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生成AIの活用事例|業務別に見る会社での使い方と始める順番

生成AIの活用事例|業務別に見る会社での使い方と始める順番

社内で生成AIの活用事例を集めているなら、最初に見るのは会社名ではなく業務の名前です。総務省の2026年版の情報通信白書では、日本で生成AIの活用を回答した割合がいちばん高い業務は議事録・メールの作成補助で、効果を実感する割合も同じ業務が最も高く出ています。

ただし、他社の事例が自社でも効くかは、同じ作業が社内でどれだけ発生しているかで決まります。事例は「何を真似るか」より先に「自社のどの作業に当たるか」で読むと、始める業務が1つに絞れます。

この記事の要点は3つ

  1. 生成AIの活用事例は、文章作成・要約・問い合わせ対応・資料作成の4つの型で読むと、自社に当てはめやすくなります。4つは本記事の整理で、総務省の2026年版の白書では、議事録・メール作成補助で活用を回答した割合が約7割と最も高く出ています
  2. 白書がヒアリングした先進的な企業は、使い方の事例を集めて共有し、部門ごとに業務を選んで効果を測りながら広げています。公表されている効果の物差しは、1回あたりの削減時間や社内の利用率のように会社ごとに違います
  3. 事例を真似る前に、自社で同じ作業が月に何回発生しているかを数えます。回数が多く、結果を人が読んで直せる作業から始めると、効果を確かめやすくなります

業務別の使い方を自社の業務に当てはめて整理したい方は、自社で使えるヒントを、20の実例から探すからご確認いただけます。

法人向けにAIの研修を提供している側から、公的資料と各社の公式発表に載った事例だけを、業務の型で並べ直します。特定のツールの最新機能の紹介と、当社の受講企業の事例は扱いません。

この記事は、事例を会社名ではなく業務の型で読み、自社で始める1つ目の業務を決めるための整理です。 社内に配った生成AIが使われない原因を直す話は、生成AIの社内導入を定着させる方法|配ったのに使われない会社が最初に直す場所で扱っています。

この記事でわかること

  • 生成AIの活用事例が集まっている4つの業務と、公的な調査の数字
  • 自治体と国の機関が公表している、生成AIの試し方と確かめ方
  • 企業の公式発表に出ている使い方と、効果の測り方の違い
  • 成果を公表している会社に共通する、広げる前の手順
  • 自社で始める順番と、事例をなぞっても使われない3つの型

生成AIの活用事例はどの業務に多いか|文章・要約・問い合わせ・資料の4つの型で読む

生成AIの活用事例は、文章作成・要約・問い合わせ対応・資料作成の4つの型で読むと、自社の作業に当てはめやすくなります。4つの分け方は本記事の整理で、総務省の白書の業務の分類と、自治体・企業の公式発表に繰り返し出てくる使い方を突き合わせて作りました。白書で活用の割合が高い「営業・販売」は、この4つの型の作業が営業の場面に集まったものとして読みます。「社内システム開発・運用」は開発部門向けの別の型のため、4つに含めていません。

ファクトボックス|この記事で使う主な公的資料

項目

内容

主な資料

総務省「令和8年版 情報通信白書」第Ⅰ部第2章

公表

2026年7月(白書のデータ集の日付は2026年7月24日)

調査

2025年度企業向け調査。日本・米国・ドイツ・中国のインターネットアンケート(2026年1〜2月)。対象は従業員10名以上で、2025年までにデジタル化の取組を始めた企業に勤める管理職以上。日本の有効回答は515件

事例の出どころ

白書の業務領域別の事例・自治体と国の公表資料・各社のプレスリリース

出典URL

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r08/html/nd121130.html ほか(末尾の出典・注記にページごとに掲載)

参照日

2026年10月17日

免責

割合は調査の回答で、自社で同じ効果が出ることを示すものではありません

白書で見る、業務ごとの活用の割合

2025年度企業向け調査は、デジタル化の取組を始めた企業の管理職以上へのアンケートです。日本の回答のうち、「わからない」を除いて自社の何らかの業務で生成AIを使っていると答えた割合は86.4%でした(回答477件)。前年度の調査の55.2%から大きく上がっていますが、日本企業全体の値ではありません。

業務ごとに見ると、白書は「議事録・メール作成補助」での活用を回答した割合が約7割と最も高く、「営業・販売」が約6割、「社内ヘルプデスク」が約5割と続くと書いています。下の表の「活用している割合」は、白書の3つの回答区分を本記事で足した値です。

業務類型(白書の分類)

活用している割合

効果を実感する割合

議事録・メール作成補助

71.2%

72.3%

営業・販売

59.6%

37.5%

社内ヘルプデスク

50.9%

42.7%

社内システム開発・運用

50.4%

26.3%

研究・商品開発

49.8%

39.1%

マーケティング・広報

49.4%

36.6%

カスタマーサポート

44.7%

33.8%

経理・財務

44.7%

29.7%

経営

46.0%

20.1%

「活用している割合」は、業務プロセスがAI中心に変更されている・部署内の特定業務で活用している・従業員が個人作業の効率化で活用しているの3区分の合計です。表は白書の14の業務類型から、活用している割合の上位9つを抜き出しています(カスタマーサポートと経理・財務は同率)。業務類型の表は基数が公表ページに無いため、本記事では割合だけを扱います。

効果の実感は、人が読んで直せる仕事に集まる

効果を実感する割合を見ると、議事録・メール作成補助の72.3%が、2番目の社内ヘルプデスクの42.7%を大きく引き離しています。活用の割合では約6割の営業・販売も、効果の実感は37.5%にとどまります。

議事録やメールは、AIが出した下書きを、その場で人が読んで直してから使う仕事です。

型A・全体像カード型。生成AIの活用事例を読む4つの型(4つの分け方は本記事の整理)を、横1行に並べた4列の表で示す。要素=カード「文章作成」=メール・報告書・案内文の下書きをAIが書き、人が直す/カード「要約」=議事録・長い資料の要点をAIがまとめ、人が元の資料と照らす/カード「問い合わせ対応」=社内の規程やマニュアルをもとにAIが答え、答えられない質問は人へ回す/カード「資料作成」=提案書・企画書の構成と叩き台をAIが作り、人が数字と事実を入れる。上の行を「AIがすること」、下の行を「人が確かめること」にする。「文章作成」の列を青で強く、ほかの3列は淡い青。大きな番号は置かない。結論=生成AIの活用事例を読む4つの型は、どれもAIが下書きを作り、人が確かめてから使う仕事です。

生成AIの活用事例を読む4つの型は、どれもAIが下書きを作り、人が確かめてから使う仕事です。

効果の実感が集まるのは、AIの間違いに人がその場で気づける業務です。

この差の理由は、白書の数字から読み取った本記事の見立てです。


公的機関の生成AI事例集で見る業務別の使い方|自治体と国の検証から

公的機関が公表している生成AIの事例は、職員の文書作成を全庁で試し、使った人の割合と声で効果を確かめる形が中心です。自治体と国の機関は、試した結果と課題をそのまま公表しているため、自社で試すときの物差しとして使えます。

横須賀市|全庁で試し、向かない使い方まで公表した

横須賀市は、2023年4月20日からChatGPTの全庁的な活用実証を行い、同年6月5日に結果を公表しました。公表によると、約半数の職員が実際に使い、最終アンケートの回答者の約8割が「仕事の効率が上がる」「利用を継続したい」と答えています。

同じ公表は、利用の約3割が、ChatGPTに向かない「検索」の用途だったとも書いています。6%程度の職員は、おおむね不適切な回答が返ってくると答えました。

横須賀市の事例で持ち帰れるのは、効果の数字より、向かない使い方を数えて公表した点です。試す期間に、うまくいった使い方と一緒に、向かなかった使い方も数えておくと、次に広げるときの説明が短くなります。

総務省の自治体向けガイドブック|職員の業務と住民の案内の両方

総務省は2025年12月16日に「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック〈導入手順編〉(第4版)」を公表しました。白書によると、同ガイドブックは導入の進め方と留意点のほか、生成AIの使い方と具体的な事例を紹介し、自治体が作る利用ガイドラインのひな形を別添で示しています。

白書は同ガイドブックをもとに、先行する自治体では、職員の業務の効率化や質の向上だけでなく、住民への担当部署の案内や観光スポットの提案にもAIが使われていると書いています。社内向けの使い方と、外の人に向けた使い方が、同じ資料の中で分けて扱われています。

デジタル庁|約18万人への試験提供から本格利用へ

デジタル庁は2026年3月6日に、職員向けの生成AI利用環境「源内」を、全府省庁の約18万人の政府職員に試験的に提供する大規模実証を2026年度に始めると発表しました。白書によると、実証の結果を踏まえて、2027年度に本格的な利用を始める予定です。

国の機関も、いきなり全員の本番の利用にせず、試験提供と実証を挟んでいます。社員数の多い会社ほど、この「試してから本格的に使う」区切りを先に置いておくと、途中で止める判断もしやすくなります。


生成AI活用事例を企業の公式発表で見る|効果の測り方まで

企業の公式発表に出ている生成AIの活用事例には社内の文書作成や記録の支援が多く、効果の数字を出している会社は、1回あたりの削減時間や社内の利用率を使っています。ここでは、白書が業務領域別に取り上げた事例と、各社が自ら公表した数字を、業務の型・使い方・効果の測り方で並べます。

業務別の生成AI活用事例|業務・使い方・効果の測り方・出典

業務の型

事例と使い方

効果の測り方

出典

文章作成・要約

パナソニック コネクト:自社向けのAIアシスタントを国内の全社員に展開

1回あたりの削減時間と、年間の削減時間

同社プレスリリース(2024年6月25日・2026年7月29日)

部門ごとの定型業務

日清食品グループ:部門ごとに対象の業務を選び、プロンプトのひな形を作って展開

社内の利用率

令和8年版 情報通信白書

記録・資料作成

明治安田生命:AIの「デジタル秘書」で、営業の面談記録の作成を支援

白書に数字の記載なし

令和8年版 情報通信白書

白書の業務領域別の事例|6つの領域に1つずつ

白書は、企業の事例を業務の領域ごとに6つに分けて紹介しています。下の表は、各領域から1つずつ抜き出したもので、使い方の文言は白書の紹介に沿っています。

業務領域(白書の分類)

事例

使い方

研究・商品開発

パナソニックホールディングス「設計AI」

設計のモデル作成から評価・形状の決定までを自動化・高速化。計算速度が従来の7倍に向上したとしている

調達

ロート製薬

調達管理・在庫管理など複数のAIエージェントを組み合わせ、サプライチェーンの最適化の実証を始めると2025年12月に発表

製造・生産

ダイキン工業・日立製作所

設備の異常をテキストで質問すると、故障かどうかと原因・対策を示すAIエージェント

マーケティング

サイバーエージェント

広告主が指定したルールに基づき、広告の制作物をAIが審査する「審査AI」

顧客との接点

イオンリテール

従業員向けマニュアルを学ばせたAIアシスタントを一部の店舗に導入

経営・コーポレート業務

キリンホールディングス

過去10年分の会議の議事録などを読み込ませたAI役員と、起案者が事前に壁打ち

6つの領域の事例は、先進的な企業の取り組みとして白書が選んだもので、効果の数字が書かれているものは一部です。自社の業務に当てはめるときは、領域の名前より、AIが何を作り、人が何を確かめているかを見ます。

パナソニック コネクト|測り方が変わると、数字の意味も変わる

パナソニック コネクトは、2023年2月から、自社向けのAIアシスタントを国内の全社員に展開しています。2024年の発表時点の対象は約12,400人です。2024年6月25日の発表では、2023年6月から2024年5月までの1年間について、社員に削減できた時間を回答してもらった結果、1回あたり平均約20分、全社で18.6万時間の削減としました。

2026年7月29日の発表では、2025年度の削減時間を78.8万時間、総労働時間の3.4%としています。同じ発表は、利用回数を361万回、1回あたりの削減時間を33分、月間で使った人の割合を61%とし、2030年に総労働時間の10%をAIで削減することを目指すと書いています。

2つの発表は、削減時間の出し方の書き方が異なります。2024年の発表は社員の回答による値、2026年の発表は活用データを分析した値として説明されているため、年ごとの増え方を比べるときは、測り方の違いを差し引いて読みます。

日清食品グループ|部門ごとに業務を選び、ひな形を配った

白書は、日清食品グループが、生成AIの効果を見込める業務を部門ごとに選び、プロンプトのひな形を作り、効果を測る取り組みを少しずつ社内に広げた結果、社内の利用率が直近で7割を超えたと紹介しています。白書は、この事例を、汎用のAIを個人作業に使う段階で、全社に浸透させた取り組みとして挙げています。

ここで持ち帰れるのは、利用率の高さより、業務を選ぶ単位が全社ではなく部門だった点です。部門ごとに業務を選べば、その部門の人が自分の仕事で効果を確かめられます。

当社の本業での使い方|観点を蓄積して、設計を速くする

当社は研修のほかに、ソフトウェアのテストを請け負う品質保証の仕事をしています。そこでは、業界ごとのよくある不具合やテストの観点を表に蓄積し、その観点表とAIを組み合わせてテストを設計しており、設計の速さは約1.5倍になっています。比べた基準と期間は、資料に書かれていません。

これは研修の受講企業の事例ではなく、当社の公開済みの事例資料に載せている、当社自身の使い方です。白書が引く有識者の指摘にある、現場や個人の知見を会社全体の資産として使う形の、小さな例として置いておきます。

公式発表の事例でも、効果の数字を出しているものは一部で、出していても測り方は会社ごとに違います。

事例の数字を自社の目標にそのまま置かず、自社で同じ測り方をした場合に何を数えるかを先に決めておくと、社内で説明するときに比べる相手を間違えません。


成果が出ている会社の共通点|業務を絞り、測ってから広げる

白書がヒアリングした先進的な企業に共通するのは、使える環境を整えたあと、使い方の事例を集めて共有し、部門ごとに業務を選んで効果を測りながら広げている点です。白書は、こうした企業へのヒアリングをもとに、段階を踏んで進める流れを示しています。

白書が示す、効果を出すまでの段階

白書は、まず導入しやすい汎用のAIを、安全に使える環境とルールを整えたうえで社員の個人作業に使ってもらい、AIの特性と向く業務を社内で理解する段階を置いています。そのうえで、経営の方針に沿って人とAIの役割分担を決め、業務の流れ全体をAIを前提に組み替える段階へ進む、という流れです。

同じ白書は、汎用のツールを入れても、一部の積極的な社員だけが使い、全社の効果に届かない可能性があるとも書いています。先進的な企業は、使い方の事例を集めて社内に共有し、定期的にワークショップを開くことで、全社に広げているとされています。

型D・フロー型。白書が示す2つの段階を、左から右へ2つの箱で示す。要素=箱1「個人作業の効率化」=安全な環境とルールを整え、社員が汎用のAIを自分の作業に使う/箱2「業務の変革」=人とAIの役割分担を決め、業務全体をAI前提で設計する。箱1の下半分に帯「使い方を集めて測る」=事例を集めて共有し、部門ごとに業務を選んで効果を測る(本記事が1段階目の中から取り出した部分)。帯を青で強く、箱1と箱2は白地に青枠。箱1の下に小さく「一部の社員だけが使う状態で止まる可能性がある」。大きな番号は置かない。結論=白書が示す段階は個人作業の効率化と業務の変革の2つで、1段階目の中で使い方を集めて測ると全社に広がりやすくなります。

白書が示す段階は個人作業の効率化と業務の変革の2つで、1段階目の中で使い方を集めて測ると全社に広がりやすくなります。

共通点1|業務を選ぶのは、現場の部門

白書は、先進的な企業の多くで、事業部門の現場のニーズや課題を検討の起点にし、DXを進める部門がアイデア出し・技術の助言・セキュリティ対策・効果測定などで伴走していると書いています。業務を選ぶのは現場で、全社の担当部門はそれを支える役に回っています。

共通点2|効果の物差しを、広げる前に決めている

パナソニック コネクトは削減時間、日清食品グループは利用率と、効果の物差しを公表しています。物差しがあるから、うまくいった部門の使い方を、ほかの部門に説明できます。

共通点3|ルールと、AIが見てよい範囲を先に置いている

白書は、先進的な企業が利用のポリシーやガイドラインを整え、部門や職階によって見るべきでない情報をAIが出さないよう、AIが参照するデータの範囲を絞っていると書いています。社内ルールの作り方は生成AI社内ルールのサンプル|禁止事項リストにしない4層のガイドライン、全社に広げるときに壊れやすい点はセキュリティを担保したまま生成AIを全社導入する|広げると壊れる層と、その順番で扱っています。


自社で始める順番|事例を真似る前に、同じ作業の量を数える

自社で生成AIを使い始める順番は、作業を数える、1つ選ぶ、物差しを決める、ひな形を作る、測ってから広げるの5つです。順番は、白書の段階と公式発表の事例をもとにした本記事の整理です。

1. 4つの型に当たる作業を書き出し、回数と時間を数える

文章作成・要約・問い合わせ対応・資料作成の4つの型ごとに、自分の部署で発生している作業を書き出します。作業ごとに、月に何回発生するかと、1回に何分かかっているかを書き添えます。

事例の会社と同じ業務名でも、自社で月に数回しかない作業なら、効果は小さくなります。回数と時間を掛けた値が、その作業でAIが減らせる時間の上限の目安になります。時短できる作業の見つけ方は、AI業務効率化セミナーで学ぶ3つ|時短できる作業の見つけ方でも扱っています。

2. 回数が多く、人が読んで直せる作業を1つ選ぶ

書き出した作業から、回数と時間を掛けた値が大きく、AIの出した結果を担当者がその場で読んで直せる作業を1つ選びます。白書の数字で、効果の実感が議事録・メール作成補助に集まっていたのと同じ理由です。

社外にそのまま出る文書や、間違いに気づくまで時間がかかる作業は、最初の1つには選びません。

型C・帯構造型。最初の1つの作業を選ぶ基準を、上から3段の帯で示す。要素=1段目「回数と時間」=月の回数×1回の時間が大きい作業から並べる/2段目「人がその場で直せるか」=AIの結果を担当者が読んで直せる作業に絞る/3段目「外に出るまでの距離」=社外にそのまま出ない作業を最初の1つにする。各段の左に白抜きラベル、右に説明枠。2段目を青で強く、1段目と3段目は淡い青。大きな番号は置かない。結論=最初の1つは、回数と時間が大きく、担当者がその場で直せて、社外にそのまま出ない作業から選びます。

最初の1つは、回数と時間が大きく、担当者がその場で直せて、社外にそのまま出ない作業から選びます。

3. 始める前に、物差しと今の値を記録する

選んだ作業について、1回あたりの時間・手直しの回数・使った人の割合のうち、何で効果を見るかを決めます。始める前の値を1回記録しておかないと、あとで減った量を出せません。

物差しは途中で変えないようにします。変えるときは、変えた日と理由を残し、前後の数字を同じ表で比べないようにします。

4. 頼み方のひな形と、入れてよい情報の線を作る

選んだ作業ごとに、AIへの頼み方の文面をひな形にし、その作業で入れてよい情報と入れない情報を1行ずつ書きます。会社の契約で使えるツールが決まっていない場合は、契約の形もこの段階で決めます。

主な選択肢の確かめ方は、ChatGPTの法人契約で確かめる5つのこと|プランの選び方、Gemini企業向けプランで確かめる5つのこと|Workspaceとの関係、Copilotの法人利用で確かめる5つのこと|Microsoft 365との関係で扱っています。

5. 決めた期間で測り、数字が出た作業から隣の部署へ広げる

決めた期間が終わったら、始める前の値と比べます。数字が出た作業は、ひな形と物差しをそのまま隣の部署へ渡し、出なかった作業は、向かなかった理由を1行で残します。

社員にAIの使い方を教える場を外に頼むときは、研修の中で自社の作業を題材にできるかを確かめます。研修会社を比べるときの見方は、生成AI研修の選び方|カリキュラムの前に見る「品質を誰が担保するか」で扱っています。

事例から自社に移すのは、会社名や道具ではなく、選んだ業務と、効果を測る物差しの2つです。

最初に選ぶ業務と、効果の物差しを自社の状況で整理したい方は、自社で使えるヒントを、20の実例から探すもご利用ください。

自社で使えるヒントを、20の実例から探す


うまくいかない型|事例をなぞっても使われない3つのパターン

生成AIの活用事例をなぞっても社内で使われない会社には、主に3つの型があります。3つの分け方は、白書と自治体の公表に書かれた課題をもとにした本記事の整理です。他社の事例を聞いたあとに自社へ持ち帰るときの注意は、AI活用セミナーの活かし方|他社事例に書かれていない3つのことで扱っています。

型1|道具を先に配り、業務を選ばない

事例の会社と同じ道具を全社に配っても、どの業務で使うかを決めないと、使う人は一部の積極的な社員に偏ります。白書も、汎用のツールを入れても全社の効果に届かない可能性があると書いています。

配ったあとに使われない場合の直し方は、生成AIの社内導入を定着させる方法|配ったのに使われない会社が最初に直す場所で扱っています。

型2|向かない用途に使い、「使えない」と判断する

横須賀市の実証では、利用の約3割が、ChatGPTに向かない検索の用途でした。白書も、生成AIには事実と違う内容を出すハルシネーションや、使う人に過剰に合わせてしまう現象があると書いています。

調べものの答えをそのまま使う使い方から入ると、間違いに当たった時点で「使えない」という評価になりがちです。最初は、元の情報を人が持っていて、結果を照らし合わせられる作業から入ります。

型3|物差しを決めずに始め、続けるかを決められない

始める前の値を記録していないと、試した期間が終わっても、効果があったかを数字で説明できません。続けるかを決められないまま、利用が少しずつ減っていく形になります。

型B・対比型。事例から始める場合と、自社の作業から始める場合を左右に並べる。要素=左「事例の会社名から始める」=同じ道具を配る→使う業務が人によって違う→効果を数字で説明できない/右「自社の作業から始める」=4つの型で作業を数える→1つ選んで物差しを決める→数字が出た作業から広げる。右側を青で強く、左側は淡いグレー。左右の下に共通の帯「どちらも、結果を人が確かめる点は同じ」。中央の区切りやラベルは置かない。大きな番号は置かない。結論=事例は会社名から始めると止まりやすく、自社の作業を数えて1つ選ぶところから始めると広げやすくなります。

事例は会社名から始めると止まりやすく、自社の作業を数えて1つ選ぶところから始めると広げやすくなります。


生成AIの活用事例で、この記事が扱わないこと

この記事は、公的資料と各社の公式発表に載った事例を業務の型で並べ直したもので、扱わないことがあります。

  • 業界ごとの細かな事例:製造・医療・金融など業界別の事例は、白書の業務領域別の事例や各業界団体の資料で確かめてください
  • ツールごとの機能の比較:機能は短い期間で変わるため、この記事では業務の型だけを扱います
  • 画像・動画の生成:広告や制作物の画像・動画を作る使い方は、この記事の4つの型に含めていません
  • AIエージェント:AIが自分で手順を進めて作業する使い方は、白書の業務領域別の事例で確かめてください
  • 効果の数字の予測:公表された数字は各社の測り方による値で、自社で同じ値が出ることを示すものではありません
  • 当社の受講企業の事例:載せていません。当社自身の使い方は、公開済みの事例資料の範囲で1つだけ紹介しています

白書の割合は、デジタル化の取組を始めた企業に勤める管理職以上へのアンケートの回答で、日本企業全体の利用の実態を測った値ではありません。1つの調査の数字として読み、自社の判断は自社で数えた値で行います。


生成AIの活用事例に関するよくある質問

Q. 中小企業でも、大企業の生成AI活用事例は参考になりますか

A. 会社名や規模ではなく、業務の型が同じ事例なら参考になります。 白書によると、生成AIを「積極的に活用する方針である」と「活用する領域を限定して利用する方針である」の合計は、大企業で74.0%、中小企業で58.1%でした。議事録やメールの下書きのような作業は会社の規模を問わず発生するため、まず同じ型の作業が自社で月に何回あるかを数えます。

Q. 生成AIの効果は、何で測ればよいですか

A. 1回あたりの時間・手直しの回数・使った人の割合のうち、選んだ作業に合う1つで測ります。 パナソニック コネクトは削減時間、日清食品グループは利用率を使っています。どの物差しでも、始める前の値を記録しておくことが前提です。

Q. 生成AIの事例集は、どこで探せばよいですか

A. 公的な資料と、各社が自ら出した発表から探すと、数字の出どころを確かめられます。 総務省の情報通信白書は業務領域別に企業の事例を載せ、総務省の自治体向けガイドブックは自治体の事例を紹介しています。企業の数字は、各社のプレスリリースやIRの資料で、測り方と期間まで確かめます。

Q. 事例と同じ道具を入れれば、同じ効果が出ますか

A. 同じ道具でも、選ぶ業務と測り方が違えば、効果は同じにはなりません。 公表されている効果は、その会社の業務の量と測り方で出た値です。道具を決める前に、自社で効果を測る作業を1つ決めておくと、道具の比べ方も絞れます。


生成AIの活用事例を自社に移す|総括表

業務の型

よく見る使い方

効果を見る物差しの例

始める前に確かめること

文章作成

メール・報告書・案内文の下書き

1回あたりの時間

月の回数と、直す人

要約

議事録・長い資料の要点

手直しの回数

元の資料と照らす人

問い合わせ対応

社内の規程・マニュアルをもとにした回答

担当者に回った質問の数

AIが参照してよい資料の範囲

資料作成

提案書・企画書の構成と叩き台

1件あたりの作成時間

数字と事実を入れる人

4つの型と物差しの組み合わせは本記事の整理で、ほかの組み合わせを否定するものではありません。



まとめ|生成AIの活用事例から、会社は何を始めればよいか

生成AIの活用事例から会社が始めるのは、事例と同じ道具を入れることではなく、同じ型の作業を自社で数えて1つ選ぶことです。選んだ作業で物差しを決めて測り、数字が出た作業から隣の部署へ広げると、社内で効果を説明しながら進められます。

社内で事例を生かすなら、次の3つから始められます。

  1. 今日:白書の業務領域別の事例から、自社の部署と同じ業務の型の事例を1つ探す
  2. 今週中:その型に当たる自部署の作業を書き出し、月の回数と1回の時間を数える
  3. 今週中:数えた作業から1つ選び、効果を見る物差しと、始める前の値を記録する

最後に、社内で自分に問える1問を置きます。御社でいちばん多く発生している文章作成・要約・問い合わせ対応・資料作成の作業を、月の回数と一緒に1つ挙げられますか。

  • 生成AIの活用事例は、文章作成・要約・問い合わせ対応・資料作成の4つの型で読むと、自社に当てはめやすくなります。4つは本記事の整理で、総務省の2026年版の白書では、議事録・メール作成補助で活用を回答した割合が約7割と最も高く出ています
  • 白書がヒアリングした先進的な企業は、使い方の事例を集めて共有し、部門ごとに業務を選んで効果を測りながら広げています。公表されている効果の物差しは、1回あたりの削減時間や社内の利用率のように会社ごとに違います
  • 事例を真似る前に、自社で同じ作業が月に何回発生しているかを数えます。回数が多く、結果を人が読んで直せる作業から始めると、効果を確かめやすくなります

数えた作業を、どの順番で社内に広げるかを整理したい方は、自社で使えるヒントを、20の実例から探すからご確認いただけます。

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出典・注記


この記事について

本記事は、法人向けにClaude Codeの研修を提供するDAIJOBUが、生成AIの活用事例を、総務省の白書・自治体と国の公表資料・各社の公式発表に沿って業務の型で整理したものです。

著者

DAIJOBU株式会社 Claude Code法人研修部 コンテンツ担当 佐藤 雅俊

編集責任者

DAIJOBU株式会社 Claude Code法人研修 事業責任者 石井 雄大

監修

DAIJOBU株式会社 代表取締役 山中 裕貴

公開日

2026年10月21日

最終更新日

2026年10月21日

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