途によって変わる

業種によって含みうる

相談先に回して個別に判断する

社員の健康診断の結果

健康管理の目的に限られる

病歴にあたるものを含みうる

原則として入力しない

氏名を消した文面

他の情報と照合できるかで変わる

文面の中身による

照合で個人が分かるなら、個人情報として扱う

表の「入力の扱い」は、どの行を入力してよいかを本記事が決めるものではありません。2点目の確認、つまり入力した個人データが応答の出力以外の目的で扱われないかは、使う生成AIの契約・規約・設定によって答えが変わるためです。

手順3|答えられない行の相談先と、読んだ資料の時点を残す

4つの問いのどれかに「分からない」が残る行は、入力してよい範囲に入れず、相談先を決めて回します。相談先は、法務、個人情報の担当部門、情報システムの担当など、社内で答えを出せる部署にします。

社内ルールの表は、入力してよい行を決めるためだけでなく、答えられない行を相談先に回すために作ります。

表の末尾には、作成日と、読んだ注意喚起・規約・プライバシーポリシーの時点を書きます。生成AIの規約や設定は変わるため、見直す時期も同じ欄に決めておきます。

型C・帯構造型。社内ルールの表が何の上に乗っているかを、下から上へ3段の帯で示す。要素=最下段の帯「個人情報保護法の条文」=利用目的・第三者提供・外国にある第三者・要配慮個人情報/中段の帯「委員会の注意喚起とQ&A」=出力以外の扱いの確認・クラウドの考え方/最上段の帯「社内ルールの表と相談先」=情報の種類ごとの答え・答えられない行の回し先。最上段を青で強く、下の2段は淡い青。右端に縦の細い帯で「作成日と資料の時点」。大きな番号は置かない。結論=社内ルールは、条文と委員会の資料を土台に、情報の種類ごとの表と、答えられない行の相談先までを1枚にして作ります。

社内ルールは、条文と委員会の資料を土台に、情報の種類ごとの表と、答えられない行の相談先までを1枚にして作ります。

個人情報に限らず、生成AIの社内ルール全体を禁止事項の一覧にしない組み方は、生成AI社内ルールのサンプルの記事で扱っています。個人情報の表は、そのルールの中の1枚として置けます。

情報の種類ごとの入力の線引きを、誰がどの生成AIを使えるかの権限設計とあわせて整理したい方は、自社で使えるヒントを、20の実例から探すからご確認いただけます。

自社で使えるヒントを、20の実例から探す


改正の動きと、この記事で解けないこと

本記事は、2026年10月20日時点で施行されている個人情報保護法の条文と、2023年6月2日の注意喚起をもとに書いています。そのうえで、確かめきれていない点と、扱わない点を分けて書きます。

改正の動き|施行後の条文で表を見直す

改正法は2026年7月10日に成立し、7月17日に公布されました。施行は一部を除き、公布日から2年以内で政令で定める日です。

改正後の規定の中身は、施行後に条文と委員会の資料で読み直します。そのときに、入力で問われる4つの論点の章と社内ルールの表も見直します。

この記事で解けないこと

  • 特定の生成AIサービスへの入力が、委託にあたるか、第三者提供にあたるか
  • 医療・金融など、分野ごとのガイドラインで上乗せされる扱い
  • 欧州のGDPRなど、外国の法律の扱い
  • 行政機関等が生成AIを使う場合の扱い

1つ目は、サービスの契約・規約・設定と、自社の利用目的を合わせて読まないと答えが出ません。本記事が示せるのは、その判断のために何を確かめるかまでです。

入れてしまった後の対応は別の記事で

すでに個人情報を生成AIに入力してしまった場合の対応は、本記事では扱いません。気づいた後にまずやる手順は、ChatGPT 個人情報 入れてしまったときの手順の記事で扱っています。


生成AIと個人情報に関するよくある質問

Q. 顧客の名前だけなら、生成AIに入れても問題になりませんか

A. 氏名だけでも、特定の個人を識別できるなら個人情報にあたるため、利用目的と入力した先での扱いを確かめる対象になります。 顧客管理の表から取った氏名なら個人データにあたり、第三者提供の制限もかかります。

Q. 学習に使わない設定にすれば、第三者提供の心配はなくなりますか

A. 学習に使わない設定は大事な確認点ですが、それだけで足りるとは限りません。 委員会の注意喚起は「機械学習に利用しないこと等」と書いており、保存や人による確認など、出力以外の扱いも規約で確かめます。外国にある第三者と要配慮個人情報の確認は、設定とは別に残ります。

Q. 氏名を消してから入力すれば、個人情報ではなくなりますか

A. 氏名を消しても、他の情報と容易に照合して特定の個人を識別できるなら、個人情報にあたります。 文面に残った会社名・日付・相談の中身で個人が分かる場合は、氏名のある情報と同じ表の行で扱います。

Q. 本人の同意を取れば、どんな個人情報でも入力してよいですか

A. 同意は、利用目的を超えた利用(第18条第1項)や、第三者提供・外国にある第三者への提供の制限に関わる手段ですが、同意があれば何でも入力してよいことにはなりません。 同意を得た範囲と取り方の確認、安全管理措置、要配慮個人情報の扱いは残ります。


生成AIと個人情報|総括表

論点

条文・委員会の資料で確かめられること

社内で決める中身

1. 利用目的

特定した利用目的の達成に必要な範囲内か(第18条第1項・注意喚起の1点目)

情報の種類ごとに、集めたときの利用目的を表に写す

2. 第三者提供

出力以外の目的で扱われると違反の可能性(注意喚起の2点目)・委託の規定(第27条第5項第1号)

使う生成AIで、出力以外の扱いがないかを契約・規約・設定で確かめる

3. 外国にある第三者

外国にある第三者への提供には、例外を除き本人の同意(第28条第1項)

入力した情報を扱う事業者の所在地と、どの例外で足りるかを確かめる

4. 要配慮個人情報

取得に原則として同意が要り、本人の求めで止める方式での提供はできない(第20条第2項・第27条第2項)

原則として入力しない行に置き、必要な業務だけ相談先に回す

4つの分け方は本記事の整理で、法令や委員会の分類ではありません。どの行を入力してよいとするかは会社の利用目的と契約で変わるため、この記事では判断基準までにとどめます。



まとめ|生成AIに個人情報を入れてよいかは、何で決まるのか

生成AIに個人情報を入れてよいかは、その情報を集めたときの利用目的と、入力した先でAIの事業者が応答の出力以外に扱うかで決まります。そこに、事業者が外国にあるか、要配慮個人情報が含まれるかの確認が加わります。

入力してよい範囲を社内で決めるなら、次の3つから始められます。

  1. 今日:自社で使っている生成AIの規約とプライバシーポリシーを開き、入力した情報を応答の出力以外に使うかと、事業者の所在地を書き出す
  2. 今週中:生成AIを使う部署で触れる個人情報を種類ごとに並べ、それぞれの利用目的を社内の規程から写す
  3. 今週中:並べた行ごとに4つの問いへ答え、答えられない行を回す相談先を決める

最後に、社内で自分に問える1問を置きます。御社で生成AIに入力されている個人情報について、集めたときの利用目的を、情報の種類ごとに言えますか。

  • 生成AIに個人情報を入れるときに問われるのは、主に利用目的・第三者提供・外国にある第三者・要配慮個人情報の4つです。4つの分け方は本記事の整理で、法令や委員会の分類ではありません
  • 個人情報保護委員会は、事業者に対し、利用目的の範囲内かと、入力した個人データが応答結果の出力以外の目的で扱われないかを十分に確認するよう求めています。後者の確認の対象として、AIの事業者が機械学習に利用しないこと等を挙げています
  • 社内ルールは、情報の種類ごとに4つの問いへの答えを表にし、答えられない行の相談先を決めるところまでで作ります。どの行を入力してよいとするかの最終判断は、自社の利用目的と契約によって変わります

生成AIに入れてよい情報の線引きを、権限設計とあわせて社内で整理したい方は、自社で使えるヒントを、20の実例から探すからご確認いただけます。

自社で使えるヒントを、20の実例から探す

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出典・注記


この記事について

本記事は、法人向けにClaude Codeの研修を提供するDAIJOBUが、生成AIへの個人情報の入力について、個人情報保護委員会の注意喚起と個人情報保護法の条文で確かめられる範囲を、社内ルールの形に整理したものです。

著者

DAIJOBU株式会社 Claude Code法人研修部 コンテンツ担当 佐藤 雅俊

編集責任者

DAIJOBU株式会社 Claude Code法人研修 事業責任者 石井 雄大

監修

DAIJOBU株式会社 代表取締役 山中 裕貴

公開日

2026年10月25日

最終更新日

2026年10月25日

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