社内でAI人材育成プログラムを用意するよう任されたとき、最初に決めるのは、自社で組むか外に頼むかではなく、プログラムのどの部分を外に出すかです。全員が知っておく基礎は自社で組めても、自分の業務で手を動かす実技は、受講者の手元で詰まりを直す人が社内にいないと途中で止まるからです。

AI人材育成プログラムは自社でも組めますが、自社で持つか外に出すかは部分ごとに決めます。

この記事の要点は3つ

  1. 判断の単位は、プログラム全体ではなく部分です。対象者の役割で、全員が知っておく基礎・自分の業務で使う人の実技・社内で広げる推進役の育成の3つに分けます
  2. 部分ごとに当てる軸は、対象人数・業務の固有性・講師の有無の3つです。講師の有無は、教える人だけでなく、手元で詰まりを直す人と、回と回のあいだを見届ける人がいるかまで含めて見ます
  3. 基礎は自社で組め、推進役の育成も型を育てる役目は自社が持ちます。実技は業務の固有性と講師の有無が逆を向くので中身を分け、題材は自社が持ち込み、型と手元の支援は、社内に担う人がいなければ外部講座に出すほうが早く回ります
型A・全体像カード型。AI人材育成プログラムを3つの部分に分け、それぞれの組み方を示す。要素=①全員が知っておく基礎=自社で組む(外の無料教材を材料に使える)②自分の業務で使う人の実技=題材は自社が持ち込み、型と手元の支援は、社内に担う人がいなければ外部講座に出す③社内で広げる推進役の育成=型を育てる役目は自社が持つ(外部の伴走は支えで、代わりにはならない)。3枚のカードを横に並べ、②のカードだけ左右2色に割って「自社|いなければ外部講座」と書き分ける。下部に「丸ごとではなく、部分ごとに決める」の帯を置く。結論=AI人材育成プログラムは、丸ごとではなく部分ごとに、自社で組むか外部講座に出すかを決めます。

AI人材育成プログラムは、丸ごとではなく部分ごとに、自社で組むか外部講座に出すかを決めます。

自社で組む部分と外に出す部分を社内で分けるときの材料として、外部講座の側が何を持ち、何を受講企業に残すかをサービス資料(無料・PDF)をダウンロードするからご確認いただけます。

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本記事は、当社が持つ部分と受講企業に渡す部分の線を引いてきた、外部講座の提供側の立場から書いており、AIのモデルやシステムを開発するエンジニアの育成プログラムには当てはまりません。

社員が個人で学ぶ順番はAI勉強の始め方|社会人が3か月で業務に使う順番に、社内で誰がどの役割を引き受けるかはAI人材育成の進め方|中小企業が半年で埋める4つの役割にまとめています。この記事が扱うのは、その学びを会社のプログラムとして組むときに、どこを自社で持ち、どこを外部講座に出すかです。

この記事でわかること

  • AI人材育成プログラムを「自社か外か」の二択で決めると止まりやすい理由
  • プログラムを対象者の役割で3つの部分に分ける方法
  • 部分ごとに自社と外を振り分ける3つの軸と、それぞれの向き
  • 3軸が逆を向いたときに、中身をもう一段分ける考え方
  • 外部講座に出す前に、社内で決めておくこと
  • この記事の判断軸では答えが出ないこと

目次

  1. AI人材育成プログラムとは|「自社で組むか、外に頼むか」の二択にしない
  2. AI人材育成プログラムは対象者の役割で3つに分ける|基礎・実技・推進役の育成
  3. 自社で組むか外に出すかを決める3軸|対象人数・業務の固有性・講師の有無
  4. 3軸を3つの部分に当てる|向きがそろうのは基礎だけ
  5. 外部講座に出す前に社内で決めること|人数・職種・題材
  6. この記事で解けないこと|AIを作る人材・仕事の流れ・費用と助成金
  7. AI人材育成プログラムに関するよくある質問
  8. AI人材育成プログラムを自社と外部講座に分ける|総括表
  9. あわせて読みたい
  10. まとめ|AI人材育成プログラムは自社で組める?

AI人材育成プログラムとは|「自社で組むか、外に頼むか」の二択にしない

AI人材育成プログラムとは、社員がAIを業務で使えるようになるための学びを、対象者・中身・順番・期間まで決めて組んだものです。ただし検索すると、この言葉は3種類の別のものを指して使われています。

種類

主な対象

この記事で扱うか

公的な育成事業

博士課程の学生・研究者など

扱わない

研修会社・大学の法人向けプログラム

企業の社員(全社員から推進役まで)

外に出す部分として扱う

社内で組むプログラム

自社の社員

自社で組む部分として扱う

たとえば科学技術振興機構(JST)の「次世代AI人材育成プログラム(博士後期課程学生支援)」は、博士後期課程の学生を支援の対象にしています。社員に業務でAIを使ってもらうためのプログラムとは、目的も対象も別のものです。 この記事が扱うのは、表の2つ目と3つ目をどう組み合わせるかです。

会社の研修は、もともと自社か外部かの二択で組まれていません。

厚生労働省の「令和7年度 能力開発基本調査」(令和8年7月31日公表)の事業所調査は、常用労働者30人以上を雇用する事業所が対象で(調査対象7,194事業所・有効回答率54.2%)、正社員にOFF-JTを実施した事業所に、どこの機関で行ったかを複数回答で聞いています。結果は「自社」が76.4%、「民間教育訓練機関(民間教育研修会社、民間企業主催のセミナー等)」が41.4%、「親会社、グループ会社」が25.7%でした(結果の概要 p.19 図28)。AIの研修に限った数字ではなく、自社と民間を両方使った事業所の割合そのものも図には出ていません。それでも回答の合計が100%を超えていることから、複数の機関を組み合わせている事業所があることは読み取れます。AI人材育成プログラムも、どちらか1つに寄せる前提を外して考えてください。

丸ごと自社は人手が無いと実技で止まり、丸ごと外は業務に戻れない

丸ごと自社で組むと、基礎の講義までは回りますが、教材づくりの時間は本業から削ることになります。止まりやすいのは、受講者が自分のPCで手を動かす段です。手元を見て回る人が社内に足りなければ、詰まった人の画面を見きれません。

丸ごと外に出すと、基礎と実技の型はそろいます。止まりやすいのは受講のあとです。講座の題材は講座側が用意した例のままです。どの情報をAIに入れてよいかも、講座側が一緒に設計はできても、決めるのは自社です。丸ごと任せたままではその線が引かれず、受講者が自社の業務へ持ち帰る橋が架かりません。

型B・対比型。AI人材育成プログラムを丸ごと自社で組んだ場合と、丸ごと外に出した場合の止まりやすい場所を左右に並べる。要素=左(丸ごと自社で組む)=①基礎の講義は回る②教材づくりの時間を本業から削る③手元を見て回る人が社内に足りなければ、実技で詰まった人を見きれない④止まりやすい場所=実技の途中。右(丸ごと外に出す)=①基礎と実技の型はそろう②題材が講座側の例のまま③AIに入れてよい情報の線を自社で決めないまま進む④止まりやすい場所=受講のあと。左右とも④の行を青で強くする。結論=丸ごと自社でも丸ごと外でも、途中で止まりやすいことは同じで、違うのは止まる場所です。

丸ごと自社でも丸ごと外でも、途中で止まりやすいことは同じで、違うのは止まる場所です。

止まる場所が違うのは、プログラムの部分ごとに、向いている組み方が違うからです。


AI人材育成プログラムは対象者の役割で3つに分ける|基礎・実技・推進役の育成

AI人材育成プログラムを分けるときの単位は、対象者の役割です。部署や役職で分けると、同じ部署の中に「知っておけばよい人」と「毎日の業務で使う人」が混ざり、中身の深さが決まりません。

部分

対象

終わったときにできること

該当しない例

全員が知っておく基礎

全社員。毎年新しく入る人も含む

AIで何ができるかを知り、社内で決めた「入れてはいけない情報」を守れる

全員に、自分の業務での実技までを求める

自分の業務で使う人の実技

毎週の業務でAIを使う担当者

自分の業務を1つ、AIと一緒に最後まで終わらせられる

操作手順の動画を見ただけで終える

社内で広げる推進役の育成

推進役を任される数名

他の人の詰まりに答え、うまくいったやり方を型にして配れる

基礎と実技を飛ばし、社内展開の進め方だけを教える

この3つは、本記事がプログラムを自社と外に振り分けるために置いた分け方で、公的な分類ではありません。研修会社のプログラムにも、日本能率協会マネジメントセンターの「Step Up AI」のように全社員・実務担当者・推進リーダーの3段で組むものがあり、分け方そのものは珍しくありません。この記事で足すのは分け方ではなく、分けた部分ごとに組み方を変えるという使い方です。

3つの部分は性格が違います。基礎は対象者がいちばん多く、入社や異動で毎年人が加わります。実技は自分のPCで業務を1つ最後まで終わらせる部分で、詰まる場所が人によってばらばらに出ます。推進役の育成は、対象は数名でも、中身が社内の決めごとや業務の流れにいちばん強く結びつきます。実技の回の並べ方はAI教育の進め方|社員が使うようになる研修設計の5段階にまとめており、この記事では3つの部分をそれぞれ誰が担うかだけを扱います。


自社で組むか外に出すかを決める3軸|対象人数・業務の固有性・講師の有無

AI人材育成プログラムの部分ごとに、自社と外のどちらで組むかを振り分ける軸は3つです。どれも「はい/いいえ」で答える軸ではなく、自社と外のどちらに寄るかを見る軸です。

型C・帯構造型。自社で組むか外に出すかを決める3軸を3段の帯で示す。要素=上段「対象人数|同じ中身を何人に何回届けるか」=多く繰り返すほど自社で組む価値が上がる。中段「業務の固有性|中身が自社の業務・データ・決めごとにどれだけ依存するか」=高いほど自社が持つ。下段「講師の有無|教える人・手元で直す人・あいだを見届ける人が社内にいるか」=いなければ外部講座に出す。各段の左に白抜きラベル、右に「自社に寄る向き」と「外に寄る向き」を矢印で並べる。下段を青で強くする。結論=自社で組むか外に出すかは、対象人数・業務の固有性・講師の有無の3軸で、部分ごとに決まります。

自社で組むか外に出すかは、対象人数・業務の固有性・講師の有無の3軸で、部分ごとに決まります。

軸

なぜ要るか

該当しない例

対象人数

自社で教材を作る手間は、届ける人数と回数で割って初めて見合うかが分かるため

1回きり・数名の実技のために、社内で教材を一から作る

業務の固有性

自社の業務・データ・決めごとは、外部講座の側では用意できないため

AIに入れてよい情報の線引きまで、外部講座に決めてもらう

講師の有無

非エンジニアの実技は、手元で詰まりを直す人がいないと途中で止まるため

AIに詳しい社員が1人いるので、講師はいると判断する

3軸も本記事の整理で、公的な基準ではありません。自社の事情で4つ目の軸が要るなら、足して使ってください。

軸1 対象人数|同じ中身を、何人に何回届けるか

1つ目の軸は、同じ中身を何人に、何回届けるかです。人数が多く、毎年くり返すほど、自社で教材を作る手間は1人あたりで薄まります。反対に、1回きりで数名なら、外にある既製の場を使うほうが手間がかかりません。

人数は、外に出す場合の形も変えます。当社の場合、1社だけで開く個社開催は原則10名以上で、それに届かない会社には、複数の会社が同じ回に入る合同研修(1社1名から)をご案内しています。合同研修では、個社の機密は共通の講義で扱わず、別に設けた個別相談の枠で扱います。人数が少ないほど、外に出しても自社専用の場にはなりにくい、ということです。

軸2 業務の固有性|中身が、自社の業務・データ・決めごとにどれだけ依存するか

2つ目の軸は、中身が自社の業務・データ・決めごとにどれだけ依存するかです。AIとは何か、基本の使い方、一般的な注意といった固有性の低い中身は、公的機関や提供元が無料で出している教材や、外部の講座で足ります。題材にする業務、AIに入れてよい情報、社内で使う型といった固有性の高い中身は、自社にしか用意できません。

外部講座の側も、この線を引いています。当社の場合、基礎的な考え方と基本の使い方は一部を無料で公開し、業務別のスキルの組み立て方は抽象化した例で公開しています。一方で、当社が実際に使っている設定の中身は受講者に限って渡し、業務に合わせた作り込みと研修後の伴走は、研修とは別の契約で扱っています。

外部講座から受け取れるのは型までで、型に流し込む題材は自社にしか用意できません。

軸3 講師の有無|教える人・手元で直す人・あいだを見届ける人がいるか

3つ目の軸は、講師がいるかどうかです。講師を「前で話す1人」と考えると、社内にAIに詳しい人が1人いれば足りるように見えます。実際には、講師には3つの働きがあります。

  1. 教える人:全体に向けて説明し、回を進める
  2. 手元で直す人:受講者の画面を見て、止まったところを直す
  3. あいだを見届ける人:回と回のあいだに宿題を出し、進み具合を見て、質問に答える

当社の研修では、このうち2つを別の役割に分けています。研修の進行と講義を担うメイン講師と、受講者の手元のフォロー・質問対応・環境構築の支援を担うサポート講師で、全員が自分のPCで実践するあいだ、サポート講師が手元まで伴走します。3つ目にあたる研修期間中の受講企業とのやり取りや、宿題出し・振り返りは、講師の仕事に含めています。

社内で3つの働きをそろえるのは、AIに限らず難しいことです。

厚生労働省の「令和7年度 能力開発基本調査」(常用労働者30人以上の事業所が対象)では、能力開発や人材育成に何らかの問題があるとした事業所が80.1%で、その問題点(複数回答)で最も多いのは「指導する人材が不足している」の59.5%、「人材育成を行う時間がない」も45.5%でした(結果の概要 p.24 図35・図36)。59.5%は問題があるとした事業所の中での割合で、全事業所に占める割合ではありません。それでも、講師の有無を「詳しい人がいるか」ではなく「3つの働きに人と時間を割けるか」で数えると、この不足が自社の話として見えてきます。

講師の有無は、詳しい人がいるかではなく、手元で詰まりを直す人を受講者の人数に合わせて置けるかで決まります。


3軸を3つの部分に当てる|向きがそろうのは基礎だけ

3軸をAI人材育成プログラムの3つの部分に当てると、3軸がそろって自社を向くのは基礎だけです。実技と推進役の育成は、軸によって向きが割れます。

部分

対象人数

業務の固有性

講師の有無

全員の基礎

多く、毎年くり返す → 自社

社内の線引きの部分だけ高い → その部分は自社

講義が中心で、教える人がいれば回る → 自社

実務の実技

部署ごとに数名〜数十名 → 人数しだいで割れる

題材が高い → 題材は自社

手元で直す人が人数分要る → 社内にいなければ外

推進役の育成

数名 → 外に寄る

いちばん高い → 自社

推進役を教えられる人が要る → 社内にいなければ外

型A・全体像カード型。3軸の向きが割れる2つの部分を、自社が持つ中身と外に出せる中身にもう一段分けて示す。要素=①自分の業務で使う人の実技=上段「自社が持ち込む」=題材にする業務・使う資料・AIに入れてよい情報の範囲/下段「社内に担う人がいなければ外部講座に出す」=任せ方の型・詰まったときの直し方・手元の支援②社内で広げる推進役の育成=上段「自社が持つ」=型を育て続ける役目/下段「外部に頼める」=最初の型づくり・研修後の伴走。2枚のカードを横に並べ、どちらも上下2段に割って上段を青、下段を淡青で塗り分ける。カードに番号は振らない。結論=3軸の向きが割れた部分は、平均して決めずに、中身をもう一段分けます。

3軸の向きが割れた部分は、平均して決めずに、中身をもう一段分けます。

全員の基礎は自社で組める|外の無料教材は材料として使う

全員の基礎は、3軸がそろって自社を向きます。中身のうち、AIとは何か・基本の使い方・一般的な注意は、外で無料で出ている教材を材料にして構いません。自社で書き足すのは、社内で決めた「AIに入れてはいけない情報」と、その理由だけです。毎年入れ替わる人に届けるなら、録画や資料の形で残しておくと、くり返しに強くなります。

社員が最初の1か月で何を身につけるかという基礎の中身は、AI勉強は初心者が何から?|社会人が最初の1か月で身につける3つで扱っています。

気をつけたいのは、基礎に実技を詰め込まないことです。全員に同じ操作をさせると、手元で止まる人が次々に出て、教える人1人では見きれなくなります。

実技は中身を分ける|題材は自社、手元の支援は社内の人手で決める

実技では、業務の固有性が「自社」を向き、講師の有無は、手元で直す人が社内にいなければ「外」を向きます。ここを平均して「どちらでもよい」とすると、題材も手元の支援も中途半端に残るので、中身をもう一段分けます。

  • 自社が持ち込むもの:題材にする業務、使う資料、AIに入れてよい情報の範囲
  • 外部講座に出せるもの:AIへの任せ方・動かし方の型、詰まったときの直し方、受講者の手元の支援、回と回のあいだの質問対応

社内に担う人がいないときに外に出すほうが早い理由は、2つあります。1つは、手元で直す人を受講者の人数に合わせて用意している講座なら、その人手を借りられることです。もう1つは、講座の側が普段から使っているやり方を、型として持っていることです。

当社の研修も、研修用に作った教科書ではなく、営業・採用・バックオフィスまで、自社で実際に使っているルールやスキル、フォルダの設計をそのまま渡すことを方針にしています。

ここで、当然の疑問が出ます。「外部講座を売る会社が、実技は外が早いと言うのは当たり前ではないか」。

その疑問は正しい見方なので、条件を書いておきます。社内に、受講者の人数に見合う手元の支援と、あいだを見届ける時間を割ける人がいるなら、実技も自社で組めます。 外に出すほうが早いと言えるのは、その人と時間が社内に無いときだけです。

外に出した場合も、AIの出力を確かめて使うかどうかを決めるのは受講者です。当社も研修の中で、判断と検収は受講者の側に残し、「AIが全部やる」とは約束していません。

推進役の育成も中身を分ける|型を育てる役目は自社が持つ

推進役の育成は、人数では外に寄りますが、業務の固有性がいちばん高いため、型を育てる役目は自社が持ちます。推進役を教えられる人が社内にいなければ講師の有無も外を向くので、ここも中身をもう一段分けます。

外部に頼める範囲は、最初の型を一緒に作るところから、研修後の伴走まで広げられます。

それでも、型を育て続ける役目そのものは社内の推進役に置きます。外部の伴走は推進役を支えるもので、推進役の代わりにはならないからです。

推進役を自社の中から立てるなら、その人がまず自分で使えるようになる順番が先に来ます。当社の商談でも、相手の方が、まず自分でClaude Codeを学んでから社内に広げるかを検討したい、と判断されたことがあります。当社は研修を押し込まず、資料や記事を共有しながら次の機会を待つ形にしました。

推進役が個人で学ぶ道筋は、AI勉強ロードマップ|非エンジニアが半年で業務に使うまでの5段階が段階ごとの到達点をまとめています。

外部講座に任せられるのは型と手元の支援、伴走までで、題材と、型を育て続ける役目は自社が持ちます。


外部講座に出す前に社内で決めること|人数・職種・題材

AI人材育成プログラムの実技を外部講座に出すなら、申し込む前に社内で決めておくことがあります。当社でも最初に確かめる項目なので、先に決めてあれば話が早く進みます。

当社の商談で最初に確かめる項目には、想定する受講人数、受講対象の職種構成(非エンジニア中心か、エンジニアか)、いま使っているAIとその使い方が入っています。なかでも職種構成を特に重く見ています。職種によって、そもそも当社の研修が合うかどうかが変わるからです。

決めること

なぜ要るか

該当しない例

受講人数と回数

外部講座の形(自社だけで開くか、他社と同じ回に入るか)が人数で変わるため

希望者を募ってから考えることにして、人数を決めないまま申し込む

受講者の職種

非エンジニアかエンジニアかで、実技の題材も講座の選び方も変わるため

営業とエンジニアを同じ回に入れ、同じ題材で進める

持ち込む題材の業務と、その資料のうちAIに入れてよい範囲

講座の例ではなく自社の業務で手を動かさないと受講後に業務へ戻らず、入れてよい範囲は講座の側では決められないため

題材を講座側に任せる。または、入れてよい範囲を決めないまま業務の資料を持ち込む

題材にする業務の選び方は、「AI勉強の始め方」の記事にある「選ぶ業務の条件」が、そのまま使えます。

外部講座どうしをどう比べるかは、AI研修の選び方|法人向けで失敗しない5つの比較軸にまとめています。

実技を外に出す場合に、外部講座の側がどこまでを持つかは、サービス資料(無料・PDF)をダウンロードするで先にご確認いただけます。

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この記事で解けないこと|AIを作る人材・仕事の流れ・費用と助成金

この記事の3軸は、AI人材育成プログラムを自社と外に振り分けるための軸です。次の3つには答えが出ません。

  1. AIを作る人材の育成:エンジニアがAIのモデルやシステムを開発する力を育てるプログラムは、この記事の対象外です。当社の研修も、エンジニアだけの組織は対象にしていません
  2. 仕事の流れの作り直し:プログラムで使える人が育っても、AIの出力を誰がどの工程で確かめて通すかという仕事の流れが変わらなければ、業務の速さは変わりません。仕事の流れの側から見た順番は、生成AIの社内導入を定着させる方法|配ったのに使われない会社が最初に直す場所で扱っています
  3. 費用と助成金:3軸は、費用がいくらになるかも、助成金が使えるかも決めません。費用の決まり方はClaude Code研修の費用相場|料金の決まり方・助成金・費用対効果まで、制度の条件は事業展開等リスキリング支援コースとは|AI研修で使う条件と流れにまとめています

AI人材育成プログラムに関するよくある質問

Q. 社内にAIに詳しい社員が1人います。実技も自社で組めますか

A. その社員は、教える人としては足りますが、実技が回るかは手元の支援で決まります。 1人で同時に見られる画面の数には限りがあり、受講者が増えるほど、止まった人を待たせることになります。少人数の実技から始めるか、型と手元の支援を外に出す形が現実的です。

Q. 外部講座に出すと、ノウハウが社内に残りませんか

A. ノウハウは、題材と、型を育てる役目を自社が持てば、社内に残ります。 外に出すのは型と手元の支援、伴走までで、受講者が自分の業務で作ったものは社内に残ります。残ったものを型にして配るのは、推進役の仕事です。

Q. AI人材育成プログラムに、助成金は使えますか

A. 研修の中身と受講者が制度の要件を満たした場合に、使える制度があります。 支給の可否は審査で決まります。AI研修で候補になる制度の条件と流れは、事業展開等リスキリング支援コースとは|AI研修で使う条件と流れにまとめています。

Q. 外部講座を比べるときは、何から聞けばよいですか

A. 実技の最中に受講者の手元を誰が見るかと、回と回のあいだに何をしてくれるかの2つを聞いてください。 講義をする人とは別に、手元で詰まりを直す人がつくか、つくなら何人かを確かめると、実技を外に出す意味があるかが分かります。


AI人材育成プログラムを自社と外部講座に分ける|総括表

論点

押さえるところ

判断の単位

プログラム全体ではなく部分。丸ごと決めると、自社でも外でも途中で止まりやすい

公的統計

OFF-JTを行った機関は「自社」76.4%・「民間教育訓練機関」41.4%(複数回答・能力開発基本調査)。合計が100%を超える=組み合わせる事業所がある

3つの部分

全員が知っておく基礎/自分の業務で使う人の実技/社内で広げる推進役の育成

3軸

対象人数/業務の固有性/講師の有無

講師の有無の中身

教える人・手元で直す人・あいだを見届ける人。決め手は、手元で直す人を受講者の人数分置けるか

全員の基礎

自社で組める。外の無料教材を材料に、社内の線引きだけを自社の言葉で足す

実務の実技

業務の固有性と講師の有無が逆を向く。題材は自社が持ち込み、型と手元の支援は、社内に担う人がいなければ外部講座に出す

推進役の育成

人数では外に寄るが、型を育てる役目は自社が持つ。最初の型づくりと伴走は外に頼めても、代わりにはならない

外に出す前に決めること

受講人数と回数・受講者の職種・持ち込む題材の業務と、その資料のうちAIに入れてよい範囲

解けないこと

AIを作る人材の育成・仕事の流れの作り直し・費用と助成金


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まとめ|AI人材育成プログラムは自社で組める?

組めます。ただし、プログラム全体を自社で抱えるのではなく、全員の基礎と、推進役が型を育てる役目を自社で持ちます。実技は、受講者の手元を見る人が社内にいなければ、題材だけを自社から持ち込み、型と手元の支援を外部講座に任せる形にすると、途中で止まりにくくなります。

今日から動かせることを3つ挙げます。

  1. 今日:プログラムを「全員の基礎」「実務の実技」「推進役の育成」の3行に分けた表を1枚作る
  2. 今週中:3行それぞれに3軸の向きを書き込み、向きが割れた行に印をつける
  3. 来週まで:実技で持ち込む題材の業務を1つ決め、その資料のうちAIに入れてよい範囲と、受講者の人数と職種を書き出す

表は、3行3列の走り書きで足ります。

最後に、社内で1つだけ確かめてください。御社のAI人材育成プログラムで、実技の最中に受講者の画面を見て詰まりを直すのは、誰ですか。 名前が出てこなければ、実技は人数を絞って始めるか、型と手元の支援を外部講座に出す部分です。

この記事の要点を、保存用にもう一度並べます。

  1. 判断の単位は、プログラム全体ではなく部分です。対象者の役割で、全員が知っておく基礎・自分の業務で使う人の実技・社内で広げる推進役の育成の3つに分けます
  2. 部分ごとに当てる軸は、対象人数・業務の固有性・講師の有無の3つです。講師の有無は、教える人だけでなく、手元で詰まりを直す人と、回と回のあいだを見届ける人がいるかまで含めて見ます
  3. 基礎は自社で組め、推進役の育成も型を育てる役目は自社が持ちます。実技は業務の固有性と講師の有無が逆を向くので中身を分け、題材は自社が持ち込み、型と手元の支援は、社内に担う人がいなければ外部講座に出すほうが早く回ります

自社で組む部分と外に出す部分を社内で共有する材料として、サービス資料(無料・PDF)をダウンロードするをご利用ください。

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出典・注記

  • 厚生労働省「令和7年度 能力開発基本調査」(令和8年7月31日公表) https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/newpage_00233.html 、結果の概要 https://www.mhlw.go.jp/content/11801500/001728125.pdf (2026年9月25日参照)。本記事で引用したのは事業所調査の、実施したOFF-JTの教育訓練機関の種類(p.19 図28)と、人材育成に関する問題がある事業所とその問題点の内訳(p.24 図35・図36)です。事業所調査は常用労働者30人以上を雇用する事業所が対象で、調査対象7,194事業所・有効回答率54.2%です。図28の母数は正社員にOFF-JTを実施した事業所、図36の母数は能力開発や人材育成に何らかの問題があるとした事業所で、どちらも複数回答です。AIの研修に限った調査ではなく、日本の事業所全体の代表値でもありません
  • 科学技術振興機構「次世代AI人材育成プログラム(博士後期課程学生支援)」 https://www.jst.go.jp/jisedai/boost-s/ (2026年9月25日参照)
  • 日本能率協会マネジメントセンター「生成AI人材育成プログラム Step Up AI」 https://www.jmam.co.jp/hrm/service/dir/ai_training/ (2026年9月25日参照)。全社員・実務担当者・推進リーダーの3段で組むプログラムの例として引用したもので、内容を評価するものではありません
  • 「全員の基礎・実務の実技・推進役の育成の3つの部分」「対象人数・業務の固有性・講師の有無の3軸」「講師の3つの働き」は、本記事がAI人材育成プログラムを自社と外部講座に振り分けるために置いた整理であり、公的な分類や業界の標準的な基準ではありません
  • 提供形式と人数の目安(個社開催は原則10名以上・合同研修は1社1名から)、合同研修での個社の機密の扱い、基礎の一部を無料で公開し業務に合わせた作り込みと伴走を研修とは別の契約で扱っていること、メイン講師とサポート講師の役割の分け方、商談のヒアリングで確かめる項目、商談で研修を押し込まなかった判断は、当社の自社情報です。個々の企業名・人名は記載していません
  • 「実技は、手元で詰まりを直す人が社内にいなければ、外部講座を使うほうが早く回る」は、手元の支援と型の有無にもとづく本記事の判断であり、所要期間を比べた調査の数字ではありません
  • 本記事は、AI人材育成プログラムの成果や、助成金の受給を保証するものではありません
  • ※本記事は2026年9月25日時点の情報にもとづきます

この記事について

DAIJOBUは、ソフトウェアテスト・品質保証と脆弱性診断を本業としながら、全社でClaude Codeを日常運用し、そのやり方を法人研修として外部に提供している会社です。本記事は、外部講座の提供側として、受講企業に何を残し、何を当社が持つかを線引きしてきた立場から、AI人材育成プログラムを自社と外部講座に分ける判断をまとめたものです。

著者

DAIJOBU株式会社 Claude Code法人研修部 コンテンツ担当 佐藤 雅俊

編集責任者

DAIJOBU株式会社 Claude Code法人研修 事業責任者 石井 雄大

監修

DAIJOBU株式会社 代表取締役 山中 裕貴

公開日

2026年10月1日

最終更新日

2026年10月1日